食事にはパンとバターが欠かせない
ディナーで前菜や肉や魚のメインディッシュに、デザートとさまざまな味わいを愉しむが、まずはパンとバターがなくてははじまらない。まったくもってシンプルでベーシックな味わいというものがなくては、困るのだ。乱暴なたとえかもしれなが、12年が前菜、17年がメインディッシュ、30年は最上級のデザートといえる。それぞれのレシピを考える上で、まずファイネストのパンとバターがしっかりしていなくてはならない。こうヒックス氏は説明してくれた。
前ページで3製品をアタマに入れろといったが、ジョニ赤はパンとバターといえる。あの赤があるからこそジョニ黒やブルーラベルが存在するのだ。
もうひとつ10月8日に発売70周年を迎えた角瓶。ジャパニーズウイスキーの創始者、鳥井信治郎がブレンドに心血を注ぎ、戦前の1937年にこの角瓶を誕生させたからこそ、いまの日本のウイスキーがある。そしてこの一瓶がジャパニーズ・スタンダードのゆるぎない地位を確立しているからこそ、世界品質として名高い響があるのだ。
つまり、バランにしろ、ジョニーウォーカーにしろ、サントリーにしろ、パンとバターのようなウイスキーが存在しているからこそ、より高い香味の世界を構築できるということなのだ。
ゆるぎないスピリッツがいまを支える
世界品質の響17年と30年。21年もある。 |
角瓶が誕生し、またそこからモルト原酒やグレーン原酒の品質を磨き、ブレンドに研鑽を積んだからこそ、響17年、21年、30年という世界品質のジャパニーズブレンデッドが生まれたのだ。すべては延長線上にある。
だから、もう一度パンとバターを噛み締めろ。日本人なら角瓶を噛み締めろ。
70年もの揺るぎないスピリッツがいまのジャパニーズウイスキーを支えている。
前回の『秋の味覚、秋刀魚のようなウイスキー』も是非お読みいただきたい。