カウンターの上は美しく
つい、うっかりとは、カウンターの上にハンドバッグを置いてしまう女性が意外に多いことだ。これはバーテンダーが嫌がること。たとえばバッグの中から何かを取り出したい。そんな時もカウンターの上に置いて取り出すのはよくない。
女性は大変だと思う。男性ってのはジャケットがドラえもんポケットになる。財布やカードケース、タバコ、なんでもポケットに入れてしまえばいい。女性はそうはいかない。
いい酔い心地は、美しいカウンターの上に訪れる。 |
先日、あるバーで30歳前後のカップルが私の横の席に着いた。しばらく女性はハンドバッグをカウンターの上に置いていた。
うっかりだった。私はいつバーテンダーが注意するか、と気になった。すると相手の男性がそっと伝えた。「カウンターはバーの生命みたいなもんだからさ。バッグ、気をつけて」と言うではないか。
とってもいい奴だ。女性もできた人だった。「そうだ、ごめんなさい」と言って、すぐにバーテンダーにも謝った。バーテンダーはとても嬉しそうな顔をした。
かつて男たちがやたらとセカンドバッグを持ち歩く時代があった。その頃、バーのカウンター席につくなり、セカンドバッグをカウンターの上にドサッと投げ出すように置く人がいた。
あれほど無礼なことはなかった。いい酔い心地を得るためには、カウンターの上は美しくなくちゃならない。
前回の男は読むな!シリーズ『大阪名物』美酒と旨いもんの名作』もご覧いただきたい。また『バーが守りきれない、女性客』もどうぞ。