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ウイスキー&バー/ウイスキー&バーの美味しい話

思い出トランクに詰めた酒の話 第4話『カリブの酒と恋の刻印』

今回の思い出トランクは、14年前のカリブ海はグレナダという島での体験を書いた。スコッチ・ソーダとゴールドラム、そして片思いの話だ。私は33歳。まだまだ青臭くて馬鹿で、つまりとても若かったということである。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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カリブ海に浮かぶ素敵な島国

今回は旅と酒について書く。舞台はカリブ海だ。
1992年2月末、私はグレナダという島国に4日間だけ滞在した。目的地はカリブ海の最南端の島国トリニダード・トバゴで、そこでSOCAミュージックとスティールドラムの音にあふれたカーニバルを取材することだったが、その前にちょっと寄り道したということになる。グレナダはトリニダード・トバゴのすぐ北にある、ほんとうに小さな島だ。

街
早朝の港。陽が昇ると海は青の輝きを増す。下はセント・ジョージズの市場。
首都セント・ジョージズは美しい湾に面している。港を中心に主要な建造物があり、入り江の斜面には赤い屋根と白い壁の民家が点在している。かつてのイギリスの植民地時代の面影を色濃く残し、コロニアルスタイルの鄙びた風情が、はじめて訪れた私をとても懐かしい気持ちへと誘った。なんとなくもの悲しいのだ。

いま思い返せば、カリブ海に浮かぶこの小国の港町が、ウイスキーとラムに関しての私のいまの飲酒スタイルを形成したといえる。

3泊したホテルは入り江の高台にあり、美しい港を一望できた。5組しか宿泊できないプチホテルで、小さなプールと、見晴台のような粗末な常設屋台的なバーがあるのみ。夜はそのバーで過ごした。3夜とも私と同じぐらいの年頃と思われたホテルのマダムが相手をしてくれた。

昼間はイギリス人の経営する大農園を見学したり、素朴な市場を歩いたり、羊のいる丘、熱帯のジャングル、白と青の世界のビーチで過ごす。港にカリビアンクルーズの豪華客船が停泊したりしているが、あまり観光化が進んでいないところが気に入った。

ヨーロッパの大金持ち、日本でも知られた大企業のオーナーの別荘が多いことでも、なんとなくこの島国の空気感というものがわかる。あえて近代化に目をつむり、ひたすらひっそりと海に浮かんでいるようなところがあった。

夕食は港のレストランで、水のように軽いカリブのビールで流し込んで済ませ、ホテルに帰ってシャワーを浴びるとすぐにバーへと行った。(次ページへつづく)
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