いまもし同棲していて彼氏とヨレヨレのジャージ姿でコンビニに行く、恋に新鮮味がまったくなくなってしまった読者も、ちょっと思い出していただきたい。
誰もがいい女に見せたいのではなかろうか。結論はこれである。はじめてのバーへは、相手が何人目であろうと初デートでそこそこのレストランで食事をする時の服装を心がければいいのだ。これがもっとも無難なのだ。
ひと通りバーを知っている女性は別だ。彼女らには彼女らなりに自分の思いがある。私の知人だが、ちょっと寄っていく?と誘うと、「今日はジーンズだから、こっちのバーじゃなくて、あっちのバー」と言う。こっちのバーだってジーンズ姿でも違和感はないのに、彼女なりに店の空気感や客層を自分なりに捉えて、店を使い分けているということだ。
ひとつ注意しておく。はじめてのバーへひとりで入る時はあまりセクシーな格好をしていかないこと。店の人も客も思いっきり引くか、勘違い野郎に声をかけられるか、このふたつしかない。言うまでもないが、お洒落とセクシーは違う。
大切なのは靴じゃないかな。高級レストランとか高級ホテルの支配人的な立場の人は靴を見るのが仕事でもある。足元を見るのだ。それで客を区別する。服装を気にするなら、まずは足である。バーだって同じじゃないかな。
ただバーテンダーで足から頭まで嘗めるように見る格好悪い奴もいる。客としては極めて不快だ。そんな4流バーテンダーのいる店には二度と行かないこと。オーセンティックを気取っていても、そこは4流のバーである。
いまは服装より、マナーだ
あるベテラン・バーテンダーの話を紹介する。彼は、いまドレスコードなんて町場のバーではうるさくないのでは、と言う。みんなお洒落になったし、TPOをわきまえている。昔は店の方でジャケットを何着か用意したりしていたが、そんなこともなくなった。常識的に不快でなければOKだそうだ。
「それより」と彼は言った。服装よりもマナーだという。昔は目上の人に連れられてバーを知り、振る舞いを身につけて行くという人がほとんどだった。最近は、有名な店らしい、と4人ぐらいで入って嬌声を上げて帰って行くと彼は嘆いている。居酒屋の飲み方そのまんまだし、上司も部下もない幼稚な客が多いらしい。
あの人のつくる、あのカクテルが飲みたい。あの店で、ウイスキーを心地よく飲みたい。そういう客が徐々に少なくなりつつあると言う。
もしあなたがオーセンティックとされているバーへはじめて行こうとしているならば、服装よりも店の持つ空気感を読むようにしていただきたい。
前回の“男は読むな!いい女に贈る記事 第18回”『バーが守りきれない、女性客とは』もご一読を。