食前酒は他にもたくさんある。ギムレット、ダイキリ、ホワイトレディといった白系のものなど列挙すればキリがない。とにかくバーテンダーと相談してもらいたい。
上/サイドカー 下/マンハッタン |
口直しの酒。それ以上の食欲増進の必要のないものがふさわしいとされる。チルドレンズ・アワーとは、幼児期に戻って、幼い頃においしいと感じた味わいがくつろぎの味となる。
子供の頃、親戚のオバチャンが食後にいきなりどら焼きを2個食べたのを見て驚いたことがあるが、私にとってはあれがチルドレンズ・アワーの初体験の記憶ということになるか。まあ、そんなことはどうでもいい。
酒として好適なのはアルコール度数が比較的高く、甘みの強いものとされる。ただ日本人の食生活からはあまり馴染みのない酒の飲み方である。
和食は料理に砂糖を使うことが多い。ところがフランス料理なんぞ野禽類の料理ぐらいしか砂糖を使わない。だからデザートで糖分をたっぷりと摂るのだ。
食後酒にヨーロッパの女性がチョコレート・リキュールをストレートやオン・ザ・ロックでなめるというのはよく理解できる。
では、これは私の独断と偏見。サイドカー、マンハッタンなどのスタンダード・カクテルも、食事によってはいい食後酒となる。だがここでひとつグラスホッパーを紹介しておく。これは生クリーム系のデザート・カクテルだ。
グラスホッパー |
ああ忘れてた。これからの季節、りんごのブランデーであるカルヴァドスとライムかレモンジュース、そしてザクロのグレナデンシロップを使ったジャック・ローズというカクテルも食後にいい。フレッシュのザクロジュースを使うバーを見つけたらなら幸運。ザクロって搾るの面倒なんだ。
さて今回はここまで。カクテル名を挙げたらキリがなく、カクテルブックをつくんなきゃいけなくなる。まあバーテンダーと話し、好みの食前、食後酒を見つけることが一番。そしてできるなら、食前、食後とたまにはひと晩に2回バーを使いこなすのもいい。
粋だよ、これは。食前酒なんて、待ち合わせの一杯で、すっと店を出ていいんだから。2、3杯飲まないと格好悪いなんてことないんだよ。日本人は、まだまだバーの使い方が下手。素敵なバー、優秀なバーテンダーが世界で一番揃っている国なのに。
最後に、私が最もよく飲む食後酒はやはりウイスキー。それもシェリー樽熟成のものが多い。
次は10月に発信。前回の『バーの愉しみ方を知る素敵なひと』も参考にしていただきたい。