話はちょっとマニアックになるが、このグレーン原酒を手に入れて飲んでみるのもいい。ブレンデッドウイスキーのダシの味はどんなものか理解しておくのも悪くない。
たとえば日本の場合、サントリーがネットで『知多蒸溜所特製グレーン』(¥8.000)というダシを販売している。
これは12~18年熟成(平均13年)のグレーン原酒をバッティングしたものだ。サントリーローヤル以上のブレンデッドウイスキーに配合するグレーンの中から、とくに味わいが滑らかで豊かな原酒を厳選している。
知多グレーンをストレートで味わったら、遊んでみるのもいい。
もし手元に山崎のモルトウイスキーがあったとしたら、このグレーンをブレンドしてみたらどうだろう。
自分なりの比率を見つけだし、オリジナル・ブレンデッドウイスキーを開発するのだ。
料理の実験みたいで、なかなか愉しい。
余談が過ぎたので、19世紀のスコットランドに戻る。
なぜグレーンウイスキーが誕生したのか話しておく必要がある。
それは連続式蒸溜機の発明による。
連続式というのは1831年に特許が得られているが、きっかけはスコットランドはハイランドの密造・密輸に対抗するために、ローランドの蒸溜業者が生産コストの削減に知恵を絞ったことによる。
モルトウイスキーを蒸溜する単式蒸溜器(ポットスチル)との大きな違いは、釜を一度空にしなくても、連続的にしかも大量に生産できるマシン(蒸溜器と蒸溜機の違い)であるということだ。