名前から説明しやすいので、とりあえず響17年を例にしてみる。
これは17年と謳っているから、モルト原酒もグレーン原酒も17年以上熟成させたものしかブレンドされていない。しかもモルト原酒は色、香り、味など個性の異なるもの36種類、グレーン原酒も複数使われている。
まろやかなコクはここにある。何十種類もの原酒をブレンドすることによって、それぞれの個性が響き合ってハーモニーを生む。オーケストラの交響曲と思えばいい。
ところで17年という熟成年数だが、これは人にたとえるなら68歳。人格重厚、味わい深い年齢だ。
ウイスキーの酒齢は、人間にたとえると、酒齢1年で4歳といわれている。酒齢10年で40歳。つまり少し味わいに風格が出はじめる。12年は48歳で、円熟味が生まれる人生の収穫期。15年の60歳は馥郁と表現できる。
ただし製法、貯蔵法によって熟成のピークが違うため、これがすべてに当てはまるわけではない。
あくまで目安と考えて欲しい。とくにブレンデッドで熟成年数を表示してあるものは、その表示以上のものが使われていることになる。響17年の場合、平均酒齢は20年。おそらくニッカの鶴もそのくらいになるだろう。
もうひとつ、熟成年数が多ければ素晴らしい、ともいえない。
また好みもある。ブランドによってはガツンと元気のある若々しいものの方が受け入れやすい場合もあるのだから。
さて「スコッチは何がおすすめですか」と聞かれることもある。
ウイスキーに馴染みの薄い人には『バランタイン17年』(小売価格11,180円)をすすめる。
これはバーで語る場合、シングルモルトのボトルを指しながら説明でき、ブレンデッドスコッチの代表というだけでなく、香味の豊かさだけでもなく、話はいくらでも広がっていく。
バラン17年のキーのなっているモルトは、スキャパ、プルトニー、バルブレア、グレンバーギー、ミルトンダフ、インペリアル、グレントチャーズ、グレンドロナック、アードモア、トーモア、グレンカダム、アードベッグ、ラフロイグなどである。
シングルモルトファンにはお馴染みの蒸溜所の名前がいくつもある。
やがてブレンデッドからシングルモルトの世界へと踏み込んで行った時、ああバラン17年にはこの蒸溜所の原酒が含まれているんだと感じながら飲む愉しみがある。