中国茶/中国茶関連情報

ビンテージプーアル茶会(2ページ目)

5月5日に横須賀の江南飯店で開催されたビンテージプーアル茶会の様子をレポートします。

執筆者:平田 公一




おいしいプーアル茶を飲んだみんなの表情

和やかなお茶会
かめきちさんの持参されたビンテージプーアル茶は、どれもフアアーとため息を付いてしまうほど、美味しいお茶たちだった。 それらは、どれもそれぞれの表情を持っていて、スパイシーなもの、あずき系のあじわいのもの、めりはりのあるものから、優しい口当たりのものまであれこれと。

もちろん、これらのプーアル茶も嗜好品だから、それぞれ参加者の方々の好みがあって、感想なども様々だと思う。それでも、プーアル茶を飲むにつれ、みな顔が風呂上りのように上気して、さっぱりとしていたのも面白い現象だ。

これだけたくさんのお茶を飲んでも、台湾茶生茶のように上に登るような酔いではなく、どんどん下降して行くような、そんな感じの酔いを感じたのも、面白い経験だった。

年代を経るというのが、こういうことなんだなと思わせてくれる、非常に貴重な体験であったと言えるだろう。「今回皆さんにそれが分かって貰えたことはとても良かった」とかめきちさんもよろこぶ。

かめきちさんがおしえてくれたこと

非常に色のきれいなプーアル茶
今回のビンテージプーアル茶会で、かめきちさんが教えてくれたことは、とても多い。通常、どうしてもプーアル茶は価格が高く、プレミア商品のように取り扱われているので、普段「茶壷の世界と同じで、足を踏み込んではいけない世界」というように思ってしまう。

たしかに、「ビンテージのプーアル茶は美味しいから高いのだ」とかめきちさんがおっしゃるとおり、高い!。しかし、それは単にプレミア商品であるからではなく、「おいしい」からなのであり、美味しくないものに高い金を払う中国人はいないということに、もっと注目してもいいのかもしれない。

また、よく言われる「熟茶はにせもの、生茶でないとプーアル茶でない」というような情報も、必ずしも正しいものではなく、ちゃんとした茶葉できちんと作り、適切に保存されたものであれば、熟茶でも非常に良いものになるということも説明してくださった。もともと熟茶はいかに短期間で美味しい陳年の茶ができるかという製法であるので、これをきちんと実践できる茶工場のものであれば、おいしい熟茶は作れるということである。

残念ながら安価に安い茶葉を使いいい加減な作り方をし、そして保存も湿倉と呼ばれる多湿の倉庫で保存されたものが多いのも事実で、このようなものが巷に出回りプーアル茶の評判を落としているのはとても残念だ。

信頼の出来るテキスト『普[シ耳]茶譜』
さらに、半熟茶というお茶があること。たとえば、1987年に [孟力]海茶厰で作られた高山普[シ耳]茶は、『普[シ耳]茶譜』という信頼の置けるプーアル茶の本に登場する銘茶だ。これは中心部分を生茶、そして外側を熟茶で覆い、茶の発酵の速度を調整するというようなお茶なのだそうだ。こういうお茶が存在しているという情報は、なかなか入手できない。

しかも、このようなお茶を巡って、ほんの少しの生茶に質の良くない熟茶で周りをかこみ、ビンテージを模した包み紙で包んで高価な価格で打っているという業者もあるのだそうだ。もちろんちゃんと作られたものでも、保存がぞんざいである場合は偽者よりもまずいということもあって、なにをもって本物とするのかは難しいところだが、イミテーションは多く作られているということにも気をつけなければいけない。

「7532には手をだすな」。香港のプーアル茶の業者の間では常識なんだそうだ。

いろんな情報が飛び交うプーアル茶の世界。日本にも入ってこない情報も沢山ある。高ければいいというわけでもなく、非常に奥の深い世界であることだけは確かだが、たくさんのおいしいプーアル茶を飲ませてもらって、「プーアル茶は美味しい」と思ったのが、このお茶会の一番の収穫であった。


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