正山小種が紅茶とのミッシングリンクなのか?
武夷岩茶と見間違える ような正山小種もある |
このお茶を飲んだことがある方ならお分かりだと思いますが、ラプサン・スーチョンの香りは「正露丸」に喩えられます。それほど焙煎の香りが強いわけで、中国では、別名「烟小種」とも呼ばれています。しかし、ミルクティーにすると飲みやすく今でも広く紅茶愛飲家の間ではもてはやされているお茶なのです。
大きな葉が復元する |
たとえば、中国の紅茶で一番有名なお茶「祁門紅茶」が作られた由来を紐解くと、1874年に余干臣が宦官をやめて商人になり福建省から安徽省にやってきて、福建省の発酵茶「工夫茶」にならって東至県に工場を設立し茶の製造を始め、翌年に祁門県(祁の偏は[示]です)に二ヶ所の製茶工場を設立して「祁門紅茶」を造りこれを拡大していったのが始まりといわれています(別の一説によると、1876年に祁門の南の貴渓の胡元竜が日順茶工場を開設して、小種烏龍茶を改良して「祁門紅茶」を完成させた、といいます。)。
このように、世界に名を馳せる紅茶の原型が、武夷の小種であったという記録が残っているのです。
現在の正山小種は「紅茶」です。しかし、非常に烏龍茶に近い正山小種も残っています。烏龍茶と紅茶を結ぶミッシングリンクがこんなところにあると考えるのも、とても面白いことですね。
次のページでは、おすすめの正山小種が購入できるお店をご紹介します。
(注2)この記事は、堀田さんから様々なご指摘を頂き、堀田さんが過去書かれた文などを参考にさせていただいております。さらに面白いお話もお聞きしているので、またご紹介できるといいなあと思っています。
(注3)中国紅茶で最も古いものは江西省修水県の紅茶、寧紅工夫だといわれます。しかし、このお茶も正山小種の歴史ほど古くはなく、19世紀になって絶頂を向かえ、その後清代のラストエンペラー愛新覚羅溥儀に献上されたといいます。