頭のいい子に育てたい、その先にある親の願いは社会的成功?!
「頭のいい子」とはどういう子のこと?その先にある親の願いは?
ビジネス本などでも注目されている「地頭」とは、論理的思考力やコミュニケーション能力など、その人本来の頭のよさを指します。普通の学力よりも広い意味で問題解決に役立つ、考えるための基本的な力、つまり車のエンジンのようなものです。いまや社会では、学力より広い意味での「頭のよさ」が求められています。
今回は、単に「学力を伸ばす」という視点ではなく「社会的に成功する」ために、頭のいい子が育つ家庭のあり方、親の関わり方を実際の研究データや実例に基づいて考えます。
▽参考記事
子供の地頭力を鍛えるには?親ができるおすすめの教育方法
<目次>
そもそも地頭の良さは遺伝?
地頭の良さは生まれつき決まってしまっているのでしょうか
また別の研究では、「社会で成功する」ためには読み書きや計算など数値で測りやすい「認知能力」よりも、創造力や共感性など数値化しにくい「非認知能力」の方が必要であるといわれています(*2)。
つまり、地頭の良さには整った環境を提供し、子どもが持つ能力を十分に発揮させることも大切だといえるでしょう。子どもが持てる力を最大限に発揮するには、能力は磨けば伸びるという考え方を培っていくことが重要です。「成長型マインドセット」というこの考え方を持つことで、自分で限界を決めてしまう子よりも能力が伸びることが分かっています(*3)。
そのためには、結果ではなく過程を褒めることと、子どもの失敗を受け止めることを心掛けてみてください。たとえ良くない結果だったとしても過程を褒めることで、その結果を改善しようという気持ちを持ってもらいやすくなります。失敗を責めてしまうと、子どもはやる気が無くなってしまいがちです。どうしたらより良くなるかと考えるように促して、失敗は次へとつながる糧であると捉えましょう(*4)。
重要なのは、子どもに自分なりに頑張れば成長できると実感してもらうことなのです。
【参考資料】
(*1)Oliver S. P. Davis,他 “ The correlation between reading and mathematics ability at age twelve has a substantial genetic component.” Nature Communications, 2014; 5 DOI: 10.1038/ncomms5204
(*2)James J. Heckman,他 'The Rate of Return to the High/Scope Perry Preschool Program' 2009
(*3)Carol S. Dweck “Mindset: The New Psychology of Success” 2007 Ballantine Books
(*4)K. Haimovitz, C. S. Dweck. What Predicts Childrens Fixed and Growth Intelligence Mind-Sets? Not Their Parents Views of Intelligence but Their Parents Views of Failure. Psychological Science, 2016; DOI: 10.1177/0956797616639727
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頭のいい子の家庭共通点1.お稽古や勉強で忙しいより、自由に遊ばせる
現代の子どもたちは学校だけでなく、お稽古事や勉強で毎日忙しい
研究者達は、子ども時代に自由に遊ぶことが、これらの心の発達を促進し、大人になって社会的な成功へつながりやすくなるのでは、と結論づけています。しかし、現代の子どもたちは、お稽古事や勉強が忙しかったり、車が増えたり物騒な環境にあるなど、親が安心して「遊んでおいで」と背中を押してあげられない状況の中にあります。さらに、「自由に遊んでいい」となるとテレビやゲームを選択する子どももいるでしょう。
このデータの大事なポイント「子どもに選ばせ、自由に遊ぶ」というプロセスを現代の子育てにどのように活かせばよいでしょうか?例えば、お稽古事もない、勉強もない日曜日の午後。おやつと水筒を持って公園に行けば、子ども達は自然に自分の興味のある方へ走り出します。親が安心して見ていられる場所に連れて行き、そこで子ども達は自由に遊びを発想させていく。こんな取り入れ方が現代には合っているのではないでしょうか。
*出典:Evolutionary Psychology (2014) 「Does playing pay? The fitness-effect of free play during childhood」より
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子ども時代、自由に遊んだ方が大人になって大成する!?
頭のいい子の家庭共通点2.親の押し付けNG!子どもの興味関心を伸ばす
子どもが自分の興味のあることを追求しているとき、親はサポートを
子どもが好奇心に溢れ自分の気になることを追求しているときこそ、親はサポートをしてあげてください。興味を示す事柄は人それぞれなので、可能ながぎり多種多様な経験をさせてあげて、その子の様子をチェックしてみましょう。すぐに自分の関心事を見つける子もいれば、ゆっくり時間をかけて探していく子もいます。また、一つのことをずっと継続する子もいれば、熱しやすく冷めやすい子もいるでしょう。
子どもは様々な体験をしていく中で、論理的思考力や集中力、問題解決力など様々な力を培っていきます。そのためにもできるだけ多くのリソースを提供してあげてください。
ただサポートをするだけではなく、時には大人も一緒にやってみることも大切です。「なんでだろうね」と疑問を抱き、「こうしたらいいんじゃないかな」と分析して、問題が解決できたときには喜んでみましょう。子どもはそのような親の姿を見て感じることで、自然と同じような考え方を身に着けていきます。
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地頭は育つ!子どもの地頭が伸びる2つのポイント
頭のいい子の家庭共通点3.知育玩具に頼らず子どもを伸ばす
想像力を働かせた遊びが、頭のいい子を育てるカギ
3~5歳の71人の子どもたちを対象に行ったアメリカの研究では、子どもたちを「想像力をフルに活用した遊びを行った」グループと「歌を歌う、ボール投げをするなどやり方が決まった遊びを行った」2つのグループに分けて観察した結果、グループAの子の方が、グループBの子よりも、認知能力のテストで高い伸びを示したのだそうです。
特に大きな変化が見られたのは、「ワーキングメモリー」が関わる動作。会話や読み書き、計算など日常生活や学習を支える重要な能力です。
現実にはありえないことや、存在しない生物などを用いた話を展開させるという想像力を働かせた遊びは、子どもの認知能力を伸ばす働きがあると考えられます。たとえば、「ドラゴンになって、手を羽ばたかせて空を飛ぶ」という頭の中でのイマジネーションを体現化し、その子それぞれのスキルで視覚化していくことがポイントです。
おもちゃには、必ず取扱説明書やルールブックがついてくるように、ある程度、遊びの型が決まっています。ファンタジーをテーマにしたゲームもありますが、ゲーム上のできあがったファンタジーと今回おすすめしているファンタジーでは、まったく別物です。
おもちゃは楽しいものなので、否定する必要はありませんが、「頭のいい子」を育てるには、それぞれの特色を生かして使い分けるのがいいのでしょう。
*出典:学術誌 Journal of Experimental Child Psychology「The effects of fantastical pretend-play on the development of executive functions: An intervention study」より
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子供の想像力を使った遊び!知育で頭のいい子を育てる!
頭のいい子の家庭共通点4.ゲームで考える力を磨く
トランプやオセロで「地頭力」を磨く!
現実で挫折をするのは大変ですが、これをテレビゲームではなく、他人と対面で行うゲームで手軽に体験することができます。最初に取り組むには、将棋や囲碁は少しハードルが高いのですが、トランプの「七ならべ」やオセロ、五目並べは初心者向きでおすすめです。
ルール自体は簡単なので子どもはすぐに覚えます。しかし、七ならべなら「相手の持ち札を推測して邪魔をする」、オセロなら「角を取られると不利」などの知識がないので、すぐに負けてしまいます。対戦相手がいるゲームには駆け引きが必要で、自分が考えた通りには展開しないことを肌で知ります。繰り返し対戦している内に、だんだん学習して強くなるのです。
また、負けた時の悔しさを何度も体験することで、子ども同士の遊びの中でも負けた子どもの気持ちが理解できるようになり、自身の感情のコントロールもできるようになります。
平日は子どもと接する機会が少ないという家庭では、週末に一緒にゲームをしてコミュニケーションをとるようにしましょう。親子の触れ合いと地頭力UPを同時に実践できます。
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頭のいい子の家庭共通点5.過干渉型ではなく、自由度の高い子育て
「放任」ではなく、親が用意した良い環境の中での「放牧」型子育て
「読書しなさい」と無理やり本を押し付けるのではなく、図書館に連れていく。放っておいても子どもが本を引っ張りだしてくる環境に放り込みます。散らかって気になる子ども部屋にはあえて入らないようにする。すると子どもは、散らかっていて自分でもどうしようもないと思ったら、自主的に掃除をします。
過干渉気味の子育てが増えている現代に、「特別なことをしない子育て」どころか、「できるだけ手をかけない子育て」のようにも見えます。「親が子どもができることを肩代わりするのをやめる」ことにより、「子どもが自分でやるようになる」という図式が見えてきます。
しかし、全く子ども任せにするのではなく、押さえるところはきちんと押さえます。たとえば、近所の中学校が荒れているという情報が入ると、中学受験も視野に入れて塾に入れる。でも、塾や私立中学に入ってからは、成績のことは子どもに一切言わない。
柵がまったくない「放任」ではなく、良い環境を準備して、そこに放り込んだら手を離すという、牧場の柵の中では何をしても良いという「放牧型」の子育てです。あれもこれもと欲張って子どもに要求してしまいがちな現代の子育てですが、こうした自由度の高い子育てが、子どもの自立心をしっかり育てるのではないでしょうか。
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頭のいい子の家庭共通点6.「勉強しなさい」と言わない
わからない事がわかった、できない事ができた喜びを一緒に共有しましょう
子どもに何かを自ら進んでさせたいときは、強要するのではなく、支援することが大切です。
まずは、親が日頃から読書をしたり、勉強をしている姿など「学ぶ姿勢」の見本を示すことで、子どもはそこから勉強に対する姿勢を学び、学ぶことが生活の中で自然に溶け込むようになってきます。
子どもに「勉強しなさい」と言う代わりに、たとえば、「今日は宿題が多いって言ってたね。まだ始めなくて大丈夫なの?」など、子どもが自ら考え、自分で判断して行動するような言葉をかけましょう。
そして、子どもが勉強をした結果、新しい知識を得た時の新鮮な驚き、分からないことが分かった時の喜びや、できない事ができた感動を得た時は、さらに「学びたい」という意欲に駆られるよう、親も喜びを共有しましょう。
他にも、勉強部屋を整える、具体的に学習計画を立てるなど、子どもの学習環境をつくり出します。習慣というものは一朝一夕にして身につくものではありません。幼い頃から「勉強しなさい」と言わない代わり、子どもが自主的に勉強に向かう環境を最大限に支援していきましょう。
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頭のいい子の家庭共通点7.一緒に過ごす時間が長い"母親の学歴"が高い?!
子どもと接する時間が長い母親の影響が、子どもの学力に強く影響する……?
親の所得が子どもの学力に影響するというのは、経済力がある家庭ほど、子どもに質の高い学習機会を提供できるという事実からなるものでしょう。では、親の、特に子どもと接する時間が一般的に父親より長い母親の学歴は、子どもの学力にどれくらい影響するのでしょうか。
確かに、高学歴の親ほど子どもにも高学歴を求め、教育への選好が高いのでしょう。しかし、学歴そのものよりも、親自身が「わかった!」「なるほど、そういうことか!」というような、知的な喜びを勉強によって経験した本当に意味での学歴=「学習の歴史」があるかどうかが子どもの学力に影響するという印象が見受けられます。
勉強本来の意義を見出した経験を持つ母親は、子どもに勉強を強制せず、どうすればわが子が勉強に関心を持つか、子どもの特性を踏まえて色々工夫して働きかけます。一方、学生時代、勉強することに意義を見出せなかった親は、「今、大変な思いをして勉強したぶん、将来楽になれるんだよ」というような、勉強を「苦行」と捉えられかねない発言をする傾向にあります。
面白がって自発的に勉強する子どもと、仕方なく勉強する子どもでは、結果として学力に相応の差が出てくるのは、うなずけるのではないでしょうか。
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「子どもの学力は"母親の学歴"で決まる」って本当なの?
頭のいい子の家庭共通点8.子どもを「待つ」余裕を持って接する
幼児期から、親が「待つ」余裕を持って子どもと接することが大切
頭がいいとされている子は、幼児期から、親が何かの行為を禁じる言葉よりも、「すごいね!」「大丈夫だよ」「ちゃんとできたね」というような、子どもを認める言葉を多くかけているようです。子どもを褒めたり、認めたりすることは、親に余裕がないとできるものではありません。子どもはそんな親の前向きな声がけを自信にして、物事を主体的に考えられるようになっていくのかもしれません。
また、子どもの言動をもどかしく思うあまり、どうしても、代わりにやりたくなるし、代弁してしまいたくなるものです。しかし、そこは親の忍耐力が問われます。成長するためには多くの失敗が必要です。たとえうまくいかなくても、できるだけ子どもに自分でやらせ、自分で言わせるように育てられた子どもは、それだけ成長する傾向にあるようです。
幼児は親の話し方、使う言葉を大人が驚く吸収力で身につけます。幼児にとって、親とのコミュニケーションが大きな学習機会になることは、数々の研究結果から明らかになっています。 頭のいい子を育てる大切な幼児期に、親が「待つ」余裕を持って子どもと接することが大切です。
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「頭のいい子」に共通する幼児期の習慣と傾向・特徴
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