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靴に使う「牛革」を深く考えてみる その4A(4ページ目)

今回の「メンズシューズ基礎徹底講座」では、牛革に色を付ける際の代表的な方法について解説します。革本来の色艶を活かすか?、それとも色の安定性を重視するか? 靴の使い方によりベストな選択は変化します。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

安定性に優れた顔料仕上げ!

顔料仕上げ
風合いは平板になりがちですが、顔料仕上げの色付けは、やはり色の均質性と安定性を感じさせてくれます。特にレザースニーカーのアッパーに用いる白い革は、これをしないと「白」が出てまいりません。


アニリン仕上げは美しいが故に繊細で、普段使いする靴のアッパーにはむしろ不適切な場合もあり得ます。耐久性を考えると、革本来の風合いには多少目をつぶる必要もあり、その場合に一般的に採用されるのが「顔料仕上げ」です。鞣す過程で染色を行った上に、不溶解性の顔料で表面の塗装をしっかり施す方法です。

塗装によって革の表面の傷を隠せ、また色付けも染色のみより明らかに均質かつ安定的になるので、ガラス張り革など一般的な靴のアッパーでは一番お馴染みの仕上げです。また、レザースニーカーで多用される白い表革は、これを施さないと事実上仕上げるのが不可能になります。染料には「純白」が存在しないのでそれのみでの色出しができず、また激しく使われて色が剥げ落ち革の地色が出るのを防ぐべく、顔料を厚く多層に用いて色を付けざるを得ないからです。

素仕上げやアニリン仕上げの革に比べると、風合いには正直劣る仕上げです。ただ、色抜けがあまりしないなど取り扱いはその分簡単ですし、鞣し技術の進化を受けて、近年では表面の透明感がある程度確保されているものも出て来ているので、決して毛嫌いするものではないですよ。カジュアルシューズの世界では、塗装工程を逆手にとって、顔料を厚く塗装した後、革を引っかいたり伸ばしたり揉むのを通じて、銀面には届かない程度のひび割れを表面にわざと生じさせる確信犯的なものも登場しています。


いかがでしたでしょうか? え、これが仕上げの全部なの? 何か肝心なの、メンズのドレスシューズで忘れていない? はい、その通りです。それについては次回をお待ちあれ!



【「メンズシューズ基礎徹底講座」・関連リンク】
靴に使う「牛革」を深く考えてみる その1
靴に使う「牛革」を深く考えてみる その2
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