爬虫類・両生類/両生類・爬虫類の飼い方

爬虫類・両生類の脱走対策…万が一の事故防止策やトラップ

今回は、想像力を目一杯働かせて「爬虫類・両生類、万一の脱走に備えて」先にできることを考えてみましょう。絶対に飼育している両爬を脱走させることはできませんが、万全の脱走防止策を立ててなお起こりえることを防ぐために参考にしてみてくださいね。トラップなど紹介します。

執筆者:星野 一三雄

爬虫類・両生類、万一の脱走に備える

爬虫類・両生類、万一の脱走に備える

爬虫類・両生類、万一の脱走に備える

今回は、想像力を目一杯働かせて「万一の脱走に備えて」先にできることを考えてみましょう。
 
<目次>
 

万全の脱走防止策を立てても……

普通の人から見れば、私たちの愛する両爬なんていうのはカメ以外は「キモイ生き物」であるわけですから、絶対に飼育している両爬を脱走させることはできません。
それでも、万全の脱走防止策を立ててなお....

一日の仕事を終えて帰ってくる。
あー、疲れたー。ちょっとビールでも飲むかねー。
ゴクゴクゴク...うめー。
あ、メールチェックしなきゃ。
・・・1時間経過・・・
どら、そろそろメシでも食うか。
・・・さらに1時間経過・・・
疲れたなー、寝ちゃいたいなー。でも生き物世話しなきゃなー。
あ、ニュース始まった。見よ。
・・・またもや1時間経過・・・
そっかー、今日は世の中ではこんな事が起きていたんだー。大変だなー...
うわ、もうこんな時間。生き物の世話しよう。

面倒ながらも、楽しいこの時間が、私の最高のくつろぎの時間だ。
聖域とも言える、飼育部屋のドアを開ける。
みんな変わりないかー。今餌やるからなー。
・・・え?・・・ビールのホロ酔いが一瞬で醒める。

なんでヘビのケージのフタが開いてんのーーーーー!!!!!?????

すぐにケージ内を見るが、そこにヘビの姿なんてあるわけがない。

やっちまった...

全身の血がさーっと音を立てて引いていくのがわかる。口の中がアドレナリンの味でいっぱいになる。ちょっと酸っぱい感じ。

探す。探す。探す。とりあえずいそうな場所を探す。
そこら中にあるものをひっくり返し、押入の中のモノを全部引っ張り出す...

こうして、脱走の夜が更けていく...

などというように、万一にも脱走されたならばとにかく、パニックにならずに落ち着いて対処を行いましょう。それもまた私たちの義務です。
とにもかくにも「早期発見」を第一に考えましょう。そのためにできることは二つあります。
 

部屋を密閉しておく

家のいたる所に飼育容器を設置しているのならば難しいことですが、多くの方は自分の部屋やリビング、あるいは専用の飼育部屋で飼育をしていると思います。
ですから有事の際には、脱走した生き物をその部屋から出さないことが大切です。そのためには常に「戸締まりをしっかりとすること」です。

・家族にも注意!
部屋の出入りはもちろんですが、家族の方にも徹底しておく必要があります。あまりにも飼育部屋を汚くしておくと、あなたの不在の間に家族の方が部屋を掃除しに入ってしまうかもしれません。そんなことをされないように、常に自分で部屋を掃除しておくような心構えが必要です。何よりも飼育部屋というのは自分だけの城なんですから。

・ふすまがきちんと閉まるように
このすき間が命とり
コードが挟まってすき間のあるふすま

和室の場合は各部屋の区切りが「ふすま」である場合があります。電源が足りないからと言って、隣の部屋からコードを引っ張ってきてしまうと、ふすまがきちんと閉まりません。電源は一つの部屋で事足りるようにしましょう。

・押入も必ず閉める
両爬が逃げ出した場合、押入などに入り込むことがあります。一般に押入はたくさんの荷物があってわやくちゃになっていることが多いでしょうから、そこに逃げ込まれたら見つけるのは至難の業です。押入も隙間なくしっかりと閉めましょう。

・ガラス温室の利用
小さい飼育ケースをたくさん使っている飼育者の方は、ガラス温室に複数のケース入れておくと飼育ケースから脱走した時にも外に逃げ出すことを防げます。しかもガラスですから様々な方向から中を見ることができますので温室内のどこに生き物が潜んでいるのかを発見しやすいでしょう。
 

トラップを仕掛けておく

飼育している両爬の性質をきちんと理解しておいたり、フィールドに出て野生での彼らの行動を見ておけば脱走されたときの行動を想像できることでしょう。その行動を利用することで逃げ出した彼らを罠(トラップ)に仕掛けて回収することが可能になります。

・落下型トラップ
ハイナンたちのケージ群
落下型トラップ
最近は、多くの飼育ケースを組み立て式のスチールラックに並べて管理している方も多いようです。スチールラックはそれぞれの棚が格子状になっていますのでそれを利用して、脱走した生き物たちが格子のすき間から下に落ちてしまうようにすればそれ以上の脱走を防ぐことができます。私の家ではスチールラックの一番下の段にハイナントカゲモドキの90cm水槽を設置していますが、フタをしていません。上の段にはハイナンのベビーとかスベトカゲとかの小さいケースがズラリと設置されています。以前、ハイナンのベビーのフタに小さなすき間ができていて、そこから逃げ出されてしまったのですが、見事に下の90cm水槽にキャッチされていました。

・散らかし型トラップ
脱走したヘビは隠れるところを探します。そこで飼育部屋の中にタオルとかを普段からわざと散らかしておけば、万一脱走された場合にヘビがそこをシェルターとして隠れるかもしれません。もちろん散らかし具合は飼育管理に支障が出ない程度にしましょう。でないと、部屋中トラップばかりになってかえって探すのが面倒になったり、あるいは気づかずに踏み殺してしまうかもしれません。

・マウスケージトラップ
これも知人から聞いた話ですが、逃げ出したヘビがマウスのケージの中に入っていた、ということがあったそうです。言われてみればなるほどで、ラットスネークの仲間などは当然空腹になれば餌を探します。ですから飼育部屋の中にマウスを飼育しているケージを置けば、その中に入ってマウスを襲うかもしれません。ただし、ヘビが通れるくらいのすき間がなくてはいけないし、マウスの数が多すぎるとヘビはすぐに逃げてしまうかもしれませんので、トラップ用と割り切るならば1~3頭程度の数のマウスを常時入れておくことになります。

・木の枝トラップ
樹上性のヘビやトカゲは脱走後に上へ上へと行く傾向があります。そこで彼らが登りやすそうな木の枝や観葉植物などを置いておけば、脱走した後にそこに登ってくつろぐかもしれません。

その他にも、自分の飼育している種類あるいは個体の個性をしっかりと把握して、想像力を働かせれば、さまざまなトラップを考えることができます。
 

事故の防止

脱走は飼育者にとって、飼育している個体を失うというだけでなく、その個体が不幸な結果になるという事故の可能性もはらんでいます。脱走を想定した準備を考える場合、事故などにも備えが必要です。

・野外への逸出防止
脱走個体が屋内から出て行った場合は交通事故の危険性もありますし、一般の方やイヌ・ネコなどによって殺されることも考えられます。最初に書いたように万一脱走されても、絶対に屋外へ出ないように戸締まりはしっかりとしましょう。

・近所にさりげなく知らせておく
飼育に対して法的な規制がかかっていない種類ならば、万一の時に近所の方から情報を得やすいようにカミングアウトしておくことも必要かもしれません。とても難しいのですけれど...
だからといって、いきなり「私、ヘビを飼育しているんですよ」とか言っても、普通の人の理解を得るのは無理でしょう。ですから、あくまでもさりげなく、時間をかけて、そして相手の様子をうかがいながら伝えていきます。とりあえず
「カメが好きで結構家で飼育しているんですよ」
とかから話すと相手も警戒しません。嘘はいけませんが、これも方便として理解してください。次は
「普通の感覚よりも多い数を飼っている」
とか
「ちょっと変わった種類を飼っている」
と自分のハマり具合を次第に臭わせつつ、段階的に、駆け引きをしながら最終的に
「ヘビを飼っている」
という結論まで持って行けば周囲も理解はせずとも「この人にとってヘビは大切な財産なのか」ということを知ってもらうレベルには持って行けると思います。何年かかるかわかりませんが...
 
ダメダメな押入の例
わやくちゃな押入の中。こんな中に逃げ込まれたら、永遠に見つけられない。

しかし自分の力だけで近所にカミングアウトするのは難しいことです。間接的に他のメディアを使っていくといいかもしれません。ちなみに私の場合は近所の行きつけの「床屋」を発信源にしました。カメから始まって、昆虫、カメ、ヘビ以外の両爬、ヘビ、タランチュラの順でカミングアウトしました。

何より、これをするためには日頃からの近所づきあいや信頼関係の構築など、私たち趣味人がもっとも苦手とすることをしなくてはいけません。日曜日の早朝の地区の一斉清掃とか、ほんとにきついんですよ...ゴミの捨て方にも気を遣いますし。
しかし、そうすることが自分の趣味を守っていくことでもあるわけです。
こんなことも脱走を大事にしないための「備え」といえるでしょう。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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