爬虫類の正しいハンドリング

爬虫類の正しいハンドリング

全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!

今回は、何かと気になる「ハンドリング」についてです。つまり飼育中の両爬個体を「触ったり、持ったり、遊んだり」というスキンシップあるいは取り扱う事に関してです。 
ヘビのハンドリング

爬虫類の正しいハンドリング

 

爬虫類ハンドリングについて

実は、私自身はほとんど飼育中の生き物を触ることがない(数が多すぎることと、時間が無くて)ので、あまりハンドリングに関しては、自分の考えというのがありません。

よくなされる議論として
飼育されている両爬に対してハンドリングを行うことは良いことか、悪いことか
というのがあります。
もちろん、これは触られる生き物に聞いてみなくてはわかるわけはありません。

特に、飼育を始めたばかりの方や、これから両爬を飼育しようという方にとっては、イヌやネコと同様に、文字通り「愛玩」の対象になると考える方も多いですからハンドリングしてスキンシップをとれるというのは、その生き物を飼育する大きな楽しみになります。
カメレオンを腕に掴まらせる

カメレオンを腕に掴まらせる

・否定派と肯定派
また「ハンドリング肯定派」の方々にもっとも多いのが
「ハンドリングされることに慣れさせておけば、ケージの掃除などでその生き物を取り出したり、健康チェックなどをする場合に個体に無用のストレスを与えなくてすむ」
という意見であります。至極もっとも。

一方「ハンドリング否定派」は
「もともと野生に生きる彼らは家畜化されているわけではないので、それが例え飼い主であろうと彼らより大きく力も強い敵でしかないわけだから、無用なストレスを与えてしまい下手をすれば寿命を縮めることにもなろう」
と考える方が多いようです。

・私の考え
私は、どちらかと言われれば「否定派」の意見に近い考え方です。私自身が、野生での生き物たちとの出会いを一番の楽しみにしている人間ですので、彼らの野生での姿に関しては経験上、理解しているつもりですから。
また私は理科の教員でもありますので、両爬である彼らには「感情」というものは、ほとんどないと考えている人間です。こういうと身も蓋もないように聞こえますが、やはり行動の基本にあるものは「反射」でしかないだろう、と。
ですから理屈上は、生きていく上で特に必要とされない、と言うよりもむしろ生命の危機につながる「自分よりも大きい生き物からの接触」というのは「反射」のプログラムでは「避けて通るべし」とされているはずです。

ところが、うちのコーンスネークとかレオパ、小さなカメたちみたいに、さっきまで手に持たれていたのにすぐに餌を食う奴とか、あまつさえ手に持たれたまま餌を食う奴とかを見ていると、やはり「ハンドリング=ストレス」というのは必ずしも成り立たないのかなとも思います。

・驚愕の手乗り両爬たち
以前カナヘビの飼育記事で登場した私の友人はイヌやネコ並の愛玩動物として両爬を扱い、もちろんその個体を長く飼育し続けています。いくつか例を挙げると
・ニホンカナヘビが進んで手に乗ってくる
・ニホンカナヘビを手の乗せたまま、服につかまらせたまま外に出ても逃げない
・ダルマガエルがヒザに乗ったまま、一緒にテレビを鑑賞している
・アズマヒキガエルと一緒に風呂場で入浴(カエルは洗面器)
等々
にわかに信じがたい話なのですが、特に「手乗りカナヘビ」は私も実際に体験させていただきましたので、その時は驚愕しました。
で、確かにこの友人はさまざまな生き物の病気やケガなどを自分で治療することにも長けていますので、決してこのような驚くべきスキンシップ(つまり究極のハンドリング)とも無関係ではないだろう、と。

・結論
こうやっていろいろな例を見ていくと、結局は
・正しい方法によるハンドリング
・種類による、あるいは個体による適不適の差

を理解していく上で、彼らとの接触を行っていくことであろう、と思います。
つまり、どうすれば彼らにストレスを極力与えずに、さらには手乗りにすることができるのかを考えてハンドリングすること。
また、ハンドリングができない種類や個体は絶対に存在するわけで、そういう時は無理にしないこと。さらにハンドリングができる個体には、扱いに慣れさせる意味でも積極的にハンドリングに挑戦していくこと。
以上の2点が両爬に対してハンドリングするときに大切なことなのでしょう。
ハンドリングに向かない種類

ハンドリングに向かない種類


さて、次はハンドリングの実際について基本的なことと実践的なことをご紹介して「正しいハンドリング」について知識を深めてみましょう。
ただし、もちろんですが毒蛇や咬みつく力が強い生き物には決して適用しないようにして下さい。また、今回の記事を参考にしてハンドリングを行うことによって、万一
・ケガをした
・逃げられてしまった
などの事態が起こっても、責任を負いかねますのでご了承下さい。
さらに、
・生き物との一歩進んだコミュニケーション
・人間の手を恐れさせないようにする
の二つの目的でハンドリングを行うことの紹介であり、慣れていない個体のいわゆる「保定」の方法ではないこともご了承下さいますよう。
 

爬虫類のハンドリング時に注意すべき事

ハンドリングを行うときに注意すべき点を先に挙げておきましょう。

・「持つ」のではなく「乗せる」
ハンドリングと言っても、やはり掴まれたり、いじくり回したりするのではなく、あくまでも「手に乗せることに馴れさせる」くらいしか彼らには期待できません。その辺りを勘違いしないようにしましょう。

・接触面積を多く、安定させる
両爬は基本的に「はいずり回って」生活していますので、自分の体がどこかに接触していることで安心をするようです。手のひらを大きく広げたり、腕全体を利用して彼らの体を支えてあげましょう。

・前後によく手を洗う
彼らはにおいに敏感です。ですから有害なにおいは嫌います。タバコのにおいや、化学薬品のにおいなどがして、彼らから嫌われないように手をよく洗いましょう。
また逆に手に餌のにおいがしていれば、餌と間違われて咬みつかれることもありますので注意が必要です。
もちろん、生き物を触った後は、必ず手をよく洗うのも彼らとのつきあいのマナーでしょう。

・給餌直後は行わない
生物の消化機能とストレスには、とても深い関係があります。人間だって、ストレスがたまると胃が痛くなったりします。ですから給餌直後に、ストレスがたまる可能性があるハンドリングは行わないようにしましょう。
特にヘビの場合は、餌の吐き戻しをした場合は、そのまま拒食するようなことも考えられます。

・長時間行わない
よほどハンドリングされることに慣れている個体ならば別ですが、普通はストレスの原因となることも考えられます。あまり長い時間のハンドリングは避けましょう。特に両生類のように高温を嫌う生き物は、過度のハンドリングによって個体の体温の異常上昇をまねくおそれがあります。こうなるとグッタリとしてしまいますので注意が必要です。
ただしヘビの場合は、落ち着くまでに多少時間がかかる場合があり、まともにハンドリングを行わないうちに終了してしまうと、いつまで経っても持たれることに慣れてくれません。よく観察しながら時間を考えましょう。

・目を離さない
当然ですが、ケージの外で行うわけですから、脱走の危険性があります。絶対に目を離さないようにしましょう。

・高い場所で行わない
樹上性のトカゲなどのように自分から飛び降りる場合は別ですが、ハンドリング中に高い場所から落としたりするとケガをすることになりますので、万一に落ちても大丈夫な高さで行いましょう。
 

ハンドリングのやり方

さて、それでは基本的なハンドリングの仕方について説明してみましょう。ここでは2種類のハンドリングをご紹介します。

・ヘビの基本的なハンドリング
今回は、ヘビのハンドリングの達人であるCount Blueの三浦さんにその極意と実際の写真を提供していただきました。

1.ヘビを上から「わしっ」とつかむ
ケージ内のヘビを取り出す場合は、あまり動き回っているような時は避けます。シェルターの中でとぐろを巻いているような状態が最初はいいでしょう。ただし慣れてきたら、むしろ動き回っている時にフタを開けて、そのままハンドリングにもっていく方がヘビに対するストレスは少なくて済みます。
1.いかにも落ち着きの無いカラスヘビ

1.いかにも落ち着きの無いカラスヘビ


つかむ時は決して躊躇してはいけません。とにかくヘビの様子や顔色を見ずに、唐突に「わしっ」と。またヘビの顔の前に手を持ってこないように注意します。
持つ部位はできればとぐろを巻いた状態のまま、体全体を持つようにします。あるいは胴体の中ほどを持ち上げるようにすると、おとなしく持ち上げることができやすいと思います。もちろん個体差やヘビのご機嫌によりけりですが。
2.むんずっと掴みます

2.むんずっと掴みます


ちなみにアカマタあたりの荒いヘビは、この時点で終了です。ムリです。血、出ます。
ヘビのハンドリングでの手の開き方

ヘビのハンドリングでの手の開き方


2.手のひらの表面積を大きくするように広げる
なるべくヘビの体に接触する面積が広くなるように指を広げて立てます。言葉では説明しにくいので右の図を参考にして下さい。
自分の手が木の枝になるようにイメージするといいでしょう。

3.ヘビを手のひらにのせる
2.で作った手のひらにヘビをのせます。
3.ヘビは抵抗しますが、気にせずに持ち上げます

3.ヘビは抵抗しますが、気にせずに持ち上げます


4.ヘビの行き先に手を持っていく
ヘビは最初は逃げようとして頭を前方に伸ばしますので、下から手を添えて、ヘビの行き先に必ず手があるようにしてあげます。逃げようとしている間、これをくり返し行います。この時に、ヘビの下顎あたりにそっと指の腹あたりを触れさせるようにすると早く落ち着くようです。
4.最初は手から逃れようとします

4.最初は手から逃れようとします


5.指をヘビにからませる
少し落ち着いてくると、逃げようと体を伸ばしまくっていたヘビは次第に体のところどころを「S字」状に曲げますので、カーブしている場所にゆっくりと指をさし込んで、人間方からヘビにからませていきます。
5.ヘビの体との接点を多くしながら、なだめます

5.ヘビの体との接点を多くしながら、なだめます


6.ヘビが動かなくなったら、じっとする
ヘビが落ち着いてきたら、さらに落ち着かせるために、こちらもひたすらじっとします。
6.落ち着いてきました

6.落ち着いてきました


こうしてヘビが逃げようとするのではなく、体の接地場所を求めて、人間の腕や胴体にすり寄ってきたら、優しくヘビを扱って遊んでみましょう。ここまでくればハンドリングの完成です。

・カナヘビを手乗りにする
前出の友人から、カナヘビを手乗りにする方法を聞きましたので、ご紹介いたします。

1.給餌方法をピンセット(ハシ)→指→手のひらの順で行う
まず、カナヘビに「人間の手は怖くない」ということを覚えさせます。手のひらでの給餌ができるようになったら手の上に乗ってくるようになります。

2.指の上で日光浴をさせる
手のひらに乗ってくるようになったら、さらに安心感を与えるために手の上で日光浴をさせますが、細い場所の方が安心するようなので、手のひらよりも指の上の方がいいそうです。
指の上で日光浴中

指の上で日光浴中


3.服につかまらせる
手の上でリラックスできるようになったら、服につかまらせます。肌に直接だと、手がかりがなく不安定になるので、爪などがひっかけやすくなるように服につかまらせてみましょう。

私自身も、友人から完全に手乗り化したカナヘビを服につかまらせてみましたが、まったく逃げる気配もなく実にかわいいものでした。

ただし、このように苦労して手乗りにしても冬眠中に完全に忘れてしまうそうですので、春になって目覚めたら、もう一度最初から慣れさせる必要があります。

基本的に両爬は持って遊んだり、スキンシップを楽しむ生き物ではないと思っているのですが、よりお互いを理解する方法でもあり、それによって飼育をより一層楽しむことができるのならば、ハンドリングも大切な飼育技術であると言えるかもしれません。

注意点をしっかりと守り、生き物の表情をよく観察しながら挑戦してみて下さい。

では、最後に下の写真をご覧下さい。まさに両爬界驚愕の写真でしょう。
私の友人曰く
「十分にハンドリングに慣れたカナヘビを、もっとも安全に運ぶ方法」
だそうです。
究極の持ち方

究極の持ち方


決して、慣れていないカナヘビに対してはマネをしないようにしてください。
まさに究極のハンドリング...

【関連サイト】
Count Blue

【ガイド記事】

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。