おたまじゃくしの育て方
おたまじゃくしの育て方
今回は来るべき本格的な春に備えて、飼育初心者の方達が、このかわいいオタマをきちんと飼うための方法について解説します。
おたまじゃくし飼育の基礎知識
はっきり言ってオタマの飼育はそこまで構えるほどの難しいことはありません。ある意味放っておけば大きくなります。健全に成長させれば、やがて足が出て、手が出て、尻尾がなくなって小さなカエルになって上陸します。この一連の変化を「変態」と言います。が、この変態は形だけの変化ではありません。まず、呼吸の仕方が変わります。オタマはエラ呼吸で水に溶けている酸素で呼吸をしますが、変態後は肺呼吸と皮膚呼吸になります。しかし、最大の変化は「食性」の変化です。オタマのおなかを見てみましょう。渦巻きが見えますよね?それは植物食が強いことを示しています。ところがご存じのように変態後は完全な動物食に変化します。このようにオタマからカエルへの変態は劇的ですので、非常に飼育が難しいのです。ですから初心者の方は変態をして小さなカエルになったら、元いた場所へ逃がしてあげましょう。また、時期によって入手できるオタマの種類も変わってきます。地域によっても異なりますが、冬の終わりから春のはじめにかけてはヒキガエルやアカガエルのオタマが手に入りやすいです。また春から初夏にかけて、つまり田んぼに水が入る頃には育てやすいアマガエルのオタマも入手しやすくなります。そこで今回はこの三種のオタマについて基本的な飼育方法を紹介します。
必要なもの
まず、飼育容器です。水が漏れずにある程度の水量が確保できるモノならなんでもオッケーです。ただし、変態時に逃げ出してしまわないように最終的にはフタができるものがよいでしょう。普通の洗面器やバケツでも20匹前後の数ならば収容可能です。水底には何も敷く必要はありませんが、餌にもなりますので池などに沈んでいる落ち葉などを入れておくのも可です。彼らがつかまって休める場所にするために水草も入れておきましょう。照明も保温も必要ありません。保温をすれば成長は早いのですが、あまり早く育ててしまってもねぇ...観賞魚を飼育するようにエアーポンプや濾過装置もあると便利です。使う場合には、あまり強い水流にならないように注意して下さい。体力を消耗してしまいます。
使う水はカルキ抜きをした水道水でもかまいませんが、汲み置きして外で陽にさらしてカルキを抜いた方がいいです。
ここで注意したいのは水量です。どうしてかわかりませんが種類によって水位の好みがあるようです。ヒキガエルのオタマは水位はあまり選り好みしないので水量の確保のため「深め」にして構いません。ところがアカガエルやアマガエルのオタマは水位が深いとうまく育たないことが多いようです。「浅め」の5~10cmほどにとどめた方が良さそうです。
飼育容器の置き場は陽が当たらないところにしましょう。直射日光によってゆだってしまう事故が起こります。
おたまじゃくしの餌は何を与える?
基本的にオタマの時代は雑食で何でも食います。が、この時期にどれだけ栄養をつけたか、で変態後の成長に差が出るようです。基本的に彼らは水底にたまった有機物を食っているので、前述した「池に沈んでいる落ち葉」を入れておくと成長がよいようです。その他に意識的に与えるモノとしては基本的には「残飯」で十分です。ただし与えることを控えた方がいいのは「油が強い食品」「生の野菜」「肉類」です。オタマ飼育の達人の方が勧めるのは「ゆでたホウレンソウ」「焼き魚の骨」「かつお節」などでした。何にしても食い残しは水の悪化を早めますので、食い残しは早め早めに取り除いて水質の維持につとめましょう。ちなみにオタマ飼育でぶつかる壁として「共食い」がありますが、これは餌の量や栄養にあまり関係がないようで、十分に餌を食わせてもどうしても起こってしまいます。防ぐためには分けて飼育して「飼育密度を低くする」のが一番です。また共食いのときに「尻尾を食い残す」ことが多く、水質の悪化の原因になります。注意して下さい。やがて手が出て……
飼育時の水温にもよりますが、早ければ2ヶ月足らずで変態が起こります。後ろ足が生えてきてから前脚が生えるまで早ければ一週間。前脚が生えてきてから早ければ1~2日で尻尾を吸収し上陸します。尻尾がなくなってしまったら溺れてしまいますので陸場が必要になります。水槽にフタをして「ホテイアオイ」などの水草を浮かべるといいでしょう。あるいは上陸間近になったオタマをコップなどですくい取り(網などですくうとそれだけで死んでしまうことがあります)、1cmくらいの水を張って上陸用の平たい石などを置いた別の容器に移すのもよいでしょう。上陸した小さなカエルはかわいらしくて飼育欲をそそりますが、非常に飼育が難しいため、初心者の方にはおすすめできません。繰り返すようですが、来年も会えるようにオタマを採集した場所に逃がしてあげて下さい。
とても悲しいことですが、最近はカエル達もずいぶんと少なくなってきたようです。そんな彼らの子供のオタマです。大切に飼って、カエルの素晴らしさを再発見して下さい!!
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