どんな母音が隠れてる? アポストロフは母音失踪の手がかり

harry
世界的なベストセラー。Marguerite Duras作『L'amant』
英語でお馴染みのアポストロフィ。フランス語ではapostrophe(アポストロフ)と言います。文字自体にくっつくわけではありませんが、これも綴り字記号の仲間です。

apostropheは、フランス語では、2つ並んだ母音のうち前にある一つを省略するという働きをしています。例えば世界的なベストセラーで、映画にもなったMarguerite Duras(マルグリット デュラス)の「L’amant」(ラマン/愛人)という言葉を例にあげてみますと、男性名詞につく定冠詞の「le」(ル)と名詞「amant」(アマン)が、肉体関係をもって(?)「l’amant」と一つになっていると考えてください。余談ですが、間違っている人が多いので付け加えておくと、amantというのは「愛人の男」。ちなみに「女の愛人」はmaitresse(メトレス)と言います。

話を「愛人談」ではなく、「語学談」に戻しましょう。このl'amantのように、前にある単語の最後が「e, a, i」という3つの母音字のどれかで終わっており、次に続く単語の初めの文字が母音、もしくは無音のhである場合、apostropheが登場し、「e, a, i」にとってかわります。数式で言うと、le+amant=l’amantというわけです。この変身のことを、フランス語ではélision(エリジオン/母音字省略)といいますので、あわせて覚えておいてくださいね。

さらに、英語のアポストロフによる省略はしてもしなくてもいいようですが、フランス語はこのélisionをするべき場所でしないと、間違いになります。初心者の方は、Je(ジュ/私)とaime(エム/愛する)というのを覚えて、Je aimeと作文してしまったりしますが、正解はJ’aime(ジェム)。結構勉強している方でも、ときどきこのélisionを忘れてテストで悔しい思いをするものです。なかなかあなどれないのがこのapostropheですよ。

まとめあげた縁談は数知れず? 言葉をつなぐ仲人役のトレ・デュニオン

綴り字記号の最後は、trait d'union(トレ・デュニオン)。英語では「ハイフン」とよばれていますよね。英語と同じように、単語が2行にまたがりそうなときに途中で切ったり、pot-au-feu(ポトフ)のように、いくつかの言葉が合成されて一つの単語を形成するときに使われます。

ちなみにpot-au-feu を分解すると、pot(ポ/深鍋)、au (オ/~に)、feu(フ/火)となりますので、「火にかけたお鍋」で料理名の「ポトフ」となるわけです。

trait d'unionはこの他にも、Qui suis-je ?(キ スィ ジュ?/私は誰?)というような倒置疑問文の際に、動詞と主語代名詞の間に登場したり、Donne-moi.(ドヌ ムワ/私にちょうだい。)というような命令文のときに、動詞と人称代名詞の間に使われたりもします。また、ci(スィ/この)や、là(ラ/あの)という単語と組み合わせて、cette femme-ci (セット ファム スィ/この女性)などというときに使われるというのも覚えておきたいですね。

trait d'unionとは長さが微妙に違うのですが、フランス語の本などでこんな風にセリフの前に使われている横線は、tiret(ティレ)とよばれる別物ですのでお間違いなく!

―Vous avez compris ? (ヴザベ コンプリ/わかりましたか?)



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