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「トレビアン」の意味とは? フランス語の似た単語の正しい使い分け方

「トレビアン」というフランス語、あなたは意味をきちんと理解して正しく使えていますか?フランス語学習者ならずとも、耳にしたことがあるBien(ビアン)とBon(ボン)。その使い分けは意外と複雑。用法をきちんと整理して、正しい使い方をめざしましょう!

越智 三起子

執筆者:越智 三起子

フランス語ガイド

「トレビアン」というフランス語、正しく使えてる?

「トレビアン」というフランス語、正しく使えてる?

フランス語学習者でなくとも、「トレ ビア~ン」と「セ ボン」という2つの言葉は、フランス語として認知されている方も多いと思います。ところが、この「ビア~ン」と「ボン」の区別は、簡単そうで意外と難しい! 今回はフランス語
学習者泣かせのこの2つの言葉にスポットをあてて、お勉強してみることとしましょう。
   

「トレビアン」というフランス語の基本をしっかり押さえよう!

思わず「C'est bon ! 」の声があがるクロワッサン

思わず「C'est bon ! 」の声があがるクロワッサン

それでは、最初に認知度の高い「トレ ビア~ン」と「セ ボン」の正体からみきわめておきましょう。「トレ ビア~ンのフランス語表記は、Très bien。trèsは、英語のveryにあたる語で、「非常に」とか「大変」という意味です。さらに、bienですが、こちらは、主な用法としては、英語のwellにあたるフランス語で「よく」とか「上手に」という意味を表す副詞であるため、「大変よい」という風に解されます。

一方「セ ボン」として知られているのが、C'est bon。英語でいうと「It's good」。つまり、bonの基本は「よい」という意味を表す形容詞で、「おいしい」などというときにも使います。

例をあげると、bonはbon resutaurant(ボン レストラン/いいレストラン)、bienはElle danse bien.(エル ダンス ビアン/彼女は上手に踊る)という感じで使います。ここまでの区別は、簡単ですよね。ちなみに英語の場合、goodとwellの比較級は同じbetterですが、フランス語の場合は、bon の比較級はmeilleur(メイユール)、bienの比較級はmieux(ミュ)と異なりますので覚えておきましょう。
 

同じニュアンスを表すなら品詞に注目!

先ほどお話したように、bonは一般的に形容詞として使われることが多く、bienは副詞として使われます。こうした場合は、それぞれの品詞の特性にあわせて文章をつくってやることでほぼ同じ意味を表すことができます。例をあげてみましょう。

Il travaille bien.(彼はきちんと仕事をする。)
Il fait du bon travail.(彼はいい仕事をする。)
(例文引用:『Difficultés du Français』)

一般的にフランス語の形容詞は名詞の後ろに来ますが、bon の場合は名詞の前につくのが普通です。また、副詞の位置は動詞の後ろというのが一般的ですので、上記のような例文であれば、ほぼ同じニュアンスとなります。

ところが、このbonとbienは、両方とも、時には副詞として、また時には形容詞としても使われることがあります。こうなってくると話はかなりややこしいことに。特にbienが形容詞として使われる場合には注意が必要です。おいしいものを食べた後に使われる C'est bon ! (セ ボン/おいしい)のような表現の他に、C'est bien !(セ ビアン)という言葉もよく聞かれますよね。
 

フランス語の辞書では定義はどうなってるの?

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一冊は手元においておこう! 仏仏辞典
さて、bienとbonの使い分けについて調べようと辞書を調べてみたもののあまりにもの訳語の多さに辟易という方もいらっしゃるでしょう。確かに読めば、読むほど混乱してくる気がします。とはいえ、bonと比べて形容詞として使われるbienの定義はびっくりするほど多いというわけでもありません。ここでは、簡単に仏仏辞典で、bienの項目に掲げられている基本的な類義語をみてみるとしましょう。
 
  • Satisfaisant(サティスフザン/満足な・納得のゆく)
  • Bon, bravo, parfait(ボン,ブラヴォ,パルフェ/素晴らしい・完全な)
  • Juste, morale(ジュスト,モラル/公正な・正義にかなった・道徳的な)

    (参考辞書:『Petit Robert I』)
次にこれらの語が、bonの類義語として登場するかみてみましょう。Satisfaisantはbonの類義語として登場、またBon, bravo, parfaitのグループはその中にbon自体が入っていることからもわかるように、この2つの意味を持つ場合、bonとbienの区別をするのは難しいようです。どうやら鍵を握るのは、Juste, moraleの意味をもつbienのよう。というわけで、フランス人にも聞いてみることにしましょう。

 

フランス人にも難しい! ヒントは「善」という漢字?

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Philippe Delermの作品で「bien」の世界を味わおう!
さて、今回は語学が専門というわけでなく、フツーのフランス人に聞いてみたかったので、いろいろなフランス語サイトの掲示板に書き込んで「C'est bon.」と「C'est bien.」について質問してみました。ところが、そのうちのほとんどが、「Ce n'est pas facile de distinguer l'usage de chaque mot.」(これらの言葉の用法を区別するのは簡単ではない。)というご意見。この前提をふまえた上で、比較的コンパクトにまとめていただいた説明をご紹介します。

「Bon est utilisé pour la nourriture et l'effet sur la santé ou le moral individuel. Bien est utilisé pour les actions sous l'angle de la moralité collective ou de l'effet sur le résultat. 」

(Bonは食べ物や、健康状態、気力などを言うのに使われる。また、Bienは、集団的なモラルという観点からみた行為、試験の結果などに使われる。)

というわけで、一般的には「C'est bien ! 」という時には、お金をひろって警察に届け出るような「善行」に対するホメ言葉感覚、つまり「道徳的な価値判断」で善い(よい)というニュアンスが含まれ、「C'est bon ! 」という時には「感覚的」に心地よいというニュアンス、漢字で表すなら「好ましい」という意味をもつ「好い(よい)」という感じが含まれていると考えてみるとわかりやすいかもしれません。
 

フランス語の細かいニュアンスをしっかりとらえよう! 

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フランス語お勉強の旅はまだまだ続く……
これまで、みてきたbienとbonの区別、実際は「道徳的」、「感覚的」という方法ではすべてを識別できないのですが、とりあえずは一つの原則として覚えておけば使用のヒントとしてきっと役立つはず。さらに、この原則に追加して微妙なニュアンスの差として、「bien」は副詞的に「行為」をほめ、「bon」は状態をほめるという説もあるということもあわせて覚えておくとよいでしょう。最後に一つ例文をあげておきます。

C'est bien, continue comme cela.
C'est bon, continue comme cela.

どちらも、「よくできました。この調子で続けて。」という日本語になりますが、この場合は「bon」は結果について、「bien」の方は、手段や方法をより重視してほめていると言われます。

「結果がいいのか過程がいいのかなんて考えていたらホメられないだろ~! 」というのが本心ではありますが、めげずにいろいろな例を集めて地道にニュアンスをつかんでいくことがやはり必要なようですね。

とにもかくにも、フランス語両想いへの道筋はまだまだ険しいようです……。

【参考文献】
  • << Difficultés du Français>>, Jean-Michel Robert, Hachette, 2002.
  • << Petit Robert I >>,Le Robert,1989

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