ささ身(手前左)と胸肉(右)が特に美味に仕上がる
すべての部位が骨からきれいにはがれ、肉は、ほろほろとして柔らかく、しかも鶏の旨みはすべてジューシーな肉の中に閉じ込められていて、本当に美味ですよ。スープももちろんおいしく、またコラーゲンもたっぷりです。
ポイントは濃い鶏のスープで煮ることと、煮立たせないで長時間保温して、じっくりじっくりと火を通してやることです。
もっとも重要なのは保温の過程ですが、これがまさにダッチオーブンにうってつけ。火力の衰えてきた熾き火に上に載せておくだけで保温でき、じっくりと火を通すことができます。
さて、今回は、キャンプでの一日をイメージして、作り方をご紹介します。
「今日は焚き火で鶏を炊いて一日を過ごそう!」というコンセプトです。
ダッチオーブンで作る丸鶏のポトフの材料
<鶏のブイヨン>鶏ガラ:1羽分
セロリ、タマネギ、にんじん等の香味野菜:適宜
昆布:5g程度
黒コショウ、クローブ:適宜
<ポトフの材料>
鶏:1羽
新タマネギ:2~3個
ニンジン:2~3個
粗塩(岩塩かミネラル分豊富な海塩):適宜
タイム:2~3枝
パセリ:3~4枝
ローリエ:1枚
セロリ:茎の部分10cm分程度
白コショウ:5~6粒
カブ、ブロッコリなど野菜類:適宜
※ハーブ、スパイス類はあるものを適当に使えばよいでしょう。
丸鶏のポトフの作り方手順1:AM9時~ 焚火を熾す
小枝を平行に並べるとよく燃える。“薪も人も寄り添って寝ると熱く燃える”というのは世界共通の冗談だとか |
まず杉の葉を置き、その横に少し大きめの木を添えて、その木に直角になるよう、小枝を斜めに立てかけていきます。小枝は皆同じ方向に並べます。その上にさらに大き目の枝を並べます。
雨天に備えて、新聞紙と、すぐに火がつく割り箸や製材の切れ端などを持参しておいても良いでしょう。
なお、地面での焚き火禁止のキャンプ場では必ず焚火台を使います。また写真のように枯れ草のある地面で直接焚き火をする場合(しないに越したことはないのですが)、周囲に水を撒いて火が燃え移らないようにします。
杉林は目的地までの道沿いに必ずといって良いほどありますので、キャンプ場近くに杉林がない場合、途中の杉林で枯れ葉を事前に採集しておいても良いでしょう。
丸鶏のポトフの作り方手順2:AM9時半~ チキンブイヨン作り
今回入れた野菜はタマネギ、セロリ、ニンジン、そしてタマネギの葉 |
今回は焚き火の上に直接三脚で吊るしてある |
あらかじめガラを熱湯でさっと茹で、よく水洗いしてから使えば「あく」はあまり出ないのですが、アウトドアではちょっと面倒なので、沸騰してからあくをよく掬うようにしましょう。
ガラには結構肉がたくさん付いているので私はその肉を骨からそぎ落として具にしてしまいます。
丸鶏のポトフの作り方手順3:PM2時半~ ポトフを作る
鶏は足をタコ糸で結んでおくと形よく仕上がる |
ダッチオーブンの中のブイヨンから鶏ガラや煮込んだ野菜を取り除きます。
続いて粗塩を入れ、調味します。粗塩は火を入れるにつれて塩味が強く感じられてくるので、薄めの味つけにして、あとで調整します。
ブイヨンの中に丸鶏、新タマネギ、ニンジン、そしてハーブ類を入れます。
ここでは直径32センチのダッチ・オーブンに約2.2kgの丸鶏を入れています。鶏のサイズはダッチオーブンに合わせてください。
続いて焚き火の中から適当な熾きを取り出して集め、ファイヤープレイスを作ってその上にダッチ・オーブンを載せます。
このとき火はかなり弱くなるように調節します。もちろんブイヨンが沸騰してはだめ。ただし冷めてしまってもだめ。
鶏をお湯の中で泳がす、ぐらいの感じで、鍋が常に保温されている状態になるよう熾き火を調節して、その上に2~3時間載せておきます。
こう書くと火加減が難しいと感じられるかもしれませんが、ときどき鍋の蓋に触ってみて、蓋が常に温かい状態を保っていれば、大抵は大丈夫です。
食べる前にもう一度温めても良いでしょう。温めるときに、カブやブロッコリを入れるといっそう、おいしいですよ(カブは温める前に鍋に入れ、ブロッコリは沸騰する少し前に入れて軽く火を通します)。
冷めてもおいしいです。冷めるとスープはびっくりするぐらいぷるぷるの煮こごり状になます。
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