「誰でもよかった」への疑問
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刃は誰に向けられるか |
少年は、「誰でもよかった」「誰でもいいから皆殺しにしたかった」と言っていたと、どの報道を見ても書かれていました。しかし、ネット上では唯一、時事通信社だけが、「さらに『男性は強いので、弱い女性を狙った』とも語ったという」と、記述していました。実際に被害者たちは、18歳、28歳、30歳、42歳の女性4人と61歳の男性でした。また、車椅子の女性も追うなど、明らかに女性ばかりと高齢者、弱者を選んでいます。(1月20日付産経新聞記事では、「これまでの警視庁の調べに対し、少年は『弱い女性や高齢者を狙った』と弱者をターゲットに絞っていたことを明らかにした…」と記述されています。1月20日加筆)。この点は、常々言っておりますが、通り魔は、報道されるように「誰でもいい」と思って狙っているわけではないのです。女性、子ども、高齢者といった、必ず自分より弱い者を選んでいることを忘れてはいけません。たとえば身長185cm、体重100キロを越えるような人物を狙うことは滅多にないといえるでしょう(過去に一度、格闘家が通り魔に遭ったことがありましたが、バイクからの犯行だったはずです)。彼らが狙うのは、確実に襲える相手、自分より弱い人なのです。「誰でもいい」というのは、「見知らぬ人で、その場にいて襲いやすい人なら誰でもいい」という意味にとらえるべきです。報道関係者に会ってこうした話題になるたびに、「『誰でもよかった』と犯人が言ってました、と報道するのは、『それでは注意のしようがない』と警戒する意識を持てなくなる恐れがあるので、『女性や子ども、高齢者だったから狙った』と、報道するべきだ」と言い続けてきていました。最近は、「子どもだから抵抗しないと思った」とか、「高齢者だから追ってこないと思った」といったように、具体的に書かれた記事も見かけるようになってきたので、読者が理解しやすく、より警戒心を持てるようになってきたと思います。
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襲うのは襲いやすい人 |
容疑者に対して「誰でもよかったのか」「誰でもよかったんだな」と訊くと、「そうです」と答えてしまうでしょう。「どうして狙ったんだ」「なぜ被害者を選んだんだ」と容疑者に訊けば、あるいは「女だったから」「子どもだったから」「高齢者だったから」「力で自分が勝るから」「自分の体格のほうがよかったから」など、具体的な言葉がかえってくるかもしれません。「誰でも狙われるんだ」と考えるよりは、女性、高齢者、子どもは、自分はまず狙われやすいのだということを意識して、行動することが大切です。通りを歩いていて、何か騒ぎが勃発したなら、すぐに周囲を見渡して、逃げ込める場所を探しましょう。普段から、漫然と歩くのではなく、「もし、今、ここで通り魔が出現したら」という意識を持って歩くようにすれば、自然と周囲の人たちや状況を観察するようになれるでしょうし、誰よりもすみやかな行動が取れるはずです。また、自分の立ち位置によっては、状況を見ながら安全を確保した上で、携帯電話のカメラで撮影したり、110番通報をしたり、といった行動もできればしたほうがいい場合もあるでしょう。せっかくの便利なツール=携帯電話を有効活用する心がまえをしておきましょう。いつ、どこで、通り魔が出現するか、誰にも予測できません。しかし、「あなたが遭遇するとしたら、あなたが歩いているその道で」であることは間違いありません。人通りの多い場所、一人きりで歩く通りでも同じように適度な緊張感を持ち、「絶対に自分は通り魔被害に遭わないぞ」という意識で歩くことです。■あなたの一票/通り魔事件が身近で起きるかもしれないという危機感はありますか?結果は
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