ケース1~詐欺罪成立!
ケース1のTさんの場合は、店員が間違っていたことに気がついていました。このように、「つり銭が多いことを知っていながら、そのまま黙って受け取ってしまう」と「詐欺罪」が成立すると解釈されています。「つり銭が多い」ことを告げなければならないという「作為義務」(※作為=法律で、人の積極的な行為・挙動のこと)があるのに、これをしなかったという「不作為」は「詐欺行為」になるのです。つり銭が間違っていたら、「間違っていますよ」と告げる義務があるわけです。分かっていながらお店の人に言わないでいると、「詐欺行為」になってしまうのですから、やはり間違っていると、正直に言うべきでしょう。
ケース2~詐欺罪は不成立。でも!
レシートに隠れたおつり銭は合っている? |
遠いところにある店だったり、二度と行かない店だったりすると、わざわざ「つり銭が多かったですよ」と言いに行くのもはばかられるかもしれませんが、もし、きちんと店に行って「おつりが多かったですよ」と返還すれば、店からは感謝されるのではないでしょうか。実際は手間も掛かるし、面倒と思ってしまうことが多いかもしれませんが、気づかないうちに、「詐欺罪」や「遺失物横領罪」という罪を犯しているとしたら…?
「防犯」とは、自分が被害に遭うことを防ぐ、犯罪被害に遭わないようにすることですが、自分が罪を犯すこともないように、日常生活で起こりがちな「つり銭の間違い」にも、注意したいものです。もちろん、お店の側も、レジでは「預かり金」を必ず打ち込んで、正しいつり銭を渡すように気をつけましょう。お金の間違いは、お互いにいい思いはしません。(儲かった!)と思っても、悪いことをしたと心に残るようであれば楽しいことではないでしょう。正直に申告することがよろしいのではないでしょうか。
なお、別の意味の「つり銭詐欺」もあります。こちらの記事も参考にしてください。→お店の人、必見!チェンジ窃盗!
■法律ワンポイントチェック
刑法 第246条(詐欺)
(1) 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
(2) 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
刑法 第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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