ケース1~会社員Tさんの場合

3万円? それとも2万5千円?
3万円? それとも2万5千円?
会社員のTさん(36歳)は、部下を数人連れて居酒屋に行った。プロジェクトが上首尾で完了したことの打ち上げだった。会社の経費でまかなうものの、とりあえず自分の財布からお金を出した。勘定は22360円だった。1万円札を2枚と5千円札をレジで手渡すと、新人らしい店員は「3万円お預かりします」と言って、7640円のつり銭を寄越した。見ると、渡した紙幣はそのままレジの中に既に入れてしまっていた。

たまたま1万円札2枚の下に5千円札があったのだが、店員が疑いもせず、「3万円」と受け取ったので、あるいは自分が勘違いをして3万円を出したのかもしれないと思い、そのままつり銭をもらった。店員は領収書を書くのに一生懸命で、まったく疑っていない。「ありがとうございました。又お越しくださいませ」「どうも。ご馳走さん」と軽く手を上げて、皆と一緒に店を出た。誰もTさんが2万5千円しか出していないことを見ていない。

店内は混雑しており、相当忙しそうだった。店を出ても、店員はすぐにホールに戻ったようで、追いかけて出てくることもなかった。領収書を財布にしまいながら、中身を確認すると、やはり1枚あった5千円札がない。出したのは2万5千円で間違いなかった。店員も気づいていないし、誰も気づいた様子はない。Tさんは得をした気分になって、「よし。じゃあ、カラオケにでも行くか。今度はオレがおごるよ」と、声を掛けた。皆の歓声に上機嫌で鼻歌を歌いだしたTさんだった。


ケース2~主婦Nさんの場合

主婦のNさん(39歳)は、新聞折込のチラシで見て少しでも安いものを買いに行く。自転車で出かけるので、けっこう遠くの店でもいとわない。その日は売り出し日だったので、店内はかなり混んでいた。目当ての商品をカゴに入れてレジに向かった。どちらかといえば古い店で、レジスターも最新式ではない。1762円の支払いに対して2千円と62円を出した。店員はNさんの手のひらにレシートとつり銭を押し付けるように渡すと次の客のカゴに移っていた。

Nさんは確かめずにレシートにお金を包むようにしてそのまま財布につり銭を入れた。次の客は連れの子どもに話しかけていたので、こちらをまったく気にしていない。Nさんが帰宅後に家計簿をつけてみると、400円多かった。考えてみると、本来は300円のおつりのはずが、店員が間違って700円寄越したのだった。店員の単純な思い込みだろう。申し訳ない気もしたが、わざわざ返しに行くほどでもないと判断して、家計簿にはつけず、へそくりの貯金箱に400円を入れた。


よくあること?

どちらもありがちなケースです。最近はレジスターも進化して、預かり銭を打ち込めば正しいつり銭が表示されるので、つり銭を間違うことはほとんどないと思われます。しかし、預かり銭を打ち込まないで「現計」だけで打ち込むほうが時間も短縮できるので、慣れた人はよく現計で打ち込み、暗算でつり銭を出すことも多いようです。

Tさんはつり銭を受け取った段階で、間違いに気づいていました。Nさんは帰宅後につり銭が多いことに気がつきました。いずれもお店にお金を返してはいません。これは罪になるのでしょうか? それとも「店員の間違いだから、彼らには罪はない」のでしょうか? 答えは次ページで!