防犯/子どもを犯罪から守る

子どもの安全は行動範囲の死角を把握することから(2ページ目)

わが子の通学路の危険をただ、「気をつけなさい」と言うだけでは不十分です。子どもと一緒に通学路を歩いて、どんな死角があるのか知り、さらに万一に備えてどう行動すべきかを伝えることが親の役目です。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

一人の時間をどう動くか

一人きりでは危ないよ
一人きりでは危ないよ
子どもは、どうしても一人きりになってしまう瞬間を、不審な人物が狙っていると考えて行動することができなくてはなりません。そもそも、見知らぬ人物に声をかけられることで、いいことなどないものだと知っておくべきです。大人でも、「キャッチセールス」などに捕まらないように、「見知らぬ人物に声をかけられても無視すること」が必要なのです。

が、これも日ごろからそのように意識していない限りは、「ちょっとすみません」などと不意に声をかけられると、うっかり立ち止まってそちらを向いてしまったり、「え?」「はい?」などと返事をしてしまうでしょう。これは、「ちょっといいですか」「すみません」など、いかなる問いかけの言葉にも、(こんな場所で見知らぬ他人に声をかけられることはおかしい。これはキャッチセールスである)と理解して、絶対に声をかけられても答えないと決めていれば、初めからしっかりと無視できるはずです。

たとえば、急いでいるときは早歩きや小走りになっていて、誰にも声をかける隙を与えないものです。ということは、できる限り、一人で行動するときは、早く歩く、もしくは小走りで通行することがいいのではないでしょうか。もちろん、車などに気をつけることも大切ですから、不審な車や人物の接近に早く気がつくように必ず周囲をよく見ていましょう。

要するに、「意識の問題」なのです。ただし、大人なら頭で考えて、自分で判断することもできるでしょうが、子どもにはまずどういう状況かすらもよく分からないものでしょう。だからこそ、大人が一緒に考えて、教えてあげる必要があるのです。集団下校で帰るとき、あるいは学童保育や図書館や友達の家から帰るとき、一人になってしまう区間をよく考えて、自宅に帰り着くまでは誰にも声をかけられないようにするといいでしょう。

もちろん、家族や知り合いから声をかけられる場合もあるでしょうが、その際は名前を呼ばれるのではないでしょうか。自分の名前を呼ばれて、知っている人の声だったら立ち止まって「こんにちは」と挨拶するくらいは当たり前でしょう。知っている人から声をかけられることと、見知らぬ人ではまったく違います。

また、ここで、たとえ知っている人でも、よからぬ考えを持っている人の場合もまれにはあるかもしれません。顔見知りであっても、一人きりのとき外で声をかけられることには、ときには重大な危険性をはらんでいることもありえます。その違いを見極めることを、子どもだけに負わせることは無理でしょう。

親子で確認、時間と場所の死角

やはり、親などが一緒に考えて、何度もシミュレーションしておくしかありません。子どもの安全に親が一緒になって真剣に取り組むことが必要なのです。拙著親子で覚える徹底安全ガイドにも書いてありますが、気をつけなくてはならないのは女の子だけではありません。男の子もまた、ターゲットになることがあるのです。女の子、男の子問わず、小さな子どもにはいつでも魔の手が伸びてくると知っておきましょう。

ただ「怖いから気をつけなさい」と言うことは誰にもできます。しかし、具体的にどんな場合、どんな状況が危ないのか、親も子どもも理解しておかないと、表面的に気をつけるだけで、実際の場面での対応が上手にできないかもしれないのです。「分かっているはず」「分かっているつもり」ではなく、親子の間でしっかり確認しあうことです。

子どもが一人きりになる時間、すなわち「時間と場所の死角」を把握すること。そして、死角の時間をいかに短くするか、死角の場所をどのように通過すべきかをよく考えて、親子で検証しておきましょう。これまでの記事を参考にして、今一度、親子の間で安全対策をしっかりと確実なものにしておくようにしましょう。

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