話し方には理由がある
「話し方には理由があります」 |
――あ、そうですね。確かに。
あれにはちゃんと理由があるんです。雑踏の中では、あるいはお年寄りなどは、早く話されると理解できなくなるんです。これは情報理論なんですが、ある短時間に情報を多くすれば理解できなくなる、少なくすれば理解しやすくなるということです。理解できなくなるということは、何をしゃべっていたのかわからなくなる。
お年寄りの場合は、まぁお年寄りといっても色々ありますが、おそらく1分間に300語を越えれば、もう理解に苦しむんじゃないですか。ですから、キーワードだけ遅くする。するとキーワードだけが残る。たとえば、「逮捕」「警察」「交通事故」「示談金」これらだけが頭に残る。その他の方言だとか、しゃべり方だとかはとても理解できないでしょう。振り込め詐欺の電話は、心理的に読んだ巧妙な手口なんです。あなどれませんよ。
――うーん。なるほど。
あとはお金のことを言ったら、もうそれはおかしいと思うべきです。警察は民事不介入ですから、示談とか何かお金のことを言うというのはそれだけでもう、「振り込め詐欺」だと気づくべきです。お金と警察は絶対にからみませんから。
――そうですね。示談とかお金とか言ったらその時点でもう切ってもいいわけですよね。今伺ったような話し方というのは、たとえばほかの「訪問販売」とかの悪質商法などでも、有効な話し方ということになりますか。
「防犯」は被害を未然に防ぐこと!
そうです。「訪問販売」などでも電話をかけてくるのもそうですが、逆にこういう話し方をすることで、自分たちの商品を印象付けることができますよね。――私が運営しているこの「防犯」サイトですが、ときに「もろ刃の剣」ということで、手口を教えてしまうことにもなりかねないのが心苦しいときがあります。ただ、情報を悪用するのはごく一部で、大多数の方はやはり防犯に役立てようということでサイトに訪れてくださるのだということで、記事にするんです。一般の方にとっては、こうした犯罪を未然に防ぐために必要な情報というのはとても大切だと思います。
もちろん犯罪を未然に防ぐことが防犯ですから。警察ではどうしても何か起きてからということになってしまいがちですが。本来は「防犯」こそが警察の役目だと思います。
音の犯罪捜査官が語る防犯 Vol.2では、「近隣の騒音問題」等についてお話いただいています。続けてご覧下さい。