防犯/防犯小説

【最終回】テレクラの甘い罠~ヤツらの最後(3ページ目)

K介は「美人局」の被害に遭い、妻に覚られて告白するが妻の理解のもと、警察に届け出をした。その後、別の事件が起きて犯人が捕まることに…。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

美人局事件の“なぜ”
彼らは、実際にこのようにして「美人局」を実行していたのである。4人は20~21歳で、ナカニシはクラブのDJ希望のフリーター、他の男たちは現役の大学生であった。ミサキは元水商売の無職で18歳。女はミサキの他にも、援助交際の経験がある十代の女性を何人か用意していた。すべて、クラブで知り合った遊び仲間だった。男たちは裁判にかけられ、未成年の女たちは、厳しく指導されることになった。

だが、被害者の側にも問題があった。相手になった女性たちが未成年だったため、「青少年保護育成条例」に違反していたことになるのだ。つまり、被害者でもありながら条例違反という、こちらも犯罪者でもあったのである。K介は妻の理解を得られたが、他の男性には、離婚問題にまで発展したケースもあるようだ。


独身男性であっても同様のケースが起こる。同じ頃、十代の少女とテレクラで交渉が成立したフリーターの男性(23歳)が、約束の場所である公園に出向いたところ、突然、数人の若い男たちに取り囲まれて、監禁状態におかれた。男たちは、スパナ等で男性を殴り、足で蹴りつけるなどして「顔面打撲・下肢、肋骨など打擲」の傷害を負わせたうえに、現金1万7千円を奪った。

さらに、キャッシュカードを奪い、暗証番号を聞きだして現金75万円あまりを引き出した。男性の届け出により、「強盗致傷」「監禁」「窃盗」の罪で16~17歳の少年ら計6名が逮捕されたという事件も発生していたのだ。こちらも被害男性は、未成年との交渉を目的としていた点をたっぷりと絞られた。


このように、男性の「若い女性(とくに未成年)との交渉」を目的とした出会い、それを弱味としてつけ込む悪質な「美人局」事件は、往々にして発生する。男性側に弱味がある以上、つけ込まれてこうした被害になることもあり得るのだ。被害にあった男性たちも、自分の愚かさを自覚して反省しているだろうか。結局、「オイシイ話」などはなかなかあるものではないし、こうしたリスクもあり得る。法律違反の行為をしたら当然、それなりの報いがあると覚悟しておく必要があるだろう。


裁判の結果、ナカニシと一緒に行動した学生たちは「恐喝」「傷害」などで懲役2年6月に執行猶予が4年ついた判決だった。ナカニシはさらに重い判決だったためにこれを不服として現在、控訴中である。

■法律ワンポイントチェック~刑法
第249条(恐喝)
[1] 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。


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