19世紀末イギリスで起こった「切り裂きジャック」事件は世界中を震撼させた、猟奇的な売春婦殺人事件です。5人(または6人ともいわれる)の被害者は、いずれもロンドンの貧民街ホワイトチャペル地区で売春婦をしており、その遺体は全身を刃物で切り裂かれていました。

新聞社などへ送られた「切り裂きジャック」の署名入り犯行声明文は捜査関係者をからかうようで、犯人は結局捕まらず、未解決事件となっています。その最初の事件は1888年の8月31日のことでした。

今年2001年はそれから113年経っているわけですが、例年にない酷暑のこの夏、日本でも類似した事件の萌芽(ほうが・きざし)ともいうべき事件が人知れず起こっていました。

十代の少女Aは、夜の繁華街のネオンと行き交う人々の中を目的もなくぼんやりと歩いていました。するとそこへ一人の男が近づいてきました。「お金を払うから」ホテルへ一緒に行かないかと誘われました。とくに怪しい感じもしないし、お小遣いがもらえるなら…と相手の素性も知らないまま、山手線のとある駅の近くのホテルについて行きました。

少女Aはとても人気のあるブランドバッグを持っていました。一目でわかるそのバッグを持ち、夜の街を一人で歩いていた彼女はどのように見えたでしょうか?

十代の少女には普通、買うことの出来ない高価なバッグ。目的もなさそうに歩く姿は、男が援助交際を持ちかけるようなタイプ、つまり援助交際の経験があるように見えたのでしょう。そしてためらいもなくついて行ったということは、それが事実であると物語っているようです。

ホテルの部屋に入ってから何が起こるのか、少女Aにはわかっていたのでしょう。そうでなければついていかないでしょうし、次のバッグのためにか、あるいは遊興費のためか、お金のために見知らぬ男に身をまかす…。

とにかく金銭目的でホテルの密室に彼女は入って行ったのです。「援助交際」という名の「売春行為」を行う、売春婦と呼ばれてもいたしかたのないことです。ところが、密室で起こったことは「売春行為」と呼ぶにはあまりにも恐ろしいことだったのです。男は少女Aに何をしたのか?