拒絶…!
頭の中が真っ白になったように立ちつくした。(拒絶するなんて!)我が目を疑った。(そんなバカな!?)
「今週の土曜日はダメということですか? それなら来週はいかがですか?」
またメールを送信してみる。
「だ・か・ら、もう二度とメールしてこないでください!!!」
(信じられない!!)
呆然として、考え込んだ。(何が悪かったのだ? 二度と会わないなんてそんな勝手なことを。若いくせに男をたぶらかそうとしているのか?)拒絶されたことが信じられず、やがて身勝手な怒りとなった。(生意気な。人が金を払ってやろうというのに。よし、あの子にはもう二度と金を払わんぞ。欲しいと言ってもだ。ほかにいくらでも若い子はいるんだ。もっとかわいい子を「出会い系サイト」で見つけてやる!)
だーかーら、彼女はもう会わないって言ってるんだから、お金が欲しいなんて言わないって。
Try! Try! Try!
そうして、「出会い系サイト」にさんざんアクセスした。しかし年齢だけでまず若い子はダメだった。60歳を過ぎているが五十代としても、15歳もサバ読んで48歳としてもダメだった。中高年はそれなりにそういう年齢の対象がいるのだが、自分のことを忘れて(ババァなんて。家内だけで十分だ。私が必要なのは若い子なんだ。あの子と同じくらいに若くてかわいい子がいいんだ。お金は出すんだから、若い子を買ってもいいだろう)ムキになってアクセスするがどれもうまくいかない。約束をしてもその場所に相手が来ない。自分の若くない姿を見て立ち去るのか? もう5万円でも10万円でもいい。あの子みたいな若い子と出会いたい。試しに10万円としてみると今度はかえって不審がられてダメだった。
そんな下心丸出しでは、女性がいやがるということも気がつかないんですね。まったくスマートさに欠けています。
それに、実際には「サクラ」と呼ばれるアルバイトでメールのやりとりをする女性(中には女性をかたる男性もいるという)が多いということもわかった。結局、一度も新たな十代の少女とは出会えなかった。
忘れられない…
そうなるとただ一度出会ったあの少女である。日数が経つほどあの子と出会えたのは奇跡的だったのだと思えるようになった。少女とのことが美化されて、夢の出来事のように感じられた。たった3万円で夢を見ることができたのだ。夢のような時間を何度も頭の中で繰り返し思い出す。少女は女神のごとく思えた。自分の思い通りになる十代の少女。倒錯的な思いに身を焼き焦がすようだった。男は少女にメールを再度送ってみた。返事すらかえってこなかった。だが、男の中ではわずか3万円で自由になった唯一無二の少女として、忘れ去ることはできなかった。タクシーの中でかわした会話を何度も思い出していた。そして、ときおり返事の来ないメールを送りながら、あきらめきれずに少女のことを調べだしたのである。
タクシーの中での普通の会話として話しただけで、少女にとっては単なる世間話で終わっている。男にしてもごく普通のやりとりをしたつもりだった。つまり、とくに男がその時から少女に関する情報をどうにかしようと考えていたわけではない。しかし、少女のことが思い通りにならないとわかったときに、その情報が意味と力を持ち始めたのだ。男はどのように、少女のことを調べたのか? そして、どのように少女を追いつめていったのか。
【連載第4回】出会い系サイト~男の執念に続く。
次ページで「ストーカー/心理と対策プチ講座Vol.2」もあわせてご覧下さい♪
【連載第1回】出会い系サイト~少女の誤算
【連載第2回】出会い系サイト~男の手練
【連載第3回】出会い系サイト~少女の拒絶
【連載第4回】出会い系サイト~男の執念
【連載第5回】出会い系サイト~少女の後悔
【連載第6回】出会い系サイト~男の代償
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