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山崎蒸溜所100周年・やまざき物語序章

今年、サントリー山崎蒸溜所は100周年を迎える。1923年、日本初の本格モルトウイスキー蒸溜所として建設に着手。この100年という年月の間に世界的に名高い蒸溜所となり、数々の名品を創出してきた。今回から100周年を祝い、記念記事として山崎の地の歴史風土、歴史的エピソード、蒸溜所の歩みについて語っていきたい。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

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1923年蒸溜所建設着手から100年

天王山に抱かれた山崎蒸溜所

天王山に抱かれた山崎蒸溜所

 2023年。サントリー山崎蒸溜所は100周年を迎えた。ちなみに白州蒸溜所は50周年となる。1923年の建設着手からはじまる日本初の本格モルトウイスキー蒸溜所としての歩みは、日本のウイスキーの歩みそのものである。
 1929年に「サントリーウイスキー」(白いラベルから白札と呼ばれ、サントリーウイスキー白札となり、現在はサントリーウイスキーホワイト/『サントリーホワイトを飲もう/2019年発売90周年』参照)が発売されてから後、今日まで数々の名品を世に送りだしてきた。山崎蒸溜所がなければ、日本のウイスキーのいまはなかった。
 この100周年記念記事は山崎の歴史風土を語りながら、山崎蒸溜所の歩みを語っていきたい。
 
 山崎蒸溜所の住所は大阪府三島郡島本町山崎。京都府との境といえる場所に位置する。蒸溜所間近にある東海道本線JR山崎駅の駅舎住所は京都府乙訓郡大山崎町である。ホームは大阪府と京都府の府境にまたがっていて、ホームに府境の標識が立てられている。
 ちなみに大阪側、蒸溜所付近の線路のカーブはサントリーカーブと呼ばれ鉄道ファンには名高い。
 この近辺をクルマで巡るとカーナビがやたらとうるさい。京都府に入った、大阪府に入った、と繰り返し伝えてくるのだ。
 さて、世界で愛されるウイスキーを創出している山崎の歴史への登場は『山崎90周年(2)/伊勢物語と山崎』で述べているが、『日本書紀』653年、孝徳天皇が離宮、山崎宮を建造したとの記述が最初のようだ。そして727年に仏教の布教に努めた行基が淀川に山崎橋を架けている。
いまから1300年ほど前のことになる。山紫水明の地だったようだが、ここから後に歴史的な偉人たちが続々と山崎の地に足跡を残している。
 
鳥井信治郎銅像

鳥井信治郎銅像

 古くは紀貫之、後鳥羽上皇、藤原定家、在原業平、山崎宗鑑、足利尊氏、斎藤道三、豊臣秀吉、千利休、松尾芭蕉などなど。また合戦の舞台ともなった。天下分け目の天王山の戦いや幕末の禁門の変との関わりなどもある。そして夏目漱石や谷崎潤一郎などの文人も山崎を訪れている。
 山崎の長い時の積み重ねは不思議な縁(えにし)に彩られ、そして20世紀初頭には鳥井信治郎という強烈なスピリットを抱いた創造者がこの地の気候風土と水に魅了された。
 では、次回からは長い歴史の象徴的なエピソードをからめながら話をすすめていきたい。わたしは100年を祝って「サントリーウイスキーホワイト」の水割を飲んだ。皆さんも是非お飲みいただきたい。(撮影・川田雅宏/『山崎蒸溜所100年1/貴人たちへの分け前』はこちら
 

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