ボウモア、ラフロイグ、アードモア、
クーリー、山崎、白州のスモーキーを贅沢に使用
左・碧Ao<SMOKY PLEASURE>(限定品) 右・碧Ao(現行品)
ビームサントリーが所有する世界5大ウイスキーをブレンドした「サントリーワールドウイスキー碧Ao」が発売されたのは2019年4月。3年後の2022年6月7日、初の限定品が発売された。
「SUNTORY WORLD WHISKY 碧Ao<SMOKY PLEASURE>」(「碧Aoスモーキープレジャー」/700ml・43%・¥5,000税別希望小売価格/以下、文中「碧SP」)。
その名が示すように、5大ウイスキーの構成原酒であってもアイリッシュ、スコッチ、ジャパニーズのスモーキーモルトが主体となっている。こんなワールドウイスキーが登場する日が来るとは。Pleasure(歓び)というより、わたしはAmazingな世界に突入した、と驚嘆するしかない。
香味特性を語る前に、現行品「碧Ao」との構成原酒の違いをお伝えしよう。尚、「碧Ao」の味わい評価の詳細に関しては『「碧Ao」サントリーワールドウイスキー新発売』の記事をご参照いただきたい。 上記のような構成になっており、「碧SP」のモルトウイスキーはすべてスモーキーモルトが使用されている。特筆すべきは、ボウモア、ラフロイグのアイラモルトが加わっている点である。
ボウモアのスモーキーモルトはバーボン樽熟成かシェリー樽熟成なのか。あるいは2タイプの香味が贅沢に使われているかもしれない。
ラフロイグにしても「ラフロイグ10年」のバーボン樽熟成に象徴される爽快なピーティーさや磯の香りといった感覚だけではない。「ラフロイグセレクト」のように多彩な樽種(『ラフロイグセレクトカスク新発売』記事参照)が織り成す重層感、スモーキーさだけでなくココナッツやバナナといった香りを放つスモーキーモルトの構成もある。どのくらいの熟成年数か、そしてバーボン樽熟成モルトかそれ以外か。
またアイリッシュのクーリー蒸溜所は「カネマラ」(『カネマラ/スモーキーなアイリッシュシングルモルト』記事参照)で知られるが、熟成の経年変化の香味特性を巧みにチョイスした味わいに仕上げられており、8年熟成モルトには独特のフルーティーさがある。「碧SP」に何年ものが使われているかが気になる点ではある。
ただ、それを知ったからといってブレンドの世界のことを理解できる訳でもない。いろいろと探ってみる。それが面白味でもある。
オフィシャルなブランド解説では、“アイリッシュ、スコッチ由来の力強いスモーキー、ジャパニーズ由来の丸みのあるスモーキー、そこにアメリカン、カナディアンが加わることで、スモーキーな個性とともに、なめらかさも感じられる味わい”とある。
では次ページで「碧Ao<SMOKY PLESURE>」の香味を評価してみたい。(次ページへつづく)