スパニッシュオークのシェリー樽熟成モルトのみブレンド
白州スパニッシュオーク2021
発売されたばかりの「シングルモルトウイスキー白州スパニッシュオーク2021」(10月26日発売)を紹介しよう。バー業態を中心に売り出された数量限定品なので、まずはバーに行こう。
最近の記事では「山崎リミテッドエディション2021」「山崎ゴールデンプロミス」「山崎ピーテッドアイラモルト」と山崎モルトがつづいていた。久しぶりに白州モルトの登場である。
さて、白州モルトといえば森の若葉のようなみずみずしい感覚、ほのかなスモーキーフレバーが漂う軽快さを想い浮かべる人が多いはずだ。
たしかにホワイトオーク樽熟成原酒は青りんごや柑橘のフレッシュさ、またバニラ様の柔らかい甘さがある。ブレンデッドウイスキー「リザーブ」はそのニュアンスがキーとなっている(『サントリーリザーブ・ハイボールに香る白州モルト』記事参照)。
またスモーキーな原酒にはクッキーやビスケットのような甘さも潜んでいる。さらには白州でつくられる原酒のなかにはシェリー酒の貯蔵に使われたスパニッシュオークの樽で熟成させたモルトウイスキーもあることを忘れてはいけない。
その象徴が「白州25年」「白州18年」。これらは日常的に飲めるものではないが、スパニッシュオーク樽熟成モルトのニュアンスがしっかりと伝わってくる。長期熟成モルトには白州スパニッシュオークが生かされている。
さて、「白州スパニッシュオーク2021」(700ml・48%・\11,000/税別希望小売価格/バー業態向け数量限定品)。スパニッシュオーク熟成モルトの製品は7年ほど前に登場して以来、久しぶりのリリースとなった。ただし香味は以前のものとはちょっと違う。
後述するテイスティングノートの文字面からはかなり重厚感があるように感じられるだろう。また一般的にシェリーシーズニングしたスパニッシュオーク熟成モルトには濃厚というイメージが強い。ところが今回の2021には厚みがありながら全体的に白州モルトらしい軽快感、なんともいえないフレッシュさを湛えている。わたしは、これは佳品だと実感した。
もうひとつ加えれば、ウイスキー愛飲家であってもシェリー樽熟成由来の感覚が強いモルト、プルーンのような、干しぶどうのようなドライフルーツ的ニュアンス、それに伴う独特の酸味が苦手だという方がいらっしゃる。どちらかといえば、赤ワインに多く含まれるタンニンに近い感覚が苦手なのではなかろうか。しかしながらそういう方でも好感を抱く香味といえるだろう。
次ページでは香味の印象の詳細とテイスティングノートをお伝えする(次ページへ続く)