鳥井信治郎の遺作、不朽の名作
サントリーウイスキーローヤル
淡麗で繊細。独特の透明感がありながら、奥行きのある甘く華やかな味わい。まさに日本人だからこそ生みだせる、ザ・ジャパニーズブレンデッドウイスキーと呼べる香味である。
しかしながら、もうひとつ、忘れてはならないジャパニーズウイスキーがある。還暦を過ぎた年配の方々なら頷いていただけるのではなかろうか。
それはサントリー創業60周年を記念して特別にブレンドされ、翌1960年に発売となった「サントリーウイスキーローヤル」(700ml・43%・¥3,360)である。
“大阪の鼻”と謳われ、「角瓶」「オールド」といった名作を誕生させたサントリー創業者、鳥井信治郎の遺作でもある。そして二代目となる息子、佐治敬三との共作でもある。
マスターブレンダーの継承を物語る作品といえるだろう。
山崎蒸溜所の奥、椎尾神社鳥居と桜吹雪
鳥井信治郎と佐治敬三親子
前回開催された東京オリンピック(1964年)の頃、確固たる高級ウイスキーの地位を獲得していた「ローヤル」の味わいを若い世代にも知っていただきたい気持ちがある。
そして1980年代、「ローヤル」は社会的地位のある人たちが飲むウイスキー、といったイメージがあった。実のところ、中元歳暮はもとより、酒類においては高級贈答品を代表する存在感があった。
椎尾神社鳥居と桜
1989年、創業90周年を記念した「響」登場以来、いぶし銀のような存在となっているが、わたしは日本の傑作のひとつだと思っている。そして、わたしより年上の年配者のなかには、いまだに「ローヤル」がいちばん、とおっしゃる方々がたくさんいらっしゃる。不朽の名作といえるだろう。
『息子に託すブレンダー魂』記事中で、ボトルの形状にも触れている。お読みくださればご理解いただけるはずだが、信治郎の開発時の香味イメージは、山崎蒸溜所奥に位置する椎尾神社の鳥居に舞う桜吹雪であった。
ローヤルスリムボトル
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