八十八夜・こどもの日…… 5月の伝統行事や暮らしの歳時記まとめ

5月行事

5月には昔ながらの行事や風物詩がたくさん

5月には、日本古来の伝統行事や風物詩がたくさんあります。 初夏を感じる新緑が美しい5月の行事や風物詩などについて詳しくご紹介します。
   

5月1日【八十八夜】……かつては茶摘みをする目安にも

5月行事 八十八夜 茶摘み

八十八夜は茶摘みの目安にもされていました

昔から立春を基準として様々な決まり事や節目があります。八十八夜とは立春から88日目という意味です。毎年5月2日頃にあたり、2021年の八十八夜は5月1日です。

八十八夜は季節の移り変わりの目安となる「雑節」のひとつ。「節分」「彼岸」「入梅」「土用」なども雑節のひとつで、人々の暮らしと密接に関係し、農作業などの目安とされてきました。

八十八夜は茶摘みを行う目安でもあったため、毎年季節の話題になっています。実際の茶摘みの時期は産地によって違うのですが、絣(かすり)にたすきがけの茶摘み衣装を着て茶摘みをする様子は、季節の風物詩。昔から、八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きするといわれています。八十八夜といえば新茶のイメージが強いのは、「夏も近づく八十八夜……」という歌詞で始まる文部省唱歌『茶摘み』の影響も大きいです。

八十八夜 、2021年はいつ? 意味や茶摘みとの関係
 

5月3日【憲法記念日】

日本国憲法が1947年5月3日に施行されたのを記念し、1948年に制定されました。ちなみに、日本国憲法が公布された11月3日は「文化の日」です。

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5月4日【みどりの日】

1985年に祝日と祝日の間をうめて3連休にするための「国民の休日」になりましたが、2007年に4月29日が「みどりの日」から「昭和の日」に変更され、5月4日に「みどりの日」が移されました。『自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ』日として、例年、国公立公園の無料開放や、地方公共団体などの各種行事が実施されます(今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため状況が異なるので、各施設などにご確認ください)。

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5月5日【こどもの日】……子どもの健やかな成長を祝う

5月行事 こどもの日 端午の節句

こどもの日は「端午の節句」ともいわれる

こどもの日は「端午の節句」ともいわれ、もともとは古代中国発祥の厄払い行事です。

雨季を迎えるこの時期、病気や災厄の祓いが大事な行事とされていました。この頃に盛りを迎える香り高い菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)は邪気を祓うと信じられ、蓬で作った人形(ひとがた)を軒に飾ったり、菖蒲酒を飲んだり、菖蒲湯に浸かって邪気祓いをしていました。

鎌倉から江戸時代にかけて武士の力が強くなると、兜に菖蒲を飾ったり流鏑馬(やぶさめ)をするようになり、江戸幕府によって五節句のひとつに定められると、男の子が強く逞しく成長して立身出世することを願う行事として定着しました。

今でも男の子のおまつりというイメージは強く残っていますが、昭和23年に「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」という趣旨の「こどもの日」となり、男女の別なくお祝いをするようになりました。

こどもの日/端午の節句 ー鯉のぼり・鎧や兜・五月人形の意味・由来ー

■なぜ鯉のぼりをあげるの?
5月行事 こどもの日 鯉のぼり

こどもの日に鯉のぼりを揚げるのはなぜ?

鯉のぼりは、「登竜門」 という古代中国の故事に由来します。中国の黄河上流に竜門という激流が連なる滝があり、ある時、一匹の鯉が激しい滝水に逆らいながら竜門を登りきったところ、鯉は竜へと変身し天に昇っていったという話です。中国では竜は皇帝の象徴でもあり、とても縁起のいいものです。

もともと日本では、武家に男の子が生まれると家紋のついた旗や幟(のぼり)を立てて祝う風習があり、のちに江戸庶民の間で立身出世のシンボルとなった鯉を幟にするアイディアが生まれ、武家は幟、町人は鯉幟(こいのぼり)を揚げるようになりました。

当時は現代と比べて乳幼児の死亡率が高かったため、子どもの健やかな成長を祈る気持ちの表れでもありました。

こどもの日/端午の節句 ー鯉のぼり・鎧や兜・五月人形の意味・由来ー

■兜や五月人形を飾る意味・由来
5月行事 こどもの日 五月人形

こどもの日に鎧や兜を飾るのは、武家社会から生まれた風習

武士の命を守る大切な道具、鎧(よろい)や兜(かぶと)を飾るのは武家社会から生まれた風習で、様々な災いから子どもの身を守るという意味があります。

「五月人形」は、人形が人の厄を代わりに受けてくれるという身代り信仰のひとつ。有名な武者を模したものを「武者人形」と呼び、それぞれに勇ましい男子に育つように、という願いが込められています。

武芸を磨き、天才的な戦術、武芸の達人として有名な源義経の幼名「牛若丸」、知恵と怪力で大活躍した豪傑の代名詞「弁慶」、源頼光に見出されて家来となり、怪力童子ぶりが伝説となった坂田金時の幼名「金太郎」、中国の皇帝の枕元にあらわれた幻の英雄で、邪悪なものや疫病から守る魔除けの神とされた「鍾馗(しょうき)」などが代表的な武者人形として有名です。

こどもの日/端午の節句 ー鯉のぼり・鎧や兜・五月人形の意味・由来ー

■関東では柏餅、関西では粽
5月行事 行事食 粽・柏餅

粽は中国伝来、柏餅は江戸生まれ

中国では、5月5日に粽(ちまき)を作って災いを除ける風習があり、平安時代に端午の節句とともに粽も伝来しました。粽に結んだ赤・青・黄・白・黒の五色の糸は、子どもが無事に育つよう魔よけの意味が込められ、鯉のぼりの吹流しの色などにも反映されています。

粽が中国伝来なのに対し、柏餅は江戸生まれ。柏餅を包む柏は昔から神聖な木とされ、新芽が出ないと古い葉が落ちないことから、「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄」に結びつき、端午の節句の縁起の良い食べ物とされました。

こうして柏餅が江戸の主流となって広がりましたが、伝統を重んじる上方は粽を伝承。幕末には、関東では柏餅、関西では粽を食べる傾向がほぼ定着していたことが当時の文献にも記されています。

柏餅と粽(ちまき)の由来や意味・東西の違い、なぜ端午の節句に食べるの?

■菖蒲の節句! 菖蒲湯を堪能しよう
5月行事 行事食 菖蒲湯 菖蒲の節句

菖蒲の強い香りは邪気を払うといわれている

「端午の節句」は、菖蒲を用いて邪気払いをするので、別名「菖蒲の節句」といいます。端午の節句が男の子の節句になったのも、菖蒲が武道を尊ぶ「尚武(しょうぶ)」や、勝ち負けの「勝負」と音が同じであるからです。

菖蒲の強い香りで邪気を払い、薬草効果で健康になるため、「菖蒲湯」に入ると無病息災で過ごせるといわれています。10本ぐらいの菖蒲の束を、沸かし湯の場合なら水のうちから入れ、少し高めの温度に沸かします。

子どもが楽しめる菖蒲の使い方として、細長い菖蒲の葉を一本頭に巻く「菖蒲の鉢巻」をすると、頭に邪気が入らず、元気で賢い子に育つといわれています。菖蒲の葉をハーモニカほどの長さに切って葉の開口側を吸ったり、下部を押さえて切り口を吹く「菖蒲笛」は、上手に音が鳴ったら吉! 束ねた菖蒲を刀にしてチャンバラごっこをする「菖蒲切り」には、悪鬼退治や武道上達を願う意味が込められています。

菖蒲湯の入り方・やり方、菖蒲笛の作り方や菖蒲打ちなど活用術も!
 

5月といえばゴールデンウィーク! 2021年は何連休?

5月といえば、ゴールデンウィーク。4月からの新生活の疲れを癒すためにも、待ち望んでいる人は多いことでしょう。
5月行事  2021年ゴールデンウィークカレンダー

 2021年ゴールデンウィークカレンダー

2021年のゴールデンウィークは、振替休日がないため飛び石連休です。カレンダー通りでは5月1日~5日の5連休ですが、休みが3日取れれば11連休になります。

【2021年版】今年のゴールデンウィークはいつからいつまで?何の祝日?何連休?
 

毎年5月の第2日曜日【母の日】……「母に感謝する」だけじゃない?

5月行事 母の日

母の日の本当の由来は?

5月の第2日曜日は「母の日」。2021年の母の日は5月9日です。

日本の「母の日」はアメリカから伝わりました。1905年5月10日、ウエストバージニア州のアンナ・ジャービスは、社会運動家として活躍していた母を追悼するため、フィラデルフィアの教会で母の好きだった白いカーネーションを配ります。その後も母に感謝する日を祝日にする普及運動を続け、1914年、5月の第2日曜日「母の日」が制定され、国民の祝日となりました。

日本では、1915年(大正4年)頃からキリスト教関係団体が中心となって広め始め、1947年(昭和22年)、5月の第2日曜日が「母の日」となりました。当初は、母を亡くしている人は白、母が健在な人は赤いカーネーションを胸に飾るようになっていましたが、この区別が童心を傷つけるという配慮から、日本では1960年に赤一色に統一されました。

現在は「母に感謝する日」として、すっかり定着していますが、提唱者のアンナ・ジャービスは、母親への感謝だけではなく、平和を願う母親たちの社会運動を記念したものとして、この日をスタートしています。本質を知ることで母の日の意味が一層深くなりますね。

母の日 2021年はいつ?由来の真実・カーネーションの色の意味
 

5月の行事食や旬の食べ物あれこれ

5月行事 初鰹 新茶 初物

江戸っ子の間では「初鰹」を食べるのが粋の証

1月のおせちや七草粥、2月の恵方巻など、季節ごとの年中行事やお祝いの時には、旬の食材が使われた特別な「行事食」がつきものです。5月には端午の節句に、関東では「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄」として縁起の良い柏餅、関西では端午の節句とともに伝来し魔よけの意味が込められた「粽(ちまき)」が行事食とされています。

また「初鰹」「新茶」などが旬の食べ物となっています。日本人の初物好きには理由があり、「初物七十五日」(初物を食べると寿命が75日のびる)などの言い伝えもあるように、初物を食べると寿命がのびる、福を呼ぶ、縁起が良いと考えられてきました。

また、旬を大切にすることは理に適っていることでもあります。春の山菜は代謝を促して冬の体を起こす、夏野菜は体を冷やす、秋の実りは体を肥やし、冬野菜は体を温める。日本人が昔から旬を大事にしてきたのは、旬のものを味わうことで自然に体調が整うことを知っていたからです。

日本では、文化的なことでも食文化でも、いち早く季節を味わうことに大きな喜びを感じます。江戸っ子の間では「初鰹」を食べるのが粋の証。初鰹を食べると長生きできると大変珍重されました。現代の初鰹ニーズは、江戸時代から続いているものです。

なぜ日本人は初物好きなの? 初鰹で寿命がのびる?
 

他にもたくさん! 5月といえば

5月はゴールデンウィークに母の日など、イベントがたくさん。新緑が美しく、過ごしやすい気候になる5月は自然の恩恵もたくさん感じることができます。そんな自然を堪能できる、5月ならではの過ごし方をご紹介します。
5月行事 蛍狩り

5月下旬から蛍の光が見られるところも

幻想的な蛍の光に見とれる「蛍狩り」は日本の夏の風物詩。早いところでは5月下旬から見られるところもあります。

蛍の光は求愛信号と言われています。長い幼虫期を水中で過ごし、成虫期間は1~2週間程度。オスは発光しながらメスにラブコールを送り、それにメスが応えて光れば婚約が成立。産卵をしてオスもメスも一生を終えます。蛍の光は、命をかけた恋のきらめきだったのですね。

蛍狩りとは?意味・時期、ホタルが見頃の時間帯や鑑賞スポット

また、初夏の木々は新緑の時期を迎えて、最も成長が盛んな時期。森林の中は昼は涼しく、風が弱くて湿度も高く、とても心地良い空間になっています。森林の中で清々しい空気にひたる森林浴は、マイナスイオンや視界に入る緑色などが心を癒します。森林浴をするには、新緑の季節が最も良いと言われています。

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昔からの伝統ある行事が多い5月。情緒ある風物詩も多いので、今年は由来や意味を思い浮かべながら過ごしてみるのもいいですね。
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