初物好きの日本人

初物の魚介類

初物は旬の走り。人気の理由は?

これからの時期、「初鰹」「新茶」といえば食指が動きませんか? 日本人は初物を大変好みますが、それはいったいなぜでしょう?

初物好きには3つの理由があります。その3つを見てみると、日本人が“心”と“体”で食べ物に接していることがわかります。


1:初物を食べると寿命がのびる、福を呼ぶから

初物にこだわる理由のひとつが、昔から初物を食べると寿命がのびる、福を呼ぶと考えられ、縁起が良いとされていたからです。

初物とは、実りの時期に初めて収穫された農作物や、シーズンを迎え初めて獲れた魚介類などのこと。初物には他の食べ物にはない生気がみなぎっているとされ、それを食べれば新たな生命力を得られると考えられてきました。

「初物七十五日」(初物を食べると寿命が75日のびる)、「初物は東を向いて笑いながら食べると福を呼ぶ」などの言い伝えもあります。また、「八十八夜に摘んだお茶(新茶)を飲むと無病息災で長生きできる」とされることから、新茶を贈る風習もあります。


2:旬の力で体調が整うから

初物は旬の走りにあたるので、その食べ物の旬の始まりを意味しています。日本では旬を大事にするため、いち早く旬を食べることが喜びにつながります。

昔から旬を大事にしてきたのは、おいしさや季節感を堪能できるだけではなく、旬の食べ物に力があることを知っていたからです。たとえば、春の山菜は代謝を促し冬の体を起こす、夏野菜は体を冷やし、秋の実りは体を肥やし、冬野菜は体を温めるなど、旬のものを味わうことで自然に体調が整うため、旬を大事にすることは理に適っているのです。

また、旬の期間は食材によって異なりますが、旬のものをひとくくりにしないのが、日本人の繊細なところです。旬を出回る時期で「走り」「盛り」「名残り」の3つに分け、もうそんな時期になったのかと走りを楽しみ、盛りを堪能して、移りゆく季節の名残りを惜しむ、というように旬を味わいます。

旬の走りは珍しさが先行し値段も高めとなりますが、旬をいただく喜びに付加価値を見い出し、初物に人気が集まるようになりました。


3:先取りをよしとするから

「初物=旬の走り」は季節を先取りすることに通じ、珍しさが先行するため希少価値が高くなります。昔から文化的なことは季節を先取りするのをよしとしてきました。たとえば、着物の柄ひとつにも配慮し、一歩早めを心がけたのです。藤の花が咲く前に藤柄を着用することで季節を感じる(感じてもらう)ことに主眼を置き、藤の花が咲いたら本物に主役を譲るのが粋とされたのです。今でもお洒落な人ほど季節のファッションを先取りしますね。

日本の食文化は、季節をいただくことでもあるので、いち早く季節を味わうことに大きな喜びを感じるのです。もう少し待てば盛りになり、味や値段も安定しますが、待つのは野暮。初物に手を出すのが粋の証とされました。

そのへんを、とりわけ有名な「初鰹」でみてみましょう >>>