ベネフィットとは
ベネフィットは、英語で「benefit」、日本語訳は「利益」や「役に立つ」などの意味があります。「利益」というと「メリット」という言葉が浮かびますが、メリットはメリットでもベネフィットは顧客のためのメリットのみに絞られるため、メリットとベネフィットは同じ意味とはいえません。そもそも顧客が商品を買おうと思うときには、必ずその商品を買って使用したことによる「こうなるはず」という想像が思い浮かんでいるはずです。
「この商品を買ったことによって、どんないいことがあるのか」
商品を購入したことで得られる本来の利益。これが、ビジネスにおけるベネフィットの意味だといえます。
具体例
具体的に例を挙げて考えてみます。例えば、新型のノートパソコンを売る場合の例です。あなたが漠然と「ノートパソコンがほしいなあ」と思っているときに、長々と細かくスペックを紹介されたらどう思いますか。「結局このノートパソコンで何ができるんだろう?」具体的にそのノートパソコンを購入したときの自分を想像できていないと、このような疑問が湧いてくるはずです。漠然と考えているときには、より自分のこととして捉え、具体化させる情報が必要です。この場合、細かいスペックよりも自分ごとに落とし込むための情報が必要なのです。
ノートパソコンを購入することによって以下のようなメリットが顧客に与えられます。これらのメリットは、商品のメリットです。商品を売るための売り文句、その商品の優れた点です。
- このノートパソコンは軽量、薄型の設計で持ち運びしやすいので、薄い鞄にもすんなり入る!
- 処理能力が高く、容量も大きいので、ノートパソコンでも動画制作など負荷のかかる作業ができる!
これらのメリットはあくまで商品のメリットであり、顧客にとってのベネフィットとは別なことです。顧客が叶えたい本当の希望が、顧客にとっての利益=ベネフィットとなります。先ほどのノートパソコンを購入することによって、以下のような顧客の希望が叶えられることになります。
- どこにいてもサクサク仕事をしたい
- 動画制作をして、自分のできることの幅を広げて評価を上げたい
- 仕事の処理速度を上げたい
顧客自身のベネフィットをイメージさせることで、「これを買ったらこんな未来が待っている」というプラスのイメージを膨らませ、購買行動に繋がります。顧客が本当に叶えたいのは、ただ商品を手に入れることではなく、商品を手に入れた後の理想的な生活や、それによってもたらされる感情です。希望する生活スタイルや働き方にちょっとでも近づくために、人はお金を使って商品を購入するのです。
ベネフィットとは、商品を購入するメリットによってもたらされる顧客の希望ということです。
マーケティングにおけるベネフィットの重要性
マーケティングにおいて、ベネフィットを考えることはとても有効です。モノがあふれる現代、類似品や競合品が数多く存在します。他社との差別化をしっかりして自社製品を選んでもらうためにも、商品のいいところだけをアピールするのではなく、顧客にとってどんなことがもたらされるのかを正確に把握し、アピールしていくことが大切なのです。ベネフィットを設定するメリット
ベネフィットを設定することで、ターゲットの悩みや抱えている問題を掘り起こすことができます。例えば、「ノートパソコンを気軽に持ち歩いて仕事できる」のが顧客にとってのベネフィットだとしたら、ターゲットはビジネスパーソンに限られてきますよね。そして、顧客が実は持ち歩けるパソコンで今あるものに満足していない、という悩みまで、ベネフィットから見えてきます。このように、ターゲット層の悩みや抱えている問題を掘り起こし、その問題に対して自社の製品ならばこう解決できる、というストーリーを組み立てることで、ターゲット層が抱える問題を解決できる商品がここにある、と思わせることができます。顧客の悩みに寄り添い、自分のこととして再認識してもらうことで、ベネフィットは価値を発揮できるのです。
そのためにも、ベネフィットを設定する上では、まず顧客のターゲットを事前に設定しておく必要があります。
まとめ
商品のいいところをいくら話しても、その商品について自分ごとだと思えなければ、商品を購入するまでには至りません。商品を購入してもらうためには、その商品を買ったことによって得られる未来=ベネフィットまでしっかりと想像できることが大切です。ベネフィットとメリットをきちんと使い分け、商品に興味を持ってもらえるよう、マーケティング戦略を組み立てていきましょう。文/鈴木 麻理奈
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