大手ハウスメーカーの質は坪単価で計れるか?
ハウスメーカー比較というと「価格」や「坪単価」を頭に浮かべる方が多いと思います。実際にハウスメーカーの価格は安いとはいいがたい面があります。しかし単純な坪単価を比較して「割高」「お得」かどうか判断するのは必ずしも得策とは言えません。なぜなら住宅価格には建物以外のコストも含まれているからです。今後何十年も安心して住むためには、メンテナンスなどのアフターケアや大規模災害の時の対応、住宅事業者そのものが将来にわたって健全な経営ができるかどうかなど、建物以外の面も重要なポイント。その面を考慮したうえで、どの会社を選ぶかが大切になってきます。
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ではここから大手10社の特徴を見ていきましょう。大手10社は以下になります。(リンクをクリックすると個別の記事の位置まで飛びます)・積水ハウス
・ダイワハウス
・ミサワホーム
・住友林業
・セキスイハイム
・パナソニックホームズ
・三井ホーム
・トヨタホーム
・旭化成ホームズ(へーベルハウス)
・ヤマダ・エスバイエルホーム(ヤマダS×L)
まずは簡単な比較表を使って、各社の「特徴」と「工法・商品」、安全面で気になる「耐震性能」をチェックします。
表1 大手ハウスメーカーの「特徴」
ここが特徴! | |
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積水ハウス | 注文戸建て住宅供給数ナンバーワンの最大手! |
ダイワハウス | 住宅業界売り上げナンバーワンの最大手! |
ミサワホーム | デザイン性の高い「企画型住宅」がユーザーに好評! |
住友林業 | 日本を代表する木造住宅のリーディングカンパニー! |
セキスイハイム | エコと省エネのスマートハウス供給の先駆者! |
パナソニックホームズ | パナソニックの総合力を生かした快適な家づくり! |
三井ホーム | ツーバイフォー住宅のナンバーワンブランド! |
トヨタホーム | 高品質なクルマづくりのノウハウを家づくりに反映! |
旭化成ホームズ | 都市の家づくりを提案する「都市型住宅」のパイオニア! |
ヤマダSxL | ヤマダ電機グループの強みを生かして展開! |
表2 大手ハウスメーカーの「工法・代表商品」
工法と代表商品! | |
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積水ハウス | 軽量鉄骨造「イズ・ステージ」/重量鉄骨造「ビエナ」/木造住宅「シャーウッド」 |
ダイワハウス | 軽量鉄骨造「ジーヴォΣ」/重量鉄骨造「スカイエ」/木質系「ジーヴォ・グランウッド」 |
ミサワホーム | 木質系「センチュリー」/鉄骨ユニット「ハイブリッド」/木造軸組工法「MJWood」 |
住友林業 | 木造軸組工法「マイフォレスト」/ビッグフレーム(BF)構法「BF-si」/ツーバイフォー工法「ノスタルジア」 |
セキスイハイム | 鉄骨系ユニット住宅「ハイム」/木質系ユニット住宅「ツーユーホーム」 |
パナソニックホームズ | 軽量鉄骨造「エココルディス2」/重量鉄骨造「ビューノ」 |
三井ホーム | ツーバイフォー工法「スパニッシュ」「オークリー」「カフェ・プラス」 |
トヨタホーム | 鉄骨ユニット住宅「シンセ」/鉄骨軸組住宅「エスパシオ」 |
旭化成ホームズ | 軽量鉄骨造「キュービック」/重量鉄骨造「フレックス」 |
ヤマダSxL | 木質系「E-シェリエ」/木造構法「小堀の住まい」 |
表3 大手ハウスメーカーの「耐震・免震性能」
この耐震・免震性能が凄い! | |
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積水ハウス | 独自の制震システム「シーカス」! |
ダイワハウス | タフで快適「外張り断熱通気外壁」! |
ミサワホーム | 代名詞の制震装置「MGEO」の採用! |
住友林業 | 揺れに強い大空間「ビッグフレーム構造」! |
セキスイハイム | 独自のハイブリッド耐震技術「GAIASS(ガイアス)」! |
パナソニックホームズ | 耐震技術「POWERTECH(パワテック)」! |
三井ホーム | 耐震技術「プレミアム・モノコック構法」! |
トヨタホーム | 自動車の技術を応用した制震「T4システム」! |
旭化成ホームズ | 制震技術「鉄骨軸組ハイパーフレーム構造」! |
ヤマダSxL | 「壁体内換気システム」で耐久と長持ちを両立! |
大手ハウスメーカーとひとくくりに言っても、各社ごとに特徴がありますね。業界最大手の積水ハウス、ダイワハウスから始まり、特化した強みを持っているメーカー、グループ会社のノウハウを生かした家づくりが得意なメーカーと、ある種の「性格」が分かれることが理解できたのではないでしょうか。
また普段あまり意識しない「工法」も重要。例えば、「木造で家を建てたい」と思っても、扱っていないハウスメーカーを選んでしまってはそもそも選択肢がない、ということになります。
さらに家づくりでは耐震、免震といった安全面も重要なところ。大手ハウスメーカーの耐震性能はオーバースペックだと言われることがありますが、過去の大地震で築浅の住宅が倒壊した事例からも、安全性を考慮するのに、しすぎることはないと思います。
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ここからは大手ハウスメーカー1社ごとに、比較表では伝えきれない特徴を具体的に解説していきます。ハウスメーカーの選び方には正解はありませんが、特徴がつかめれば、どの会社が自身のニーズに合っているか、判断しやすくなるはずです。「積水ハウス」の作る家とは?
・積水ハウスの特徴
積水ハウスは業界最大手のハウスメーカーです。累計供給戸数(戸建・アパート・マンション全体で)が238万戸超という世界でも類をみない規模を誇ります。そのほか、エネファームの年間搭載棟数やスマートタウン展開数、リフォーム売上高などでもナンバーワンの実績を誇っています。一方で、価格を抑えた2000万円台の住まい「積和の木の家」の展開もスタートしています。
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積水ハウス 日本を代表するハウスメーカー
・商品と耐震性能
商品ラインナップは鉄骨系住宅(軽量鉄骨造と重量鉄骨造)と木造住宅(シャーウッドシリーズ)の2種類。「スロー&スマート」という考え方を軸に、質の高い住まいを提供しています。さらに鉄骨、木造ともに「シーカス」など独自の耐震技術を採用。設計の自由度と構造強度の両方を高いレベルで確保しています。
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スロー&スマートの提案で高い快適さ追求
鉄骨系・木質系両方に独自の耐震技術
「ダイワハウス」の作る家とは?
・ダイワハウスの特徴大和ハウスは老舗のハウスメーカーでありながら、近年では総合住宅産業として、住宅分野をはじめ、商業施設や高齢者福祉関連事業など多角的に展開。住宅業界NO.1の売り上げを誇る企業になりました。質の高い戸建て住宅の供給はもちろん、街全体を開発するなど、大規模な事業を得意としています。
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大和ハウス 事業の多角化で住宅業界のトップ企業に
・商品と耐震性能
大和ハウスの戸建て住宅を代表するのが「xevo(ジーヴォ)」シリーズです。軽量鉄骨造と木造住宅はすべてこのシリーズに統一されています。特徴は「外張り断熱通気外壁」という断熱性の高い工法が取り入れられている点。快適な室内環境を実現するとともに、他の免震、耐震技術と併せて、建物の耐久性を高める工夫がなされています。
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ジーヴォシリーズに続々新バージョン登場
ジーヴォΣの登場でさらに地震対策が強化
「ミサワホーム」の作る家とは?
・ミサワホームの特徴ミサワホームの特徴はその独自性にあります。顧客ひとりひとりの要望に合わせた完全注文住宅ではなく、ニーズに合うおすすめの商品を提案する「企画型住宅」に注力。ニーズを絞った商品を展開するため、コストパフォーマンスがよく住んだ後の満足度が非常に高いとされています。デザイン性の高さにも定評があります。
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ミサワホーム 完成度が高い企画型住宅に強み
・商品と耐震性能
商品体系は大きく木質系と鉄骨系のふたつ。さらに価格帯で3つに区別されています。これをベースに、「エコ微気候デザイン」や大収納空間「蔵」といったミサワホームが持つ高いデザイン力、設計力を加えていく形です。また、地震対策で有名なのが「MGEO」という制震装置。地震の振動エネルギーを熱に換えることで、衝撃を最大約50%軽減するとされています。
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大収納空間「蔵」などソフト提案が充実
制震装置「MGEO」で地震対策を強化
「住友林業」の作る家とは?
・住友林業の特徴住友林業は「住友林業の家」ブランドで展開している、木造住宅分野のトップランナーです。他のハウスメーカーと決定的に違うのが、住友林業はまた山林事業など行う「木」を扱う企業でもあるため、木材の調達や加工をはじめ木に関するあらゆるニーズに対応している点です。近年は木造の賃貸・分譲住宅事業、リフォーム事業にも力を入れています。
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住友林業 木造住宅のトップランナー
・商品と耐震性能
住友林業には大きく3つの商品体系があります。木造軸組工法、ツーバイフォー工法、そしてビッグフレーム(BF)構法。近年の主力はビッグフレーム構法で、ビッグコラムと呼ばれる独自の大断面集成柱を使用。建物の耐震性、耐久性を担保しながら、従来の木造住宅では実現しにくかった自由度の高い設計を実現しています。また、提案型住まいとして、子育て世代に向けた商品や二世帯住宅にも力を入れています。
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木質感あふれる住まいづくりが魅力
三つの構造で木造住宅の耐震をリード
「セキスイハイム」の作る家とは?
・セキスイハイムの特徴セキスイハイムといえば「ユニット住宅」。住宅内をいくつかに分割し、それぞれを工場内で生産、作ったものを施工現場で組み合わせる手法です。これにより高品質で高性能な住宅供給を可能にしています。またスマートハウスの分野でもトップランナー的な存在。「スマートパワーステーション」と呼ばれるエネルギー自給自足を実現する商品ランナップを充実させています。
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セキスイハイム スマートハウス供給の先駆者
・商品と耐震性能
セキスイハイムの商品は鉄骨系と木質系の2つ。どちらもユニット工法を採用しています。ユニット工法ではユニット同士が結合するため、高い耐震性を持った構造体を作り上げることができるといいます。装置ではなく「構造」で強い家を実現するのがセキスイハイムの特徴と言えるでしょう。また、耐震性のあるハード面以外にも、空調システムや家庭用蓄電池といったソフト面も充実しているのが、スマートハウスに強いメーカーならではです。
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居室の温熱・空気環境にも配慮
高い耐震性を支えるユニット工法
パナソニックホームズの作る家とは?
・パナソニックホームズの特徴2017年、パナソニックの完全子会社化に伴いパナホームから社名を変更したパナソニックホームズ。家電メーカーの技術を生かした家づくりを得意としています。グループ全体で、太陽光発電システム、HEMSや蓄電池の販売に力を入れているため、パナソニックホームズもスマートハウスの提案を積極的に行っています。街全体で環境に配慮する「スマートタウン」の開発も展開中です。
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パナソニックホームズ 家電メーカーの技術を生かす
・商品と耐震性能
パナソニックホームズの商品体系は主に3つ。軽量鉄骨造りと重量鉄骨造り、そして高級木造住宅です。近年では3階建て以上の多層階住宅への取り組みに積極的。重量鉄骨造りの「ビューノ」シリーズでは業界最大の9階建てにまで対応しています。地震対策では構造体そのものを強固にした独自の構造技術「パワテック」を採用。鉄骨、木造ともに、構造体全体で地震の揺れを制する仕組みになっています。
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3種の商品体系がウリ
パワテックで住宅の安全確保
三井ホームの作る家とは?
・三井ホームの特徴三井ホームはツーバイフォー住宅のナンバーワンブランドです。ツーバイフォーは海外発祥の技術で、構造用木材の枠にパネルを取り付けた6面体で建物を構成。日本の家づくりに大きな影響を及ぼし、三井ホームはそのけん引役になりました。最近では「天井高の高い商品」「子育て世代向けの低価格商品」といった、各ハウスメーカーが力を入れる分野でも強い存在感を発揮しています。
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三井ホーム ツーバイフォー住宅のトップブランド
・商品と耐震性能
三井ホームの商品はツーバイフォー工法のみです。特徴は基本的に邸別の注文設計なこと。社外の建築家とインテリアコーディネーターの起用が可能で、ユーザーひとりひとりに合った「我が家」を作り上げることを強みとしています。耐震性能はツーバイフォー工法に独自の技術を組み合わせた「プレミアム・モノコック構法」を採用。「震度7に60回耐えた家」というキャッチフレーズで安全性を謳っています。
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邸別設計で本物志向の洋風デザインを実現
ツーバイシックス工法を標準化
トヨタホームの作る家とは?
・トヨタホームの特徴トヨタホームはトヨタ自動車のグループ会社。クルマ作りのノウハウを生かした家づくりに強みがあり、とくに「安全面」と「スマートハウス」にその技術が反映されています。例としては電気自動車やプラグインハイブリッド車の充電システムの導入を先駆けて取り組んでいます。若者世代向け住宅の供給にも積極的。「シンセ・アイラシク」という商品では、狭小の敷地内を最大限活用する工法が導入されています。
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トヨタホーム 自動車技術が支える信頼の住まいづくり
・商品と耐震性能
注文住宅の商品体系は、鉄骨ユニット住宅と鉄骨軸組住宅の2つ。品質の面では、耐震の「パワースケルトン構造体」と制震の「T4システム」を組み合わせることで、標準仕様で住宅品質確保促進法の最高ランクである「耐震等級3」をクリアしています。ソフト面ではライフスタイル提案が得意。子育て、二世帯、趣味など、現代のユーザーが求めている内容を中心に、それぞれおすすめの商品を用意しています。
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子育てや女性目線の生活提案も充実
耐震性にも自動車のノウハウが生きる
「旭化成ホームズ」の作る家とは?
・旭化成ホームズの特徴「二世帯住宅」という言葉を最初に考案し、商品化したのが旭化成ホームズ(へーベルハウス)です。限られた敷地内でどう暮らしていくかという「都市型住宅」の分野で積極的に提案を行っています。また、永く住み続けるための施策「ロングライフプログラム」では、独自のメンテナンス、点検を30年無料で受けられることを保証。30年目に集中的にメンテナンスを行い、基本性能を60年先まで維持することを目的としています。
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旭化成ホームズ 都市型住宅のパイオニア企業
・商品と耐震性能
旭化成ホームズの商品ラインアップは軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類。特徴は、ALCと呼ばれる耐火性、防火性、強度に優れたコンクリートを、外壁材や床下地、壁に使用しているところ。独自の制震システム、制震構造とともに地震に強い家を実現させています。また省エネの分野でも、2階建ては全棟でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様が標準に。住まい、環境ともにロングライフを目指しています。
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2.5世帯住宅など新たな提案が登場
ロングライフを支える耐震技術
「ヤマダ・エスバイエルホーム」の作る家とは
・ヤマダ・エスバイエルホームの特徴プレハブ系ハウスメーカーの老舗「エス・バイ・エル」がヤマダ電機グループに入った際に改名したのがヤマダ・エスバイエルホーム(ヤマダS×L)。元々高いデザイン性のある家が評価されていましたが、家電に強いグループの参加になったことで、家電などのIOTを住まいに普及させることに力を入れています。また、エアコンや給湯器といった住宅設備機器の保証期間を10年としたところも、「ならでは」の特徴と言えます。
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ヤマダSxL ヤマダ電機グループの強みを生かし展開
・商品と耐震性能
ヤマダS×Lの商品は木質パネル一体構法(S×L構法)が主力です。建物を点ではなく面で支えるパネル構法で、揺れやねじれに強い家を実現させています。また「壁内換気システム」で内部結露を追放。断熱性の低下や木材の腐食などを防ぐことで、建物の耐久性を高めています。また、ヤマダS×Lには「企業建築家」と呼ばれる設計のプロ達がおり、高いデザイン性を有したオンリーワンの邸別住宅も得意としています。
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企業建築家の起用でこだわりの住まい実現
壁体内換気システムで建物の耐久性向上
ハウスメーカー比較で見落としがちなことは?
家を注文するのも「人」。そして建てるのも「人」。住宅を注文する際の満足度や安心感は関わる人の善し悪しで左右されます。とくにメーカーの営業担当者はハウスメーカーの「顔」ともいえる存在。自分との相性はどうか、また、家づくりのパートナーとなり得る信頼できる相手かどうか、しっかり判断することが大切です。スペックも大事ですが、自身が直接感じた経験、体験こそが一番のハウスメーカー比較になるはずです。【詳細な記事をチェック!】
ハウスメーカー選びで「人」に注目すべき理由とは?