旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)は、鉄骨系のプレハブハウスメーカーですが、その住宅づくりには二つの構造があります。一つは軽量鉄骨造(「キュービック」シリーズなど)の「鉄骨軸組ハイパーフレーム構造」と、もう一つが重量鉄骨造(「フレックス」シリーズ)の「システムラーメン構造」(重量鉄骨造)です。この二つの構造を中心に地震対策をご紹介します。いずれも都市型住宅を建てる上で、様々な工夫を盛り込んだ構造といえます。

ヘーベルハウス 「耐震」のポイント
  • 鉄骨軸組ハイパーフレーム構造(軽量鉄骨造)
  • システムラーメン構造(重量鉄骨造)
  • ロングライフプログラム

「制震デバイス」で地震エネルギーを熱に変換

まず、「鉄骨軸組ハイパーフレーム構造」について。「制震フレーム」と「剛床システム」を組み合わせた構造です。中でも、地震エネルギーを吸収して受け流す「制震」を、工業化住宅で初めて標準仕様(2003年)としたのが特徴となります。特徴となるのは、木造住宅でいう「筋交い」にあたる「制震フレーム」。

耐震デバイス

ヘーベルハウスの耐震性を強化する「極低降伏点鋼」。これが変形することで、地震エネルギーによる建物へのダメージを吸収する(クリックすると拡大します)

斜材と横材の組み合わせによって座屈を抑え込む構造で、中央連結部にある「制震デバイス」(極低降伏点鋼、「ごくていこうふくてんこう」と読みます)に地震力を伝えることで、エネルギーを効率よく吸収するという仕組みとなっています。

極低降伏点鋼とは、通常の鋼材に比べ粘り強さと変形能力に優れた素材。これが変形することで、地震のエネルギーを吸収するというのが基本的な考え方です。制震デバイスの採用は、「免震」と比べて安価なのが重要なポイントといえます。

さらに、「制震装置」を採用できるのは2階建てまでというのが一般的ですが、旭化成ホームズの制震デバイスの場合は3階建てにまで取り付けられるのも大きな特徴といえます。これは都市型住宅を供給する上で大きな強みとなります。

2013年11月からハイパーフレーム構造に新たに「ネクストヘーベルハウス」シリーズが登場。1階の階高を16cm高くする仕様を導入するとともに、2階の床を約80cm下げた中間層に設置する仕様が追加され、住宅内部の空間構成の自由度が高まり、より一層豊かな空間提案が可能となりました。

将来のリフォームにおいても効果を発揮

もう一つの「システムラーメン構造」については、強靭な柱と梁で組み上げるのが特徴。特殊なボルトで柱と梁を直接接合し、充分なねばり強さと精度をを生みだし、工期も大幅に短縮できるといいます。また、柱を継ぎ足すための接合システム「コラムカプラー」も搭載。ボルトで締め付けるだけで、通し柱と同じ強度となるといいます。

耐震実験

旭化成ホームズの研究所における構造躯体を使用しての耐震実験の様子。こうした検証作業が、安心や安全の基礎となっている(クリックすると拡大します)

ラーメン構造とは柱と梁だけで門型フレームのフレームとし、それで全体をつくり上げる構造。旭化成ホームズのシステムラーメン構造の場合は、門型フレームのそれぞれが力を分散して全体を支え合う仕組みです。

これにより、壁のない大空間を実現できる上、将来のリフォーム時に間取り変更などの自由度が高くなるのです。これも敷地条件など、建築条件が厳しいことが多い都市型住宅を建てる上でポイントになります。

システムラーメン構造についても、2014年に震動の吸収性に優れたオイルダンパーを組み込んだ制震装置「サイレス(SeiRReS)」を開発、採用。このことから、旭化成ホームズが供給する住宅は、2015年度ではほぼ100%(戸建て99%、自宅併用を含む賃貸住宅95%)が制震構造となっているそうです。

ところで、旭化成ホームズでは早くから「ロングライフ住宅」を宣言し、それに沿った住宅づくりをしてきました。その中で、「ロングライフプログラム」という、60年の長期にわたってメンテナンスや補修を計画的に行うための仕組みづくりにも積極的に取り組んできました。

いくら丈夫で頑丈な構造躯体を持つ建物であっても、点検や維持管理、補修をしっかりと行わなければ、耐震性をはじめとした安心を得ることができません。そうした体制づくりを住宅業界の中で早期に構築し、その後のバージョンアップを図ってきたことに、旭化成ホームズの凄みがあるのです。


■旭化成ホームズのほかの記事も読む
〈特徴〉 住宅の長寿命化の先駆者
〈耐震〉 ロングライフを支える耐震技術(本記事)
〈環境〉 都市でもエコと快適性を両立!
〈商品〉 ロングライフ住宅に一層の進化
〈見どころ〉 ロングライフがよくわかるバス見学会

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。