1対1.2のROKU MIZUWARI最高
ジャパニーズ・クラフトジン[ROKU]
では封を開けよう。ジュニパーベリーをはじめとした8種のボタニカルからつくられた本格ドライジンをベースに、八重桜、大島桜の葉、煎茶、玉露、山椒、柚子の6種をそれぞれスピリッツに浸漬、それぞれの浸漬液を蒸溜して生まれた原酒を見事な配合比でブレンドしたクラフトジンである。日本の四季の旬を摘み取った香味をしっかりと抱いている。
とても繊細な香味であり、自然と、ゆっくりじっくりと味わいたいと思う自分がいて、らしくもない、と笑ってしまう。
まずはショットグラスにストレートで試す。アルコール度数が47%もあるのに嫌な刺激をまったく感じない。香りに桜がそよぐ。茶の感覚もわかる。ブレンドの技といえばそれまでだが、日本人の職人魂が、高品質な日本らしいクラフトジンを生んだ、と敬服する。
口にする。ドライジンの感覚に和がある。山椒や柚子もしっかりと感じる。しなやかなキレ、そして厚みというか香味の重層感があり、高いアルコール度数を忘れさせるマジカルな旨味がある。危ない、危ない。ついついグラスを傾けてしまう。
ジントニックやジンソニックもいい
ROKUとミネラルウォーターの比率をいろいろと試す。ウイスキーの香味の華やかさを知るにはトワイス・アップという、ウイスキーと水の1対1が最適といわれている。でも、わたしの場合、飲んで美味しさも満喫できる濃さでなくてはならない。
わたしの最適美味基準濃度を見つけた。氷を入れないで、ROKUを1に対してミネラルウォーター1.2である。弾力ある甘み、というか、ふくらみ、華やぎのある味わい。わたしは1対1.2だが、最も香味が解き放たれて華やぎがあるのはミネラルウォーター1.5 くらいにするとよい。それ以上の水はせっかくの繊細な四季の彩がぼやけてしまいもったいない。
四季の煌めくような輝きがROKUの水割りにはある。彩とはいろどり、美しい輝き。彩のキラキラとした輝きに、グラスがすすむクンになっちゃった。
氷をグラスに入れるならば、ロックグラスに変えて、比率は1対1でもいい。いわゆるハーフロック。氷がゆるゆると溶け出すほどに四季のボタニカルの美しい彩が登場し、女神のような微笑みを浮かべる。
ROKUジンソニックに針生姜入りオリエンタルジントニック
針生姜入りのオリエンタルジントニック
「ジントニック」もいい。でもトニックウォーターの甘みが四季香るROKUの繊細な香味を抑え込んでしまう、と感じる人がいるはずだ。ライムも不要とわたしは感じた。贅沢なつくりのクラフトジンはできるだけシンプルなほうがいい。
最高の味わいは「ROKUジンソニック」。トニックウォーターの分量を控えめにしてソーダ水を加える。これは極めて無垢なすっきりとした清冽な味わい。エレガントな甘みがキラキラと輝かしい。バーでの夜の幕開けには「ROKUジンソニック」を絶対にとおすすめする。
「ジントニック」にするならば、ガツーンとよりカクテル、ミックスの世界へ踏み込んだほうが面白い。『知多 風香るハイボール・ミッドパークカフェへ行こう』の記事で、知多ハイボールに生姜を添えても美味しい、と書いたが、同じように「ROKUジントニック」に針生姜を入れてもなかなかいける。またお好みで「ROKUハイボール」にレモンスライスなんてのもいい。
「ROKUギムレット」も試してみた。これも比率をいろいろと探る。ライムの感覚やシュガーの甘みはできるだけ控えて、ROKU を5に対してライムジュースは1くらいの感覚でシェークというのがわたしの好みだ。すっきりとしなやかな味わいを楽しめる。
ただし、わたしの嗜好を押しつける気はない。自分が四季の彩をシンプルに感じられるほうが好きだからこういう味わい方になる。
人の好みは十人十色。いやいや、わたしはこう楽しむ、と異なる味わい方がいくつもあるだろう。早い話、自分の好みの味わい方を探る、心地よい味わいを見つける、これも酒の楽しみのひとつではなかろうか、と言いたいのである。
そんなの面倒だ、とおっしゃる方はとりあえず「ROKUジンソニック」からはじめてみていただきたい。そして「ROKU MIZUWARI」でゆったりとした時間をどうぞ。
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