【京急本線】羽田、成田両空港に直結、下町っぽさもある
東京都港区の泉岳寺駅から東京湾沿いを走行、川崎市、横浜市を経て神奈川県横須賀市浦賀駅を結ぶのが京急本線。京急蒲田駅から空港線、京急川崎駅から大師線などと分岐しているが、特徴は羽田、成田の両空港に直結していること。
羽田空港へは空港線で繋がっており、成田空港へは都営浅草線を介して京成電鉄、成田スカイアクセス線などを利用することになる。快速、特急などを利用するためには品川などでの乗換は必要だが、駅内での移動の少ない乗換なので他路線居住よりははるかに楽ちん。さらに品川に出れば新幹線も利用できるため、国内外で出張が多い人や旅行好きなら便利な沿線だ。
沿線にはざっくばらんで下町っぽい雰囲気の街が多く、商店街も充実。一度住むと離れられなくなる人が多いとか。京急鶴見、京急川崎など、街によっては駅周辺に風俗店も含む飲食店街が広がっており、この辺りは好みは分かれるところだろう。
単身、忙しいカップルであれば横浜の浅草とも言われる弘明寺駅あたりまでが飲食店的にも、物件的にもお勧め。ファミリーであればそれ以遠のほうが広めの物件が多く、静かな環境が手に入る。ただし、横浜以遠になると坂の多い街が増え、場所によってはけっこう急坂もあるので、その辺りは注意が必要だ。
将来的には京急・都営浅草線の泉岳寺駅前に山手線新駅、品川駅にリニア新駅ができることなどから、利便性はより高まることが予想される。とりあえず住んでみて、変化を楽しんでみるという手もあろう。
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【都営浅草線】話題スポットを繋ぐ、でも地味な“裏銀座線”
私がひそかに“裏銀座線”と呼んでいるのが大田区西馬込駅から墨田区押上駅を結ぶ都営浅草線。新橋駅から日本橋駅までは都心部の名だたるオフィス街を繋いで走る東京メトロ銀座線と並行して走るという利便性の高さを有しながら、全体としては知名度も混雑度も低いのである。もちろん、都心部を走る路線なので、賃料として極端に安いということではないが、銀座線に比べればお手頃。京急本線の項で述べたように成田空港などへのアクセスも良好だ。
特に西側の五反田から先の品川区内、戸越駅、中延駅は活気のある商店街で知られる街で、東急線も利用できる。同じ東急線でも東横線、田園都市線とは雰囲気が違い、ざっくばらんで親しみやすいのが特徴だ。
東側では東日本橋駅以遠がお勧め。最近では浅草橋駅、蔵前駅あたりに個性的な店が増えており、街はどのように変わっていくかを観察できる。東京スカイツリーで変化はしつつあるものの、それでも庶民的な雰囲気、路地などが残っているのが本所吾妻橋から押上。気取りのない暮らしができる。賃料、供給されている物件から考えると、全体としてはシングル、カップルにお勧めだが、静かな住宅地を望むファミリーなら馬込、西馬込あたりか。買い物なども含め、利便性が高いとは言い難いが、古い住宅街でしっとりした雰囲気が楽しめる。
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【西武新宿線】新宿発路線のうちでも手頃で緑が豊富
世界トップクラスのターミナル新宿駅から郊外に向けてはJR中央線、小田急線、京急線などの複数路線が出ているが、そのうちでもっとも手頃に借りられるのが西武新宿線。JR新宿駅から少し離れたところに西武新宿駅があるため、乗換えが嫌われていると思われるが、新宿勤務の人であれば、多少歩く時間が伸びるだけの話。また、西武新宿駅の一駅手前、高田馬場駅からは東西線、JR線に乗り換えられるので、その2路線利用で通える人なら一考の余地はある。
沿線全体としては急行停車駅でも拍子抜けするくらいのんびりした雰囲気があり、駅前もコンパクト。ただ、どの駅にも昔ながらの商店街があり、大型店が併存している街も多いので、毎日の生活には不自由はない。東西に中央線方向、西武池袋線方向をつなぐ路線バスも多数出ているので、休日には吉祥寺駅や中野駅などに買い物その他で遊びに行くという手も。江戸時代からの門前町、新井薬師前駅のように参道を歩いていくと中野駅までさほど距離を感じずに行ける場所もある。
古くから高田馬場駅周辺の学生がこの沿線に下宿することが多かったため、単身向け物件は豊富だが、手頃な分、設備等があまり充実していない物件もある。下見時にはよくチェックしよう。ファミリー物件で広さを求めるなら、バス便利用を視野に入れることも検討したい。
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【都電荒川線】レトロな雰囲気、複数路線でアクセス良好
荒川区にある三ノ輪橋停留場から新宿区の早稲田停留場(以下、停留所の名称は略す)を結ぶ路面電車、都電荒川線はかつて23区内を縦横に走っていた都電の唯一生き残っている路線。コンパクトな2両編成の電車で、東京の観光ガイド的な番組によく登場することから、実用的な路線と考えていない人も多いようだが、JR、東京メトロなど複数の路線と交差しており、乗換えを前提に考えると、意外に使える。
特に東京メトロ日比谷線三ノ輪駅に近い三ノ輪橋、京成線と東京メトロ千代田線町屋駅が利用できる町屋駅前、京浜東北線と東京メトロ南北線王子駅が利用できる王子駅前、山手線大塚駅が利用できる大塚駅前、東京メトロ有楽町線東池袋駅が利用できる東池袋四丁目、東京メトロ副都心線雑司ヶ谷駅が利用できる鬼子母神前はお勧め。中でも移転した豊島区役所に近い東池袋四丁目から鬼子母神前にかけては古い街並みが残りながらも、変化の兆しもあり、今後、面白くなりそうなエリアだ。
駅によっては駅前にそれほど商業施設の集積がないこともあるが、少し歩けばスーパーのある場所が大半なので心配することはない。ひとつ注意したいのは終電が早稲田、三ノ輪橋いずれも23時台前半と、他の路線に比べると早いこと。夜間遅くなる仕事をしている人には注意が必要だ。
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【JR南武線】川崎~立川を繋ぎ、複数路線と交差
川崎と立川を結ぶJR南武線は首都圏を南北に繋ぐ、数少ない路線。都心と郊外を結ぶ路線ではないため、都心に向かう路線と交差している駅以外に住む場合には、どこかで乗換えて都心に向かう必要が出てくるが、その分、賃料は比較的手頃。もちろん、川崎、立川勤務あるいは沿線勤務であれば全く問題はない。
交差している沿線としては川崎駅の東海道線、京浜東北線、京急本線、同大師線に始まり、南武線、横須賀線、東急東横線、同目黒線、同田園都市線、同大井町線、小田急線、京王線、武蔵野線、中央線、青梅線から多摩都市モノレールまであり、どこに行くにも便利という言い方もできる。
最近は移転、再開発でだいぶ減りはしたが、大手企業の研究所、工場などが多かったため、早くから開けていた沿線で、駅前には商店街なども揃っている。中には武蔵新城のように6商店街が東西南北に広がっている街もあり、生活に便利。古くから梨で有名だったことから分かるように農地なども残っており、のんびりした風景が広がる。今も多摩川梨は川崎市、稲城市、多摩市などで栽培されており、もぎ取りができる農園も。首都圏でも自然の恵みが感じられるエリアというわけだ。
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