韓国語の友達言葉「パンマル」の正しい使い方
한다体の意味・使い方とは?
韓国語を学んで月日が経ち、韓国、韓国人との付き合いが深くなると、パンマルを使う友達ができたりするかもしれません。また逆に、韓国人の親しい友達ができて片言のパンマルで会話をし、それから本格的に韓国語を学ぶ方もいらっしゃるでしょうね。
前者の方の特徴としては、韓国語の丁寧語で話すことだけに慣れてしまっていて、文法的な知識や練習、慣れが必要なパンマルをなかなか使いこなせないこと。後者の方の特徴としては、丁寧語で話さないといけないシチュエーションでパンマルが口について出てしまい、周囲を驚かせてしまうことが多いことです。
いずれにしても、ふさわしいシチュエーションでパンマルを使いこなせるようになるといいですね。そのパンマルについて理解を深める前に、韓国語の待遇法についておさらいし、パンマルとはどの位置に属するのか見てみたいと思います。
<目次>
韓国語の待遇法
韓国語には6種類もの待遇法があります。
格式体の「하오体」などは、韓国の時代劇などでよく耳にすることがあるでしょう。しかし、一般的に触れることが多いのはその6つの中の4つ、「합니다体」、「한다体」、「해요体」、「해体」です。
このうち、丁寧語にあたる「합니다体」「해요体」については、記事「「~ヨ」で話す? 「~スムニダ」で話す?」で扱いました。そこで今回は、親しい間柄で使う「한다体」と「해体」について、詳しく説明してみたいと思います。
「한다体」と「해体」の終止形語尾
まず、「한다体」は、格式体の中でも最も丁寧さの度合いが低く、話し言葉ではかなり親しい間柄で使われ、書き言葉では新聞記事や作文などで用いられます。韓国語能力試験(TOPIK)の作文などは、この表現で書くことが望ましいです。そしてもう一方の「해体」は、非丁寧体である「해요体」の「요」を取った形です。半分の言葉(반말(パンマル[半-]))と言われるゆえんです。話し言葉として使われ、一般的に友達や年下の人に対して使われますが、少し歳が上のごく親しい人や、家庭によっては両親や兄姉にも使っている、という人も少なくありません。 こちらは「한다体」と「해体」の語尾一覧です。ドラマなどで、親しい間柄の人々が発する語尾は、このようにカテゴリ分けされるわけですね。
「한다体」と「해体」の例文
早速、「한다体」と「해体」の例文を見てみましょう。例:
(한다体の平叙文)알았다. 내가 하면 되는거 지?(アラッタ。ネガ ハミョン テヌンゴ ジ/わかったよ。あたしがすればいいんでしょ?)
(해体の平叙文)알았어. 내가 할게.(アラッソ。ネガ ハルケ/わかった。あたしがするよ)
(한다体の疑問文)이거 네가 썼니?(イゴ ネガ ソンニ?/これ、あんたが書いたの?)
(해体の疑問文)이거 언니가 썼어? (イゴ オンニガ ソッソ?/これ、お姉ちゃんが書いた?)
(한다体の命令形)어서 먹어라.(オソ モゴラ/はやく食べろ、さっさと食べなさい)
(해体の命令形)어서 먹어.(オソ モゴ/さあ食べて、はやく食べて)
(한다体の勧誘形)같이 가자.(カッチ ガジャ/一緒に行こう)
(해体の勧誘形)같이 가. (カッチ ガ/一緒に行こうよ)
例文は以上です。それぞれの違いが日本語訳に出るよう努めてみましたが、この二つはどう違うのでしょう。
パンマルとは? 下称形とは?
友達とパンマルや下称形で話したい!
しかしどちらも「友達や目下の人に使える」ので、韓国人も自分が話しているのは「パンマル」なのか「下称形」なのかまでは意識せず、無意識的にこれらを使っているようです。
この二つの大きな違いは、先ほども触れたように、「해体」は、「間柄や状況、話し手、聞き手の考え方によっては年上の人にも使える」一方、「한다体」は使えないという点。そして、「한다体」体は「友達などの親しい人や目下の人にしか使えない」という理由から、逆に「より親しみや近さを感じる」こともある点です。
上記の例文は、そんな二つの違いを意識して例文を書いてみました。ちなみに、「알았다. 내가 하면 되는거 지?」(アラッタ。ネガ ハミョン テヌンゴ ジ/わかったよ。あたしがすればいいんでしょ?)は、最初の「アラッタ」の部分は少々はきすてるようなニュアンス、「はいはい、分かりましたよ」というようなニュアンスになります。下称形がもっともぞんざいと言われるわけが分かりますね。
パンマルと下称形、どう使い分けたらいい?
パンマルと下称形、これらを使い分けられるようになるのは、そんな人間関係が周りにないといけないわけですから、これまた上級向け……ということになるのかもしれません。従って、日本語話者の方で韓国人の友達とフランクな言葉遣いで話してみたい方は、まずは「요」を取るだけで活用が比較的簡単な「해体」のパンマルを話せるようにし、口語の「한다体」については、まずはドラマや周囲の人々から表現を盗み、どんなシチュエーションで使っているかよく観察したうえで、ふさわしい場面で使えば良いのではないか、と思います。
下称形とは「親しさ」を演出してくれる道具
『韓国語学習ジャーナル hana 10号』
この先生の発言は、「해体」よりぞんざいと言われる下称形「한다体」で話したほうがいい、ということなのです。このときは「했어?(ヘッソ)」だと冷たく、はきすてるようなニュアンスに聞こえたのかな、「-니(ニ)」を付けたほうが、柔らかく聞こえるのかな、と解釈しました。きっとそんな側面と、「無礼が許される友達だからこそ使える下称形の方が、友達同士の会話としては温かみがあるように聞こえる」ということもあるのかもしれません。
日本にいながら韓国語を使って仕事をしていると、なかなかパンマルや下称形を使う機会はありません。だからこそ、たまに旧友に会ったりしてパンマルを使うことがあると、ああ、私もパンマルで話せる相手がいるんだなぁ、と妙に嬉しくなったりもします。パンマルや下称形の韓国語は、そのように「親しさ」「近しさ」を演出してくれる道具なんですね。
韓国語の待遇法について、もっと詳しく知りたい! という方は、『韓国語学習ジャーナル hana Vol.10』の巻頭特集「好印象を与える韓国語!」をご覧になってみてください。尊敬語、謙譲語、待遇法に加え、今回のパンマルと下称形の話、さらには気の利いた好感度アップの会話フレーズなどが紹介されています。
言葉はその国の文化や思考の表れです。韓国語の待遇法を知ると、さらに韓国や韓国人の考え方について理解が深まること、間違いありません。
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