革新性を示す、シングルグレーンウイスキー誕生
知多の書は、書家・荻野丹雪氏
ウイスキーづくりの革新性を示すブランドが9月1日に誕生する。
「サントリーウイスキー知多」。シングルグレーンウイスキーである。これは新たなスタンダードウイスキーとして設計されたシングルグレーンウイスキーであり、モルトウイスキーとのブレンデッド用に設計された香味とは一線を画す。
味わえばすぐにモルトウイスキーとは異なる感覚を覚えることだろう。個性の強いラウドスピリッツと呼ばれるモルトウイスキーに比べ、とても穏やかだ。サイレントスピリッツと呼ばれる理由がわかるはずだ。
冴えた香りのなかに、ほのかに花の蜜のような柔らかな樽香をわたしは感じた。飲み口はすっきりとした甘みのある軽やかなものだ。おすすめの飲み方として、ソーダ割“風香るハイボール”をすすめるようだが、たしかに人のこころを優しく包み込むジェントル・ブリーズを想わせる味わいである。
この香味には、蒸溜によるつくり分け、豊富な樽種による熟成などたくさんの試みが為されており、革新をつづけながら進化しつづけるウイスキーの姿を感じる。
3タイプの原酒をさまざまな樽種で熟成
サントリーウイスキー知多
トウモロコシを主原料として生まれる知多グレーンはスコッチのブレンダーの間でも評価が高いが、独自に開発した2塔式~4塔式まで塔の組み合わせを変えられる連続式蒸溜機によって、クリーン、ミディアム、ヘビーの3タイプの原酒をつくり分けている。
使用する塔が多いほど軽快な酒質となる。ピュアでほのかな甘さを抱くクリーンは4塔、穀物様の旨みのあるマイルドな酒質のミディアムは3塔、穀物様の香りたちが強く味わい豊かなヘビーは2塔を使用して生まれるものだ。
この3タイプの香味は長年にわたり改良し、磨き、洗練させてきたもので進化しつづけている。
次に貯蔵熟成樽。メインはバーボン樽の古樽であるが、スパニッシュオークやワイン樽も使用し、3タイプの酒質の原酒がこれら豊富な樽に詰められことにより、豊かな個性あふれる香味が誕生することになる。これも以前にはなかった取り組みであり、進化のひとつである。
熟成年数は長期熟成もので15年くらい、若いもので5年くらい。複数の樽種に詰められ、幅広い熟成年数のグレーンウイスキーをブレンドして生まれたシングルグレーンウイスキーが「知多」である。
グレーンウイスキーがこれまで世に大きく取りあげられることはなかった。ブレンデッド素材として、あくまでも名脇役的存在であったからだ。いま、新たな世界が生まれたのである。
若い飲み手の皆さん、あなたたちは幸せだ。これから革新をつづけるウイスキーの世界をたっぷりと堪能できる。まずこの「知多」の味わいをしっかりと噛み締めておいていただきたい。そして「山崎」「白州」といったシングルモルトの味わいも。あなた方が歳を重ねていくなかで、このようなつくり分けや改良、革新がさらにすすみ、また新たな世界が生まれることだろう。
いまの味わいをしっかりと楽しもう。そして長く飲みつづけよう。
サントリーウイスキー知多
700ml/43%/¥3,800(希望小売価格・税別)
色 明るい黄金色
香り ピュアでストレート・甘い樽香
味わい 口当たりよくスムース
余韻 奇麗・ほのかな甘さ
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