労務管理/労務管理に関する法律

60歳以上必見!無期転換ルールの「特例」とは

「無期転換ルール」(労働契約法)によって、「有期」労働契約が5年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申込みによって「無期」労働契約に転換されます。一方、平成27年4月1日から「有期雇用特別措置法」によりこのルールの「特例措置」が規定されています。 これは定年退職後の継続雇用者について無期転換ツールから除外するという内容で、60歳以上の労働者の労務管理に直結する内容です。本記事で確認しておきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

平成27年4月~ 無期転換ルールの「特例」施行!

1.無期転換ルールの仕組みって何?

無期転換ルールの特例で定年後継続雇用者の対応をしましょう

無期転換ルールの特例で定年後継続雇用者の対応をしましょう

平成25年4月から、労働契約法の改正による「無期転換ルール」が導入されました。このルールは、「有期」労働契約が5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申込みによって「無期」労働契約に転換する、というものです。

通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する(更新する場合を含む)有期労働契約が対象です。平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間には含みません。下図で確認ください。有期契約も時間の経過等の条件を満たすと、無期に転換するのです。

このルールによると、一番早くて平成30年4月1日から「無期」転換が発生することになります。

出典:高度専門職・継続雇用の労働者に関する無期転換ルールの特例について(厚生労働省パンフレット)

出典:高度専門職・継続雇用の労働者に関する無期転換ルールの特例について(厚生労働省パンフレット)


2.無期転換ルールには「特例」があります!
(通算契約期間の上限5年の例外)


そうした状況下、平成27年4月1日「有期雇用特別措置法」(正式名称「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」)が施行されました。この法令は、上記の無期転換ルールについて「特例」を定めたものです。

本記事では、この「特例」の内容を解説します。

特例措置(通算契約期間の上限5年の例外)対象者は?

上記特例措置対象者は以下、1及び2の労働者です。企業実務では特に2の継続雇用の高齢者の措置内容の理解が大切です。

1.専門的知識等を有する有期雇用労働者(高度専門職)

事業主との間で締結された有期労働契約の契約期間に事業主から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金の額に換算した額が1,075万円以上である者で、その専門的知識等を必要とし、5年を超える一定の期間内に完了する業務(プロジェクト)に就く者です。

これらの高度専門職の場合の「5年」は、「プロジェクトの開始から完了までの期間」になり、その期間は無期転換ルールが適用されない、とされたのです。

2.定年に達した後、引き続いてその事業主に雇用される有期雇用労働者
(継続雇用の高齢者)


定年前から継続して雇用している者です。その事業主に定年後引き続いて雇用される期間は、必要な手続きを踏むことで無期転換ルールが適用されない、とされたのです。下記図表で確認してみましょう。

出典:高度専門職・継続雇用の労働者に関する無期転換ルールの特例について(厚生労働省パンフレット)

出典:高度専門職・継続雇用の労働者に関する無期転換ルールの特例について(厚生労働省パンフレット)


定年退職後の再雇用者の労働条件が不明確では、トラブルの種を自らまいているようなもの。特例措置の適用を受けないと、定年後5年を超えると「無期」雇用になってしまうのです。以下で継続雇用の高齢者に関する特例措置の手続きを確認し対応を急ぎましょう。

次のページでは、特例措置の適用に必要な手続きの解説をしています。
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