ずっと働いていたのに、突然「契約更新しない」と言われた!

雇い止め,雇用契約

雇用契約を更新しない、と言われたときに確認すべきこと

 

・3か月の雇用契約を2年ぐらい更新してきたのに、突然「次回の更新はなしで」と言われた!
・採用のときは「契約更新は形式的なものだし、長く働いてね」って言われていたのに!
・派遣先から派遣契約を打ち切られ、担当者から「次の派遣先が見つからないから契約更新できない」と言われた!

 

契約社員など期間を決めた雇用契約で働いていると、こうしたトラブルに遭うことがあります。

雇用契約は最大3年60歳以上の高齢者などは5年)まで期間を決めることができますが、3か月や6ヶ月といった短期が多いのは「繁忙期や一時的に人手が必要なときにだけ雇用したい」という会社側の事情があります。

本来、期間を決めた雇用契約(有期雇用契約)は、雇用期間が満了した時点で契約も終了します。しかし、契約更新を繰り返して何年も同じ職場で働き続けた結果、雇用期間に決まりがない契約(無期雇用契約)と同じ状態になっている例も多くあります。

会社が一方的に「契約更新しない」ことが「雇い止め」

雇用契約書には3か月や6ヶ月の期間が書かれていて、自分もそれに納得して署名したんだから、期間の終了とともに退職となるのは仕方ないか……
そんな気持ちにもなりますね。

まずは、入社時に渡された「雇用契約書の内容を確認しましょう。以下の内容が入っているはずです。
・雇用契約の期間:〇年〇月〇日~〇年〇月〇日
・更新の有無:更新する/更新する場合がある/更新しない
・更新の基準:契約期間満了時の業務量/能力、業務成績、勤務態度/会社の経営状況
この雇用契約書に記載された「更新の基準」と関係なく、会社から一方的に「契約更新しない」と通知されて退職となること「雇い止め」といいます(公的機関の表記は「雇止め」ですが、本記事では一般的な「雇い止め」を使っています)。

異議を唱えることができるのは、「更新の基準」と違う理由で「雇い止め」になった場合

注意すべきは「契約更新しない」=「雇い止め」ではないことです。

たとえば、上記の雇用契約書で条件が「更新しない」になっていれば、契約が更新されなくても、問題にはなりません。

さらに「雇い止め」そのものも法律違反ではありません。
  • 雇用契約書の条件が「更新する」「更新する場合がある」となっており
  • かつ「更新の基準」とは違う理由で「雇い止め」となったとき
に限り、労働者側は会社に異議を唱えることができます。

いざ、異議を唱えたい!納得できない!と思ったとき、行動を起こす前に今一度、雇用契約書を確認しましょう。どこかに、以下の文言があるときは要注意です。
  • 「更新は、雇用開始から通算〇年を限度とする」
  • 「更新は、〇回を超えることはない」
この文言があると、年数や更新回数を理由にした雇い止めを認めたことになってしまいます。残念ですが、この文言が入った契約書にサインをしていたら、異議申し立てはできません。

入社時の雇用契約書になかったのに、途中の更新時に文言が追加されていることもあります。この場合、異議申し立てはできませんが、退職後の失業手当の受給資格や受給できる日数が優遇されます。

「すべての雇用契約書に目を通した上で署名すること」「署名した雇用契約書を保管すること」を徹底しましょう。

「雇い止めに納得できない!」と思ったときに確認すること

雇用契約書,雇い止め

雇用契約書をしっかり確認

雇い止めに対して異議を申し立て、撤回させる場合は、自分が「正社員と同じ」または「無期雇用契約と同じ」状況であると証明することも必要です。

具体的には、以下のときに「雇い止め無効」と判断されます。
  • 業務の内容や働き方が正社員と同じである
  • 仕事上、正社員と同じ責任を負わされている
  • 「できるだけ長く働いて欲しい」等、契約更新があると期待させる言葉を言われた
  • これまでの契約更新のとき、更新後の雇用契約書をもらっていない
  • 同じ立場の有期雇用者が過去にもいたが、雇い止めされていない
上記は雇用契約書に書かれていることだけでなく、口頭でも有効です。採用時に言われた言葉や職場でかけられた言葉、一緒に働く仲間の状況なども思い出してみましょう。

雇い止めは、いつ知らされるのか

次の契約が更新されないのであれば、できるだけ早く教えて欲しい!と思うところですが、「雇い止め予告」が会社に義務づけられているのは、以下の場合に限られています。

契約期間満了30日前までに予告をしなければならない場合
  • 有期雇用契約が3回以上更新されている
  • 有期雇用契約を更新して、雇い入れから通算1年を超える
  • 1年を超える有期雇用契約
実際は、上記に当てはまらない場合でも30日前には予告している会社が多くありますが、「契約期間の終了日が近づいてきたな」と思ったら、自分から会社に確認することも必要です。

「雇い止めの予告」があったときは、会社にその「理由」を聞くことができます。雇い止めに納得できず異議申し立てを考えるのであれば、雇い止めの理由を「文書で」通知してもらうようにしましょう。

「雇い止め」有効/無効の判断は、労働基準監督署ではできない

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雇い止めの異議申し立ては弁護士か労働局へ

契約が更新されないことに納得できず「誰か相談したい!」と思ったとき、まず思い浮かぶのが労働基準監督署でしょう。

しかし、労働基準監督署が判断できるのは労働基準法に関することだけです。実は「雇い止め」は労働基準法ではなく「労働契約法」で定められているため、業務範囲外となって対応してもらえません。

残された手段は、以下の2つです。
  • 弁護士に相談して裁判にする
  • 都道府県労働局に設置された紛争調整委員会が行う「あっせん制度」を利用する
弁護士を立てれば、プロの知見が得られますが、それなりの費用と時間がかかります。

各都道府県の労働局が設ける「あっせん制度」は労働者自身で申し立てでき、労働問題の専門家であるあっせん委員が双方の意見を聞いて解決を図ります。会社側に参加を強制することはできませんが、費用がかからないため、利用する価値はあるでしょう。

厚生労働省:各都道府県の「総合労働相談コーナー」へのリンクページ


「契約更新しない」と言われる前に!「5年・3年」の節目を意識

有期雇用者は労働契約法の「無期転換ルール」により、有期雇用契約を更新して通算5年を超えたときに無期雇用への転換権を持つことができるようになりました。

また、派遣法では、同じ派遣スタッフが3年を超えて同じ部署で働くことができないところ、派遣会社で無期雇用されている場合は、年数に関係なく働くことができます

有期雇用者には、このような「5年」「3年」の節目が設定されていて、会社側も必要な人材であれば、この節目をもって無期雇用にしたいと考えています。会社独自の「正社員登用制度」や「無期雇用転換制度」などを導入している会社が多いので、「ずっとこの会社で働きたい!」と思ったときは、早めに調べてチャレンジしてみましょう。

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