派遣社員には、希望の勤務地や時間帯、職種などを自分の環境に合わせて選んで働けるなどのメリットがある一方で、契約更新がされるかどうかの不安が付きまとうなどのデメリットもあります。今回は長期契約での最初の1か月の間でわかる、企業のホンネと契約を打ち切られないための対策をお話しします。  

派遣契約期間の種類

派遣のデメリットの一つ:契約の更新がされるかどうか、不安と隣り合わせの状態なこと

派遣のデメリットの一つ:契約の更新がされるかどうか、不安と隣り合わせの状態なこと

最初に、派遣契約の期間についてみてみましょう。企業が派遣社員を採用する際に、派遣社員枠をどの程度の期間必要とするかによって、契約期間も変わってきます。大きく分けて長期、短期、単発の3種類あり、たとえば長期でも1年の期間限定なのか、3年以上になるのかなどに細分化されます。

■長期
・3年以上派遣社員枠を設けている場合
・産休や病気による長期休暇中の社員に代わる要員として数か月から1年程度の場合など

■短期
・一つのプロジェクトが始ってから終わるまでの数ヶ月間
・繁忙期の1~2か月間など

■単発
・一時的に大量の業務が発生した際などの1日~数日間

 

長期契約での契約更新頻度はどのくらい?

採用が決まった場合、通常、最初の契約期間は1か月。その後、派遣先企業の規定により2ヶ月更新の場合や3ヶ月更新の場合があります。例えば、同じ派遣先で2年間働き続けている場合でも、3ヶ月ごとに派遣更新を繰り返します。派遣先と派遣社員が合意すれば、6ヶ月契約やそれ以上の契約になる場合もあります。

最初の1ヶ月は、いわば「お試し期間」です。正社員採用の場合も3ヶ月程度の「試用期間」があるように、派遣契約の場合もこの1ヶ月の間は派遣先から様子を見られていると考えてよいでしょう。もちろん、派遣社員にとっても今後継続的に働けるかどうかを見極める期間になります。
 

最初の1ヶ月で契約打ち切り!? 2つのケース

「その仕事はできません」が口癖だったYさん

産休を取った正社員の交代要員として採用された英語が得意なYさんは、これまでも派遣でキャリアを積んできました。新しい派遣先A社での面談では「翻訳がしたい」ということで翻訳を含む営業事務的な内容で派遣が決まりました。契約内容は「OAクラーク業務 その他一体的に行う業務」で、翻訳だけではなくその他のオフィス関連業務をするとなっていました。

実際に就業すると、翻訳業務のほかに、電話応対や客先への書類を届ける外出などを頼まれるようになりました。Yさんは、その度ごとに「その仕事は苦手なので、できません」と断っていました。企業側は、翻訳はお願いしたいがそれ以外の業務が頼めないとなると、仕事が回りません。そこで、次の派遣契約の更新はしないことにし、翻訳もできて、その他の業務も引き受けてくれる別の派遣社員を探すことにしました。Yさんには電話応対などができない場合は更新ができない事が告げられました。

「前の会社は○○だった」が口癖のKさん


B社で3年間働き続けた派遣社員の交代要員として新しく採用されたKさん。B社のグループ会社であるC社の派遣社員として初出勤直前まで3年間働いていました。C社では重要な仕事を任されるなど、社員並みに残業もして働いていた、いわゆる「バリバリ派遣」。C社に愛着があり、仕事の進め方にも相当の自信をつけていました。

B社とC社はグループ会社ですが、業種も業務内容もまったく異なります。Kさんにとってはゼロからのスタートになります。つまり、これまで積み重ねてきた仕事内容や業務の進め方は一旦忘れて、B社の進め方を吸収することが必要となるのです。もちろん、前職と比較しながら業務の進め方を考えることが役に立つ場合もありますから一概には言えませんが、多くの場合は、引き継ぎはほとんど受身でいることが多いでしょう。

ところが、Kさんは「前の会社は、書類の決裁順序がこうでした」や「前の会社の経費精算はこういう方法をとっていたのでやりやすかった。この方法はやりにくいですね」など、前の会社との違いばかり話すので、引き継ぎの担当者も困ってしまいました。
この場合、KさんはもうB社で就業しているので、B社での業務の進め方を覚えるべきです。新しい業務フローを提案するにしても、最初の1ヶ月では見えない部分も多いはず。しばらく働いてから提案することは考えられますが、時期早尚ともいえる発言が目立ちました。
まずは仕事を覚えることを優先してほしかったB社の希望に反する言動が目立ったため、扱いにくいと感じたB社からは結局「スキルが足りない」という理由で契約更新がなされず、1ヶ月で契約が打ち切りになってしまいまいた。

 

1ヶ月での契約打ち切りを避けるには?3つの教訓

■企業が求める業務内容を見極める
Yさんのように、これまでの経験と実際の働き方を一致させるには、まず、面談の段階で業務内容を細かいところまですり合わせしておくことが重要だと言えます。派遣先からの説明が不十分だったのかもしれませんが、その場合、後で困るのは派遣社員。面談の時点でこの仕事に求められる業務内容やスキル、適性をこちらから質問し、把握しておきましょう。

■郷に入れば郷に従え-立場を考慮した言動を
様々な会社で働くことができる派遣社員は、企業にもいろいろな風土があることを肌で感じます。それぞれに、良い面、そうでない面も見えてくることもあるでしょう。「ここをこうしたほうがいいのに」と思うことも出てくるのは当然です。ただ、多くの派遣先企業が派遣社員に求めるのは「頼まれた業務を正確にこなすこと」です。経営改革を任された経営者ではないのですから、それぞれの会社のやり方に従い、出すぎた発言は控えたいものです。Kさんのように、比較ばかりしていると「じゃあ、うちの会社には合わないね」と思われてしまいかねません。ただ、新しく立ち上げられた部署や、長く働いているうちに、負担を軽減する業務フローなどがあれば、相談や提案という形で話してみるのがよいかもしれません。

■積極的な姿勢で仕事をする
たとえ、派遣先企業が求めるスキルに足りなかったとしても、その不足分を補おうとする積極的な姿勢が1ヶ月打ち切りを防ぐこともあります。企業が長期的な派遣社員を探している場合、何度も派遣社員を面談して採用をすることは望ましくないことです。PCなどのスキルが少々足りなかったとしても、将来性が見えればそのまま契約更新するケースもあります。実際に企業の派遣採用担当者が「今度の派遣社員は、少しスキルが足りないけれど、人当たりも良く、仕事も積極的に取り組もうとしているから続けてもらうことにした」と話していたことがあります。当たり前のことのようですが、仕事には積極的に取り組みましょう。

希望の仕事に就け長く続けたいと思っても、更新の不安はどうしても避けられないでしょう。突然の人員削減など、企業の都合でやむを得ず1ヶ月で終わってしまうケースは派遣社員にはどうすることもできません。まずは1ヶ月をクリアしましょう。そして、担当している仕事をしっかりと取り組んでいきましょう。

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