「振替休日」と「代休」は全く異なる処理方法です!

振替休日と代休、採用したことのメリット・デメリットを確認しておこう

振替休日と代休、採用したことのメリット・デメリットを確認しておこう

多くの企業では、業務繁忙・輻輳(ふくそう)期などにより、従業員を「休日」労働させる場合、「振替休日」「代休」処理をしていることでしょう。皆様の企業の就業規則等ではどのように規定されていますか?

「休日に働いたので別の日に休みを取る」ことなので、表現の違いだけで同じ処理方法と思われている方が多いようです。

実はこの2つ、似ているようでまったく違う処理方法です。

「振替休日」は労働基準法に規定がありますが、「代休」については規定が存在しないのです。

両者を混同した処理をしてしまうと労働基準法違反。当然、賃金計算も間違っていますから、トラブルのもとになってしまいますね。今回の記事で両者をすっきり整理しておきましょう。

最初に「休日労働」の定義を確認しておこう!

そもそも「休日労働」とは、どういうことでしょう。

企業の休日は、就業規則等で決められています。週休2日制や祝日、年末年始を休日としていることもあるでしょう。

実は、労働基準法の規制を受ける「休日労働」とは、「法定」休日(「週1日又は4週4日」)に労働させた場合のことです。休日割増賃金の支払いが必要なのはこの「法定」休日労働のみ。それ以外の休日は、「所定」休日となりますから、法規制を受けません。

【企業の休日は次の2種類】
  • 「法定」休日=週1日又は4週4日(休日割増賃金として割増賃金0.35
  • 「所定」休日=法定休日以外の休日(時間外割増賃金として割増賃金0.25又は0.5)
  •  

では「法定」休日はどのように決めるのでしょう?

今回のテーマ「振替休日」と「代休」は、この法定休日に関わる処理方法です。よって、実務上では、法定休日の特定が問題となりますね。

週休2日制などを採用している企業では、休日は週に2日存在することになります。この2日のどちらが法定休日になるのか? 疑問が湧くところです。

通達では次のようになっています!

【休日の特定】
  1. 労働基準法第35条は必ずしも休日を特定すべきことを要求していないが、特定することがまた法の趣旨に沿うものであるから就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけでなく具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう指導されたい。
  2. 常時10人未満の労働者を使用する事業場においても具体的に休日を定めるよう指導されたい。
(昭23・5・5 基発682号、昭63・3・14 基発150号)

上記をみてみると、「具体的に一定の日を休日とするよう指導されたい」と表現されていますね。義務ではありませんが実務上はできるだけ就業規則等で法定休日を特定しましょう。

例えば週休2日制で、土・日を休日としている場合、「(例)日曜日を法定休日とする」と規定。従って土曜日は「所定休日」となります。

但し、屋外労働(例 建設業)などでは、天候により労働日が左右されることが多いですね。こうした場合では、あえて特定しておかない就業規則も違法ではありません。

いずれか一方の休日が確保されるならば労働基準法の法定休日労働にはならないのです。企業の業態、職務内容などを勘案して決めてください。
 

「振替休日」は休日労働にはなりません!

前記により休日労働は法定休日労働のことが分かりました。

ここから今回のテーマの解説です。

振替休日とは、就業規則等であらかじめ休日とされている日と他の労働日を交換することです。単に労働日と休日が入れ替わっただけなので休日労働とはなりません。法定休日から労働日に振り替わった日は通常の賃金を支払い、労働日から振替休日に振り替わった日は賃金の支払い義務はありません。

【同一週内で振替えた場合】 
振替えても1日8時間労働×5日=40時間で変わらず。休日労働にはなりません。
東京都undefinedTOKYOはたらくネットポケット労働法から抜粋

東京都 TOKYOはたらくネットポケット労働法から抜粋

 

振替休日の要件は次のとおり

要注意!週をまたがる振替は時間外割増手当が必要です

要注意!週をまたがる振替は時間外割増手当が必要です

振替を適法に行うためには条件があります。整理しておきましょう。
 
  1. 就業規則に休日の振替を行うことを規定する
  2. 遅くとも前日までに振替休日を予告する
  3. 1週1日もしくは4週4日の休日を確保した上で振替休日を特定
 

(注意点)振替休日で割増賃金が必要な場合があります!

週休2日制の前記例では同一週内で休日振替を行っていますから、1週40時間は変わらず。時間外労働の問題は生じません。実務上は同一週内振替を原則とすべきです。

就業規則で特に定めていない場合は日曜日から土曜日が1週間の単位とされていますが、週の単位は自社の状況で決めて構いません。

注意すべきは、週をまたがる場合の休日振替です。

この場合、法定労働時間(1週40時間)を超えてしまいますので割増賃金の支払いが必要になるからです。下記の例では、1週間の労働時間が48時間、振替後の週の労働時間が32時間になります。40時間を超える8時間分が時間外労働に該当しますから25%の時間外割増手当の支払が必要になります。この処理はできていますか?

【別週で振替えた場合】
木曜日の8時間分の割増賃金を支払った上で振替えます。
東京都undefinedTOKYOはたらくネットポケット労働法から抜粋

東京都 TOKYOはたらくネットポケット労働法から抜粋

 
 

「代休」は割増賃金が必要です!

代休は割増賃金が必要になります

代休は割増賃金が必要になります

今回のもうひとつのテーマ、「代休」は法的な取り決めはありません。

代休制度を採用するかどうかは任意なのです。代休とは、振替える休日を特定することなく休日に勤務させてから、その後で代償として他の労働日に休ませること。

振替休日との違いは、事前に休日(振替休日の日)を特定するか、事後に代わりの休日(代休)を与えるかという点です。

事前に振替日を特定していないため、休日労働はそのまま休日労働となります。したがって、休日労働の割増賃金の支払が必要になることが振替休日との大きな違いです。

【休日割増賃金を支払い、その後代休を与える】
東京都undefinedTOKYOはたらくネットポケット労働法から抜粋

東京都 TOKYOはたらくネットポケット労働法から抜粋

 

就業規則に基づく代休の割増賃金の計算方法

就業規則等で、前記例の木曜日の代休取得日を無給にすることができます。法定休日の日曜日には、1日分の賃金に加え0.35の割増賃金を支払います(1.35支払います)。代休取得日の木曜日は代休をとったわけですから無給(1日分)とします。無給としないと1日分賃金が重複してしまいますね。1.35払って1.00無給とするのです。

結論として同一賃金計算期間で見てみると、割増分の0.35だけ支払ったことになるわけです。代休は法定規制がありませんから任意です。代休を与えなくても1.35支払えば問題はありません。代休制度を採用するのであれば無用なトラブルを避ける意味でも、同一賃金計算期間内で処理をすることが原則です。

【結論】
  • 代休を与えて0.35支払うか
  • 代休を与えず1.35支払うか の選択になります。 

(注意点)次の賃金計算期間での代休付与の場合

同一賃金計算期間での処理ができないこともあることでしょう。その場合は、次回以降の賃金計算期間まで処理が保留されることになります。計算方法は、休日労働をさせた月に一旦割増賃金1.35を支払って清算させます。その後次回以降の賃金から1日分(1.00)の賃金をカットする方法になります。

同一賃金計算期間内処理ではあまり問題にはなりませんが、次回以降処理になると取得は進みにくくなります。次回以降の代休取得月は1日分(1.00)の賃金がカットされる訳ですから、従業員側から見ると取得をためらうことが予想されますね。代休は、休日労働の疲労を回復させるためのものと考えて、代休を取得しても1日分(1.00)のカットをしない取扱いする企業も多数存在します。自社の状況を踏まえ検討してみましょう。

<参考記事>
残業(時間外労働・休日労働)トラブル防止対策
<参考資料>
東京都 TOKYOはたらくネット ポケット労働法(第3章)

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