ベストセラー『MADE IN JAPAN』を踏まえて
有言実行、言行一致がこれからグローバル基準の価値観だ
早い時期にアメリカ生活を経験した盛田は、身をもってそのことを理解していました。はっきりと言うべきときには言わなくてはならないということを。
日本が経済成長を続け、日米間で貿易摩擦が起きたとき、アメリカ側はさかんに日本側に責任がある、日本がアンフェアであると批判していました。このとき、日本側では堂々と反論しようとする姿勢が見られなかったのです。しかし、盛田はただ黙っているだけでは危険であると、自ら、あちこちで自説を主張し続けたのでした。アメリカ側も意見を言う相手の話はきちんと聞いたのです。
盛田はアメリカに対して言うべきことをはっきりと言いました。これについて著したのが『MADE IN JAPAN』です。ここでは、率直にアメリカに対する思いや注文について書かれています。この本は最初、英語版としてアメリカで出版され、ベストセラーにもなりました。
著作『学歴不要論』より
また、盛田氏は著作『学歴不要論』の中で「入社前に教育を受けた「場所」で評価されるというのは、どう考えても納得いかない。教育の「質」が問われるならばまだ解る。「場所」というのは、正常ではない。わずか数年間の学校教育が、以後何十年にもわたって、その人の看板として通用するというのは、奇妙というほかない。」と主張しています。確かに、入社後は会社にどのくらいの貢献をしてきたかが問われます。売上拡大への貢献、コスト削減への貢献です。どの大学で教育を受けてきたかという場、学歴というものは直結しません。
自分が正しいと感じたことを正々堂々と言うタイプの経営者です。表現力の卓越性も盛田氏の場合は突出しています。そもそも物理学を専攻された理系の頭脳に加え、卓越したコミュニケーション能力があったのですから鬼に金棒です。
グローバルリーダーが求められる今日、盛田昭夫氏から学ぶことは最良の教科書になるかもしれません。