リーダーシップ/リーダーシップの基本知識

新入社員の五月病対策にも有効!? SL理論とは(2ページ目)

SL理論(Situational Leadership Theory)とは、1977年にハーシィとブランチャードが提唱したリーダーシップ状況適応理論の1つです。部下の成熟度によって、有効なリーダーシップスタイルが異なるという前提に立っています。リーダーは組織集団の“成熟度”に応じて、異なるスタイルを柔軟に使い分ける必要があると提唱しています。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド


成熟度3:支援型リーダーシップ(波のある上級者向き)
より高い組織生産性が求められる昨今、個々のメンバーの力量を踏まえた木目の細かいリーダーシップが必要!

より高い組織生産性が求められる昨今、個々のメンバーの力量を踏まえた木目の細かいリーダーシップが必要!

考えを合わせて決められるように仕向けるリーダーシップスタイルです。タスク志向が低く、人間関係志向の高いリーダーシップです。更にメンバーの成熟度が高まった場合に有効です。指示的行動は少なく、支援的行動は多いのが特徴。リーダーはメンバーを認めて、意見を積極的に聴き、メンバーが適切な問題解決や意思決定ができるよう取り計らいます。

成熟度4:委任型リーダーシップ(安定したベテラン向き)
仕事遂行の責任を委ねるリーダーシップスタイルです。タスク志向・人間関係志向ともに最小限のリーダーシップです。メンバーが完全に自立性を高めてきた場合に有効です。指示的行動、支援的行動ともに少ないのが特徴。リーダーはメンバーと話し合い、合意の上で目標や課題を決め、後はメンバーに任せて成果の報告を求めるのみです。

新入社員の“五月病”対策にも有効な理論

リーダーはメンバーのレベルに対し、指示と支援の比重を変えて接します。成熟度1は新入社員やその仕事の初心者が該当します。ですから業務に関する具体的な指示を多く必要としますが、意欲は高いので支援的な行動はさほど必要ありません。

これに対し、成熟度2は仕事にある程度慣れた半面、意欲が低下する言わば“五月病”の状態。「目標や作業指示を与えながら、適切な行動を褒めたり、提案を求めたりといった支援的な行動を厚くすべき」と考えます。

成熟度3に対しては支援的行動によって自信を持たせて自律を促し、成熟度4には権限を委譲し、指示と支援を両方とも減らします。

リーダーは個人の能力ではなく仕事ごとにレベルを定義します。例えば、システムエンジニアがプロジェクトマネジャーになった場合、システム開発の仕事では成熟度4でも、マネジメントにおいては成熟度1である可能性があります。リーダーは仕事の内容を見極めて対応する必要があるのです。

この理論を導入している大手企業では「社内の共通言語にすると、グローバルなチーム運営がスムーズになる」と指摘しています。メンバーとリーダーの面談の場でこのフレームワークに沿って仕事のランクを共有し、リーダーが行うべき指示と支援を決めていくのです。


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