マーケティング/マーケティング事例

強気の値上げを繰り返すUSJに死角はないのか?(3ページ目)

USJが2015年1月30日より『1デイ・スタジオ・パス』を値上げします。現行の6980円から7200円と、テーマパークとしては日本初の7000円を超える思い切った価格設定。果たして強気の値上げを続けるUSJの狙いはどこにあるのか?マーケティングの観点から掘り下げていくことにしましょう。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

好調のUSJに死角はないのか?

USJ値上げ

値上げの際には“価格の弾力性”に注意!

今のところは、値上げによる入場者数の減少もなく、計画通りに事が運んでいるUSJですが、死角はないのでしょうか?

今後も『パークでの体験価値>1デイ・スタジオ・パスの価格』という状態を維持することができれば、『値上げによる利益の向上→パークの魅力を高めるための投資→値上げによる利益の向上……』という好循環を実現して、成長を持続していくことも可能でしょう。

ただ、テーマパークのような消費は必需品ではなく、わずかな値上げが大きな需要の減少につながる“価格の弾力性が高い”のが特徴です。ですから、ある程度の価格まで値上げされれば、一気に顧客離れが加速していくことも十分に考えられるのです。

この価格の弾力性を無視して、値上げを続けるならば、ゆくゆく大きな落とし穴に陥ることになります。その点はチーフ・マーケティング・オフィサーの森岡氏が、自腹でUSJに入場し、常に“肌感覚”として体験価値を見極めることによって、顧客との感覚のギャップが生まれないように努力しているそうです。

今は、打つ手打つ手が思い通りの結果につながっているUSJですが、今後もライバル企業に負けることなく顧客を魅了し続け、成長を続けていくためには、利益を最大限に高めていく価格の設定とパークでの顧客の体験価値を高めていく投資の両輪がうまく回ることが重要な鍵を握るといえるでしょう。
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