マーケティング/マーケティング事例

強気の値上げを繰り返すUSJに死角はないのか?

USJが2015年1月30日より『1デイ・スタジオ・パス』を値上げします。現行の6980円から7200円と、テーマパークとしては日本初の7000円を超える思い切った価格設定。果たして強気の値上げを続けるUSJの狙いはどこにあるのか?マーケティングの観点から掘り下げていくことにしましょう。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

USJが1月30日から『1デイ・スタジオ・パス』を値上げ!

USJが1月30日から『1デイ・スタジオ・パス』を220円値上げして7200円に!

USJが1月30日から『1デイ・スタジオ・パス』を220円値上げして7200円に!

2015年1月30日からユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の『1デイ・スタジオ・パス』(大人)が、6980円から7200円へと220円値上げされます(価格はいずれも税込)。

『1デイ・スタジオ・パス』の価格変更は、2014年4月に消費税増税に伴い190円値上げされてからわずか10カ月。実際にUSJはここ数年、頻繁に値上げを実施しています。

2010年には5800円だった1デイ・スタジオ・パスを6100円へ、それ以降毎年、6200円、6400円、6600円と値上げを実施し、昨年は1年に2回、1月と4月に190円ずつ値上げされ、6980円になったばかりなのです。

一方で、値上げにも関わらず、USJの入場者数は堅調に推移しているのも事実です。USJではオープン当初の2001年度こそ、話題が先行し1,103万人の入場者を記録しましたが、不祥事の発覚などで客足が遠のき2009年度は750万人にまで入場者数は落ち込みます。

この入場者数の減少に危機感を抱いたUSJは、2010年にP&Gでマーケティングのプロフェッショナルとして活躍していた森岡毅氏に白羽の矢を立て、マーケティングの責任者として招聘し、事態の打開を図ります。森岡氏は期待に応えるべく、予算の限られた中、知恵を絞って入場者数を増やす手立てを次々に打っていったのです。


打つ手が次々とヒット

たとえば、2011年にはクルーがゾンビに扮した『ハロウィーン・ホラー・ナイト』を開催。パーク全体が“お化け屋敷”の様相を呈して話題となり、コストをほとんどかけずに大きく入場者数を増やすことに成功しました。また、2013年には人気のアトラクション『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド』に、後ろ向きで搭乗する『バックドロップ』バージョンを追加。開始当初はSMAPとのタイアップなどが功を奏して、最高で9時間以上の待ち時間となるなど、日本のテーマパーク史上、類を見ないような人気アトラクションとなりました。

極めつけは、2014年7月にオープンした新エリア『ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター』。実にUSJの年間売上の半分に相当する450億円を投じて完成させた“ハリー・ポッターの世界”は、多くの顧客を魅了し、次々とUSJに人が押し寄せることにつながっていくのです。

このような、コストをかけずに手軽に実施できるものから、莫大な費用を投じて壮大なスケールで提供するものまで、ソフト面やハード面によるパークの魅力アップを心掛けた努力が実り、頻繁な値上げにもにも関わらず入場者数は増加の一途を辿っていきます。

2010年度は750万人だった入場者数は、2011年度には870万人に。続く2012年度は975万人、そして遂に2013年度は開園以来2度目の1000万人超えを達成し、1050万人まで入場者が増加したのです。

果たしてUSJの頻繁な値上げの背景にあるものとは?・・・次のページではUSJの価格戦略の裏側に迫ります!
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