手作りサンザシ陳皮茶。甘酸っぱい香りが広がります
薬膳で使う食材には「消導薬(しょうどうやく)」や「消食薬(しょうしょくやく)」といって、胃腸の働きを調え、消化を助ける食材というものがあります。
また、食べ過ぎなどで膨満感があったり、胸のつかえがある場合などに、滞っている気の流れをよくして、胃腸の機能を回復させる「理気薬(りきやく)」などもあります。まずはポピュラーで身近な消導薬や理気薬をご紹介しましょう。
■山査子(さんざし):消導薬
バラ科サンザシ科の果実で、甘酸っぱい姫リンゴのような味がする。微温性。消化機能を促進し、血行を良くする作用がある。脂肪分解酵素が含まれ、とくに肉や油っこいものの消化を助ける。コレステロールや血圧を下げる。細菌性の下痢にもよく、子どもの長引くそれにも有効的。
■麦芽:消導薬
オオムギを発芽させたもみ。平性。とくに米や麺類など糖質の消化を助ける働きがあり、炒めて使うと効果がアップする。母乳の分泌を抑制し、断乳作用もある。
■鶏内金(けいないきん):消導薬
ニワトリの砂肝の内膜。平性。山査子は肉、麦芽は糖質、そして鶏内金はすべての消化を助けるといわれている。近年、泌尿器の結石や胆石に効果があるという報告も。鶏内金は日本ではあまり市場に出回っていないが、中国ではゴマとあわせて焼き、おせんべい風にしたりする食べ方がある。
■陳皮:理気薬
温州ミカンの成熟した果皮。温性。気のめぐりをよくし、消化吸収機能を整える。余分な湿気を取り除き、痰をとる。「陳皮」の「陳」は古いという意味で、古ければ古いほど黒くなり、効果であるとされる(が、芳香性は新しいもののほうが優れている)。
■柚子:理気薬
皮は温性で中身は涼性。皮は陳皮と同じような作用があり、中身は滞った気の流れをスムーズにして胃腸の機能を助けたり、痰を取る。解酒毒といって、カラダにこもった熱や疲労を和らげ、二日酔いにもオススメ。
次のページで、上記の山査子と陳皮を使った、消化促進によい自家製の薬膳ブレンドティーの作り方をご紹介します。薬膳茶の定義やカンタンレシピを知りたい方は、「『薬膳茶とは?』~薬膳茶の基礎入門」の記事もあわせてご覧ください。