マーケティング/マーケティング事例

スタジオアリスはなぜ縮小する子供市場で成功したのか(3ページ目)

少子化の影響で日本の子供市場は厳しい状況が続いていますが、逆境をものともせずに快進撃を続ける企業も存在します。そのうちの1社が子供専用の写真を手掛ける『スタジオアリス』。スタジオアリスは縮小が続く子供市場において、そして斜陽産業ともいえる写真館という業界でどのように成長を実現してきたのか?その秘密に迫ります!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

スタジオアリスの縮小市場で売上アップにつなげるビジネスモデル

スタジオアリス

スタジオアリスは家族写真を『手軽に、楽しく』で成功を収めた!

スタジオアリスが縮小し続ける子供市場でしかも斜陽産業である写真館という業界で驚異的な成長を実現できた秘密はそのビジネスモデルにも見て取れます。それまでは予算的にも精神的にも重いものだった写真館の撮影を“手軽”に、そして“楽しいもの”に変えてきたのです。

まず、写真館での撮影に晴れ着は欠かすことができません。従来は自分で準備する必要がありましたが、スタジオアリスは店舗でバラエティに富んだ貸衣装を提供し、衣装を選ぶ楽しさを顧客に与えることに成功しました。

続いて撮影段階ではプロのカメラマンでなく、店舗のスタッフが対応。最新鋭の機材を装備してシャッターチャンスさえ逃さなければ最高の写真が撮れるシステムを導入しているのです。また、店舗スタッフと和やかな雰囲気で撮影される現場では笑いが絶えず、プロのカメラマンでもなかなか難しい自然な笑顔のベストショットが撮影できるのです。

そして撮影された写真は何枚撮ろうが一覧で確認でき、自分の気に入ったものだけを現像するシステムになっています。衣装を変えて何パターンも撮ればついついどれも欲しくなってしまう仕掛けなのです。

最後に支払いは明朗会計。従来の写真館では高くていくらになるのか見当もつかないという顧客の不安がありましたが、スタジオアリスではいくら写真を撮影しようが、撮影料金の3240円に気に入った写真をプリントする代金のみ。顧客は安心して撮影に望むことができるのです。

このような従来の写真館に対する顧客の不安を解消するビジネスモデルが、顧客数や客単価、そしてリピート率の向上につながり、縮小する市場規模と反比例するように成長を続ける要因となっているのです。

今や、多くの業界で成熟化が進み、市場の縮小に悩む企業は多いはずです。そのような厳しい環境の中でも、スタジオアリスのように売上を上げる仕掛けに知恵を絞れば、必ずや売上アップを実現できることは間違いないでしょう。
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