リーダーシップ/リーダーシップの基本知識

ドラッカー的思考「リーダーのあり方は十人十色」(2ページ目)

経営の神様と称されるピーター・ドラッカーの著作にはリーダーシップをメインテーマに扱う本はありません。なぜなら、ドラッカーはリーダーの基本的特性の共通項を探し出すことなど不可能だと考えているからです。実際主義者である彼によれば、そういうものを議論すること自体が時間の無駄とのことです。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド


リーダーの唯一の共通項はついていきたいと思う部下がいるという事実である

リーダーの唯一の共通項はついていきたいと思う部下がいるという事実である

リーダーになりたいという強い願望がある、リスクを恐れない性格である、達成したいという強い欲求もある、といったように、多くのリーダーに共通する特徴が多少はあるかもしれませんが、こうした特徴は必ずしもリーダー全員に共通するものではありません。

例えば、言行が一致している、指示が的確で納得性がある、部下思いである、といったように、われわれがリーダーに期待する特徴というものもあります。一方、そのような特徴がまったくないリーダーも決して珍しくありません。アドルフ・ヒトラーが良い例でしょう。

部下についていきたいと思われること

リーダーの特質の共通項を探るよりもリーダーとメンバーとの関係に目を向けた方がリーダーの実態をつかみやすいのかもしれません。そのような見極め方をすすめているのが、米国の著名なコンサルタントのウォーレン・ブランク氏です。

では、象徴的なリーダーを思いつくままに挙げてみましょう。例えば、オバマ大統領、小泉元首相、ソフトバンクの孫社長、楽天の星野監督等、共通するものは何かを考えてみて下さい。個人的な特徴、行動上の特性、リーダーシップのスタイルなどは関係ありません。言動や生きた時代も関係ありません。これらの人々をリーダーにした共通の要素とは何かです。

唯一共通しているのは、進んで従おうとする側近や部下や選手がいたという事実です。

ブランク氏は「リーダーシップに関する9つの自然法則」を掲げています。その一つ目が「リーダーには喜んで従う部下がいる」ということ。もし、リーダーに共通する何かがあるのであれば、本人の特性の中ではなく、部下との関係性の中にあるというわけです。

メンバーは各自個別的な特性があるのでリーダーをどう評価するのはバラバラです。この前提を踏まえれば、リーダーはメンバーそれぞれの特性をきちんと把握し、できる限り個性に応じた立ち振る舞いやコミュニケーションを図ることが効果的でしょう。

以上のことをまとめると、仕事を通じて、卓越したレベルの能力を獲得し、基本的な人間科学(心理学)を理解した上で、メンバーそれぞれとの最適な関係性を構築することができれば、思う存分、リーダーシップを発揮できるものと思います。

■参考記事
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