マーケティング/マーケティング事例

フィリップス、革新的な調理家電で成功し続ける秘密(2ページ目)

『フィリップス ノンフライヤー』に続き、『ヌードルメーカー』でも爆発的なヒットを記録したフィリップス。果たして革新的な製品を立て続けにヒットさせる秘密はどこにあるのか?開発責任者を直撃した。そこで浮かび上がったのはマーケティングで大事にしたい5つのポイントだった。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

フィリップスが、革新的な調理家電で成功を収める5つのポイント

ヌードルメーカー

フィリップス成功の秘密をマーケティングマネージャーである佐野秦介氏に直撃取材した

『ヌードルメーカー』を開発したフィリップス エレクトロニクス ジャパンは、昨年4月に、油を使わずに揚げ物ができる革新的な家庭用調理家電『フィリップス ノンフライヤー』を日本市場に投入し、今年6月までに国内で30万台以上を販売した実績を持つ。

今回、革新的な家庭用調理家電の第2弾として、満を持して投入した製品が『ヌードルメーカー』であり、当初のマーケティング戦略通りに顧客に受け入れられて、発売後すぐに人気に火がついたのである。

それでは、なぜフィリップスは、成功することが難しいイノベーションを立て続けに成功に導くことができたのか?

『ヌードルメーカー』のマーケティングマネージャー、佐野秦介氏への直撃取材で浮き彫りになった5つのポイントを紹介していくことにしよう。

1.入念な市場調査(“ホワイトスペース”への切り込み)

佐野氏は革新的な調理家電の第2弾を投入にするにあたって、入念な市場調査を行っている。

まずは、日本人の食生活を調査すると、週に1回以上麺類を食べる人が90%以上いることが浮き彫りになった。さらに、週に2回から4回食べるという人も実に48%に達することが明らかになったのだ。

日本人の主食といえば、コメとパンが挙げられるが、麺類はこれに次ぐ“第3の主食”として数字の裏付けができた格好だ。ところが、コメには炊飯器が、パンにはホームベーカリーがあり、家庭で手軽に調理できる家電が豊富に店頭に並ぶが、麺については家庭で手軽に調理できる家電が存在しないことに気付く。調査してみると、家庭で麺を作る人はわずか3%であり、残りの97%はスーパーなどで既成の麺を購入するか、外食店で麺を食べていることがわかった。

この調査結果から、これまで家庭用の製麺機が存在しなかったのは、手軽にスーパーで購入して自宅で調理ができるし、調理も面倒であればレストランまで出向いて注文すればいいだけで、家庭で麺を作ろうというニーズ自体が存在しないという仮説を立てることもできるだろう。だから、どの企業もこれまで家庭用製麺機の開発に取り組んでこなかったのだ、と。

ただ、『ヌードルメーカー』の開発を手掛けた佐野氏は、「生麺が家庭で手軽に作れる」というコンセプトの製品を市場に投入すれば、炊飯器やホームベーカリーと同等に普及するチャンスがあることを確信し、まだ、どの企業も取り組んでいない“ホワイトスペース”に事業の意義を見い出して開発を提案。そして、最終的に本社からのゴーサインが出たのである。

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